簡易課税制度に関する令和6年度改正


今回は、簡易課税制度に関する令和6年度改正を確認してみましょう。

恒久的施設を有しない国外事業者の特例

恒久的施設を有しない国外事業者については、
簡易課税制度が適用できなくなります。
判定日は、課税期間の初日です。

改正後の規定を確認してみましょう。

消費税法第37条
 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者及びその課税期間の初日において所得税法第二条第一項第八号の四(定義)又は法人税法第二条第十二号の十九(定義)に規定する恒久的施設を有しない国外事業者を除く。)が、その納税地を所轄する税務署長にその基準期間における課税売上高第九条第一項に規定する基準期間における課税売上高をいう。以下この項及び次条第一項において同じ。)が五千万円以下である課税期間
以下省略

新消費税法第37条

下線部分が追加されたところです。
先に国外事業者について確認してみましょう。

国外事業者

国外事業者は、消費税法に定義されています。
定義はこちら↓

四の二 国外事業者 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条第一項第五号(定義)に規定する非居住者である個人事業者及び法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第四号(定義)に規定する外国法人をいう。

消費税法第2条第1項第4号の2、施行日令和6年2月1日

国外事業者は、次の2つをいいます。
・所得税法に規定する非居住者である個人事業者
・法人税法に規定する外国法人

個人事業者については所得税法、
外国法人については法人税法でそれぞれ判定する必要があります。

次に恒久的施設を確認してみましょう。

所得税法の恒久的施設

定義はこちら↓

八の四 恒久的施設
 次に掲げるものをいう。ただし、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約において次に掲げるものと異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける非居住者又は外国法人については、その条約において恒久的施設と定められたもの(国内にあるものに限る。)とする。
イ 非居住者又は外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるもの
ロ 非居住者又は外国法人の国内にある建設若しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供を行う場所その他これに準ずるものとして政令で定めるもの
ハ 非居住者又は外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるもの

所得税法第2条第1項第8号の4

国内支店、国内工場などが恒久的施設です。
ただし、租税条約(日本と他国とのルール)が優先となります。

法人税法の恒久的施設

定義はこちら↓
所得税法の定義とほとんど変わりません。

十二の十九 恒久的施設
 次に掲げるものをいう。ただし、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約において次に掲げるものと異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける外国法人については、その条約において恒久的施設と定められたもの(国内にあるものに限る。)とする。
イ 外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるもの
ロ 外国法人の国内にある建設若しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供を行う場所その他これに準ずるものとして政令で定めるもの
ハ 外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるも

法人税法第2条第12号の19

国内支店、国内工場などが恒久的施設です。
ただし、租税条約(日本と他国とのルール)が優先となります。

金地金等の仕入れ等を行った場合の制限

金、白金の地金などを大量に購入した場合は、
課税事業者の3年制限がかかります。
この3年制限期間中については、
他の特例と同様に簡易課税制度が選択できなくなります。

改正後の規定を確認してみましょう。

五 当該事業者が第十二条の四第三項に規定するときに該当するとき(前各号に掲げる場合に該当する場合を除く。)
同項に規定するときに該当する課税期間の初日から同日以後三年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間

新消費税法第37条第3項第5号

第十二条の四第三項は、金地金等の3年制限を指しています。

先に簡易課税制度を選択していた場合の取消し

簡易課税制度を選択するためには、届出書の提出が必要です。
届出書を提出した後に、簡易課税制度の制限に該当した場合は、
簡易課税制度の届出書が無効となります。

令和6年度税制改正で、無効となる要件に
・金地金等を大量に購入した場合
が追加されています。

参考規定

4 前項各号に規定する事業者が当該各号に掲げる場合に該当することとなつた場合において、同項第一号若しくは第二号に規定する調整対象固定資産の仕入れ等の日、同項第三号に規定する高額特定資産の仕入れ等の日若しくは同項第四号に規定する調整適用日の属する課税期間又は同項第五号に規定するときに該当する課税期間の初日から同項各号に掲げる場合に該当することとなつた日までの間に第一項の規定による届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出しているときは、同項の規定の適用については、その届出書の提出は、なかつたものとみなす。

新消費税法第37条第4項
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