納付する消費税の所得税の取扱い


今回は、納付する消費税の所得税の取扱いを確認してみましょう。

納付する消費税の所得税の取扱い

個人事業者が納付する消費税については、
所得税の経費として処理ができます。

この経費処理の方法が複数あります。

原則は、申告した年の経費

納付する消費税については、
消費税の確定申告書を提出した年の経費となります。

例えば、インボイス制度の開始により、
初めて課税事業者(消費税の申告が必要な事業者)となる場合を
考えてみます。

消費税の計算期間(集計期間)は、
令和5年10月1日から令和5年12月31日までの3か月間です。

この3か月の課税売上げ(消費税がかかる売上)と
課税仕入れ(消費税がかかる経費)の消費税を集計して、
令和6年1月1日から3月末(日曜日のため令和6年4月1日)までの間に、
消費税の確定申告をする必要があります。

そのため、納付する消費税の経費処理できる年は、
消費税の確定申告書を提出する令和6年となります。

法人についても考え方は同じです。

参考仕訳
令和5年分の消費税10万円を令和6年に納付した場合

借方貸方
租税公課 10万円現金 10万円
消費税を納付したときの仕訳
未払金処理した年の経費処理も可能

原則は消費税の確定申告書を提出した年の経費となりますが、
例外で未払金処理した年の経費とすることが可能です。

例えば、令和5年分の納付する消費税10万円を未払金計上した場合の仕訳は、
次のとおりです。

令和5年12月31日、決算仕訳

借方貸方
租税公課 10万円未払金(未払消費税等) 10万円
税込経理、個人事業者

未払金処理した場合は、令和5年分の経費となります。

令和5年分の消費税10万円を令和6年に納付した場合

借方貸方
未払金(未払消費税等) 10万円現金 10万円
税込経理、納付時の仕訳

法人についても考え方は同じです。

税抜経理の場合

税抜経理の場合は、税抜き後の金額で売上や仕入・経費を計算するため、
(借方)租税公課を処理することはできません。

参考仕訳、消費税の清算仕訳
仮受消費税50万円、仮払消費税30万円、納付消費税20万円の場合

借方貸方
仮受消費税 50万円仮払消費税 30万円
未払金(未払消費税等) 20万円
消費税清算仕訳

令和5年分の消費税20万円を令和6年に納付した場合

借方貸方
未払金(未払消費税等) 20万円現金 20万円
税抜経理
参考通達

納付する消費税の所得税の取扱い

(消費税等の必要経費算入の時期)
7 税込経理方式を適用することとなる個人事業者が納付すべき消費税等の額は、納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日の属する年の事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入し、更正又は決定に係る税額については当該更正又は決定があった日の属する年の事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入する。ただし、当該個人事業者が申告期限未到来の当該納税申告書に記載すべき消費税等の額を未払金に計上したときの当該金額については、当該未払金に計上した年の事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入することとして差し支えない。

消費税法等の施行に伴う所得税の取扱いについて

納付する消費税の法人税の取扱い

(消費税等の損金算入の時期)
7 法人税の課税所得金額の計算に当たり、税込経理方式を適用している法人が納付すべき消費税等は、納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日の属する事業年度の損金の額に算入し、更正又は決定に係る税額については当該更正又は決定があった日の属する事業年度の損金の額に算入する。ただし、当該法人が申告期限未到来の当該納税申告書に記載すべき消費税等の額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした事業年度の損金の額に算入する。(平9年課法2-1により改正)

消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて
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