自宅等を売却したときの損失に関する所得税の特例_控除順序


今回は、自宅等を売却したときの損失に関する所得税の特例のうち、控除順序を確認してみましょう。

通算後譲渡損失の計算順序

他の黒字から自宅などの売却損をマイナスする順序が規定されています。

(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除)
第二十六条の七 法第四十一条の五第四項に規定する通算後譲渡損失の金額に相当する金額は、その年分の法第三十一条第一項(法第三十一条の二又は法第三十一条の三の規定により適用される場合を含む。以下この条において同じ。)に規定する長期譲渡所得の金額、法第三十二条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)に規定する短期譲渡所得の金額、総所得金額、山林所得金額又は退職所得金額から順次控除する。

租税特別措置法施行令第26条の7第1項、令和8年1月1日施行

通算後譲渡損失の金額(自宅などの売却損)は、その年分の

1、長期譲渡所得の金額(租税特別措置法第31条第1項)
カッコ書き
・措置法第31条の2、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合
・措置法第31条の3、居住用財産を譲渡した場合
の規定により適用される場合が含まれます。

2、短期譲渡所得の金額(租税特別措置法第32条第1項)
カッコ書き
・同条(措置法第32条)第2項において準用する場合が含まれます。
(株式等の譲渡が土地等の譲渡に類するものとして課税される場合)

3、総所得金額
4、山林所得金額
5、退職所得金額
の順にマイナスします。

損益通算と繰越控除の順序

損益通算と繰越控除の順序が規定されています。

2 その年分の各種所得の金額(所得税法第二条第一項第二十二号に規定する各種所得の金額をいう。)の計算上生じた損失の金額がある場合又は同法第七十条若しくは第七十一条第一項の規定による控除が行われる場合には、まず同法第六十九条及び第七十条の規定による控除を行い、次に法第四十一条の五第四項の規定による控除及び所得税法第七十一条第一項の規定による控除を順次行う。この場合において、控除する純損失の金額(同法第二条第一項第二十五号に規定する純損失の金額をいう。以下この条において同じ。)及び控除する雑損失の金額(同法第二条第一項第二十六号に規定する雑損失の金額をいう。以下この項において同じ。)が前年以前三年内(同法第七十条の二第一項から第三項まで又は第七十一条の二第一項の規定の適用がある場合には、前年以前五年内)の二以上の年に生じたものであるときは、これらの年のうち最も古い年に生じた純損失の金額又は雑損失の金額から順次控除する。

租税特別措置法施行令第26条の7第2項、令和8年1月1日施行

1、その年分の各種所得の金額の計算上生じた損失の金額(赤字)がある場合
2、所得税法第70条(純損失の繰越控除)による控除がある場合
3、所得税法第71条第1項(雑損失の繰越控除)による控除がある場合
が要件です。

控除の順序は、次の順です。
1、所得税法第69条(損益通算)
2、所得税法第70条(純損失の繰越控除)
3、措置法第41条の5第4項(自宅などの売却損の繰越控除)
4、所得税法第71条第1項(雑損失の繰越控除)

規定の続きを見てみましょう。

この場合において、「控除する純損失の金額」と「控除する雑損失の金額」が前年以前3年内(特定非常災害の特例の場合は、前年以前5年内)の2以上の年に生じたものであるときが要件です。

これらの年のうち最も古い年に生じた
・純損失の金額
・雑損失の金額
から順次控除します。

古い年に生じたものから控除します。

3年前、1番、純損失の金額 → 2番、雑損失の金額
 ↓
2年前、3番、純損失の金額 → 4番、雑損失の金額
 ↓
1年前、5番、純損失の金額 → 6番、雑損失の金額

特定非常災害の特例がある場合

特定非常災害の特例がある場合は、順番が変わります。

3 前項の規定の適用がある場合において、その者の有する法第四十一条の五第四項に規定する通算後譲渡損失の金額の生じた年がその者の有する所得税法施行令第二百一条第二項に規定する特例対象純損失金額若しくは同令第二百四条第三項に規定する特定雑損失金額の生じた年又はその翌年であるときは、当該通算後譲渡損失の金額は当該特例対象純損失金額又は当該特定雑損失金額よりも古い年に生じたものとして前項の規定による控除を行う。

租税特別措置法施行令第26条の7第3項、令和8年1月1日施行

前項(第2項、繰越控除の順序)の規定の適用がある場合において、
その者(個人)の有する通算後譲渡損失の金額の生じた年が
その者(個人)の有する特例対象純損失金額や特定雑損失金額の生じた年や翌年であるときが要件です。


ケース1
通算後譲渡損失の金額の生じた年が
特例対象純損失金額の生じた年であるとき

                 2年前           本年
|------|------|------|------|------|
              通算後譲渡損失の金額
              特例対象純損失金額
              (特定雑損失金額)

ケース2
通算後譲渡損失の金額の生じた年が
特例対象純損失金額の生じた年の翌年であるとき

                 2年前    翌年      本年
|------|------|------|------|------|
                      通算後譲渡損失の金額
              特例対象純損失金額
              (特定雑損失金額)

取り扱いを見てみましょう。

当該通算後譲渡損失の金額は当該特例対象純損失金額又は当該特定雑損失金額よりも古い年に生じたものとして前項の規定による控除を行う。

通算後譲渡損失の金額は、
・特例対象純損失金額
・特定雑損失金額
よりも古い年(前の年)に生じたものとして
前項(第2項)の規定による控除を行います。

同一年の場合の控除順序は、
1、所得税法第69条(損益通算)
2、所得税法第70条(純損失の繰越控除)
3、措置法第41条の5第4項(自宅などの売却損の繰越控除)
4、所得税法第71条第1項(雑損失の繰越控除)
ですが、特定非常災害の特例がある場合は、

3、措置法第41条の5第4項(自宅などの売却損の繰越控除)
2、所得税法第70条(純損失の繰越控除)
4、所得税法第71条第1項(雑損失の繰越控除)
の順に変わります。

翌年の場合は、

1、本年、特例対象純損失金額・特定雑損失金額
2、翌年、通算後譲渡損失の金額
が、

1、通算後譲渡損失の金額
2、特例対象純損失金額・特定雑損失金額
の順に変わります。

3年繰り越し(通算後譲渡損失の金額)と5年繰り越し(特例対象純損失金額・特定雑損失金額)を比較しますと、3年繰り越しが先に使えなくなるため、3年繰り越しを先に使うことになります。

参考情報1

翌々年の場合は、控除順序が変わりません。

通算後譲渡損失の金額の生じた年が
特例対象純損失金額の生じた年の翌々年の場合

                 3年前    2年前  1年前(翌々年)                         
|------|------|------|------|------|
                          通算後譲渡損失の金額
              特例対象純損失金額
              (特定雑損失金額)

         4年前     3年前   2年前(翌々年)            
|------|------|------|------|------|
                      通算後譲渡損失の金額
        特例対象純損失金額
        (特定雑損失金額)

   5年前    4年前   3年前(翌々年)
|------|------|------|------|------|
               通算後譲渡損失の金額
特例対象純損失金額
(特定雑損失金額)

参考情報2

ケース1
通算後譲渡損失の金額の生じた年が
特例対象純損失金額の生じた年の場合

          3年前    2年前            本年
|------|------|------|------|------|
            ←←通算後譲渡損失の金額
              特例対象純損失金額
              (特定雑損失金額)

ケース2
通算後譲渡損失の金額の生じた年が
特例対象純損失金額の生じた年の翌年の場合

         3年前     2年前    翌年      本年
|------|------|------|------|------|
            ←←←←←←←←←←←←通算後譲渡損失の金額
              特例対象純損失金額
              (特定雑損失金額)

同じ年か翌年の場合に順番が変わります。

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