自宅等を売却したときの損失に関する所得税の特例_繰越控除がある場合の確定損失申告と国税通則法との関係


今回は、自宅等を売却したときの損失に関する所得税の特例のうち、繰越控除がある場合の確定損失申告と国税通則法との関係を見てみましょう。

繰越控除がある場合と他規定との関係

今回確認する規定は、こちらです。

12 第四項の規定の適用がある場合には、次に定めるところによる。
一 省略
二 省略
三 所得税法第百二十三条の規定の適用については、同条第一項中「の規定の適用を」とあるのは「若しくは租税特別措置法第四十一条の五第四項(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除)の規定の適用を」と、「又は第七十一条第一項」とあるのは「若しくは第七十一条第一項又は租税特別措置法第四十一条の五第四項」と、同条第二項第五号中「又は第七十一条第一項」とあるのは「若しくは第七十一条第一項又は租税特別措置法第四十一条の五第四項」とする。
四 国税通則法の規定の適用については、同法第二条第六号ハ(1)中「同法」とあるのは、「同法又は租税特別措置法」とする。
五 前各号に定めるもののほか、第四項の規定の適用がある場合における所得税に関する法令の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

租税特別措置法第41条の5第12項、令和8年1月1日施行

第4項(繰越控除)の適用がある場合は、他規定を読み替える必要があります。5つありますので、今回は3つ見てみましょう。

確定損失申告との関係

3つ目は、確定損失申告との関係です。

三 所得税法第百二十三条の規定の適用については、同条第一項中「の規定の適用を」とあるのは「若しくは租税特別措置法第四十一条の五第四項(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除)の規定の適用を」と、「又は第七十一条第一項」とあるのは「若しくは第七十一条第一項又は租税特別措置法第四十一条の五第四項」と、同条第二項第五号中「又は第七十一条第一項」とあるのは「若しくは第七十一条第一項又は租税特別措置法第四十一条の五第四項」とする。

所得税の確定申告は、3つあります。
1、確定所得申告
2、還付等を受けるための申告
3、確定損失申告

所得税法第123条とあるため、確定損失申告については、読み替えが必要になります。

読み替えてみましょう。

(確定損失申告)
第百二十三条 居住者は、次の各号のいずれかに該当する場合において、その年の翌年以後において第七十条第一項若しくは第二項(純損失の繰越控除)若しくは第七十一条第一項(雑損失の繰越控除)の規定の適用を若しくは租税特別措置法第四十一条の五第四項(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除)の規定の適用を受け、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付の手続等)の規定による還付を受けようとするときは、第三期において、税務署長に対し、次項各号に掲げる事項を記載した申告書を提出することができる。
一 その年において生じた純損失の金額がある場合
二 その年において生じた雑損失の金額がその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額を超える場合
三 その年の前年以前三年内(第七十条の二第一項から第三項まで(特定非常災害に係る純損失の繰越控除の特例)又は第七十一条の二第一項(特定非常災害に係る雑損失の繰越控除の特例)の規定の適用がある場合には、前年以前五年内。次項第二号において同じ。)の各年において生じた純損失の金額及び雑損失の金額(第七十条第一項若しくは第二項又は第七十一条第一項若しくは第七十一条第一項又は租税特別措置法第四十一条の五第四項の規定により前年以前において控除されたもの及び第百四十二条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。同号において同じ。)の合計額が、これらの金額を控除しないで計算した場合のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額を超える場合

読み替えることで、措置法第41条の5第4項(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除)の規定の適用を受けようとするときは、確定損失申告ができるようになります。

第3号を読み替えることで、「純損失の金額」から「措置法第41条の5第4項の規定により前年以前において控除されたもの」が除外されます。2重の控除ができないようにするための規定です。

他の規定を読み替えてみましょう。

五 第七十条第一項若しくは第二項又は第七十一条第一項若しくは第七十一条第一項又は租税特別措置法第四十一条の五第四項の規定により翌年以後において総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の計算上控除することができる純損失の金額及び雑損失の金額

確定損失申告書の記載事項です。

措置法第41条の5第4項(自宅などの売却損の繰越控除)の規定により
翌年以後において
1、総所得金額
2、退職所得金額
3、山林所得金額
を計算する場合に控除(マイナス)ができる純損失の金額を
記載する必要があります。

国税通則法との関係

4つ目は、国税通則法との関係です。

四 国税通則法の規定の適用については、同法第二条第六号ハ(1)中「同法」とあるのは、「同法又は租税特別措置法」とする。

国税通則法は、国税に関する一般的な規定が規定されています。

同法(国税通則法)第2条第6号は、納税申告書の定義です。
ハは純損失等の金額、(1)は所得税法です

ハ 次に掲げる金額(以下「純損失等の金額」という。)
(1) 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)に規定する純損失の金額又は雑損失の金額でその年以前において生じたもののうち、同法同法又は租税特別措置法の規定により翌年以後の年分の所得の金額の計算上順次繰り越して控除し、又は前年分の所得に係る還付金の額の計算の基礎とすることができるもの

(1)に規定されている同法は、所得税法を指します。
読み替えにより
1、同法(所得税法) 又は
2、租税特別措置法
の規定により、に変わります。

措置法により翌年以後の年分の所得の金額を計算する場合に
順次繰り越して控除することができるものを「純損失等の金額」といいます。

純損失等の金額は、国税通則法の定義なので、
所得税法の純損失の金額とは別の金額です。

参考情報

5つ目の規定

五 前各号に定めるもののほか、第四項の規定の適用がある場合における所得税に関する法令の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第4項(繰越控除)の規定の適用がある場合における
所得税に関する法令の規定の適用については、
政令(租税特別措置法施行令)を確認する必要があります。

第11項にも似た規定があります。

11 第一項、第四項及び前三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

租税特別措置法第41条の5第11項、令和8年1月1日施行

第11項は「第4項の規定の適用に関し必要な事項」、第12項第5号は「第4項の規定の適用がある場合における所得税に関する法令の規定の適用に関し必要な事項」の違いがあります。

第11項が適用する前(判定するとき)、第12項第5号は適用がある場合(適用した後)の違いがありそうです。

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