細かい改正も必要?


今回は、改正内容を2つ確認します。
1つは、誰が気づいたのだろう?という改正。
もう1つは、確かにという改正。

文言の削除

今回の法案で、所得税の条文見出しの「課税標準」が消えて、課税標準に規定されている「譲渡所得の金額の計算」が「譲渡所得」に変わります。

なぜ気づいたのかを考えてみると、今回の法案で追加される「特定非常災害に係る純損失の繰越控除の特例(所法70条の2)」や「特定非常災害に係る雑損失の繰越控除の特例(所法71条の2)」がきっかけなのでしょう。

純損失・雑損失の繰越控除の繰越期間は3年ですが、
一定のものについては5年に延びる特例が創設される予定です。

文言の変更

課税標準に規定されている
「第69条から第71条まで」が
「第69条、第70条又は第71条」に変更されます。

改正前の文言(第69条から第71条まで)だと、
次の3つの規定の適用があるとき、と読めてしまうからでしょう。

  1. 第69条(損益通算)
  2. 第70条(純損失の繰越控除)
  3. 第71条(雑損失の繰越控除)

3つとも適用されるケースもありますし、3つ同時に適用することも可能です。ただ、改正前の表現だと、1つか2つ適用する場合はどうするのか?という疑問が生じてしまいます。上記の文言変更も、改正条文を追加するときに、規定を見直したのでしょう。

改正後の内容だと

  1. 第69条(損益通算)
  2. 第70条(純損失の繰越控除)
  3. 第71条(雑損失の繰越控除)

1つ適用する場合、2つ適用する場合、3つ適用する場合に対応できています。

読み替え規定?

今回追加される規定を並べてみます。

  • 第69条(損益通算)
  • 第70条(純損失の繰越控除)
  • 第70条の2(特定非常災害に係る純損失の繰越控除の特例)
  • 第71条(雑損失の繰越控除)
  • 第71条の2(特定非常災害に係る雑損失の繰越控除の特例)

改正後の規定は、「第69条、第70条又は第71条」なので、
追加される規定が含まれていません。

  1. 第69条(損益通算)
  2. 第70条(純損失の繰越控除)
  3. 第70条の2(特定非常災害に係る純損失の繰越控除の特例)
  4. 第71条(雑損失の繰越控除)
  5. 第71条の2(特定非常災害に係る雑損失の繰越控除の特例)

特定非常災害が生じた場合は第70条の2により第70条を読替え、
第71条の2ににより第71条を読み替えます。

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