今回は、自宅等を売却したときの損失に関する所得税の特例のうち、
1、特例の対象外となる取得
2、要件を満たす売却が2以上ある場合の選び方
3、居住用財産の譲渡損失の金額
の3つを見てみましょう。
特例の対象外となる取得
買換資産の取得する場合であっても特例の対象外となる取得があります。
7 法第四十一条の五第七項第一号に規定する政令で定める取得は、代物弁済(金銭債務の弁済に代えてするものに限る。)としての取得とする。
租税特別措置法施行令第26条の7第7項、令和8年1月1日施行
代物弁済としての取得は、特例の対象外です。
仕訳イメージ
買換資産 ××円 / 貸付金(金銭債権) ××円
要件を満たす売却が2以上ある場合の選び方
要件を満たす売却が2以上ある場合は、1つに限られます。
この選び方について規定されています。
8 法第四十一条の五第七項第一号の選定は、同号に規定する個人が、同条第二項の規定により同項の確定申告書に添付すべき同項に規定する居住用財産の譲渡損失の金額の計算に関する明細書に、一の特定譲渡(同号に規定する特定譲渡をいう。以下この条において同じ。)に係る同号に規定する居住用財産の譲渡損失の金額の計算に関する明細を記載することにより行うものとする。
租税特別措置法施行令第26条の7第8項、令和8年1月1日施行
具体的には、
確定申告書に添付する
「居住用財産の譲渡損失の金額の計算に関する明細書」に、
「居住用財産の譲渡損失の金額の計算に関する明細」を記載して、
1つを選択します。
居住用財産の譲渡損失の金額
居住用財産の譲渡損失の金額(自宅などの売却損)が規定されています。
9 法第四十一条の五第七項第一号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同号に規定する譲渡資産(第十二項及び第十四項において「譲渡資産」という。)の特定譲渡(その年において当該特定譲渡が二以上ある場合には、当該個人が前項の規定により選定した一の特定譲渡に限る。第十二項及び第十四項において同じ。)による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、当該特定譲渡をした日の属する年分の法第三十一条第一項に規定する長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(当該長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額のうちに法第三十二条第一項の規定により同項に規定する短期譲渡所得の金額の計算上控除する金額がある場合には、当該長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額から当該控除する金額に相当する金額を控除した金額)に達するまでの金額とする。
租税特別措置法施行令第26条の7第9項、令和8年1月1日施行
資産Aの売却損(長期) 1,000 → 通算○、損益通算と繰越控除×
資産Bの売却損(長期) 1,500 → 通算○、損益通算と繰越控除○
Bを選んだ場合、1,500が「居住用財産の譲渡損失の金額」になります。
(Aを選んだ場合は、1,000になります。)
参考情報
短期譲渡所得の利益がある場合を考えてみました。
他に売却した資産Cの売却益(短期)800がある場合、
資産Aの売却損(1,000)を先に通算するのでしょうか。
資産Bの売却損(1,500)を先に通算するのでしょうか。
資産Bの売却損を一の特定譲渡として選定しています。
ケース1、選定しなかった資産Aの売却損を先に通算する場合
資産Aの売却損(長期)1,000-資産Cの売却益(短期)800
=売却損200 損益通算と繰越控除×
資産Bの売却損(長期)1,500
損益通算と繰越控除○
ケース2、選定した資産Bの売却損を先に通算する場合
資産Aの売却損(長期)1,000
損益通算と繰越控除×
資産Bの売却損(長期)1,500-資産Cの売却益(短期)800
=売却損700 損益通算と繰越控除○
ケース1が有利な計算です。選べるのでしょうか?
規定に数字をあてはめてみます。
読み方1、順番は関係する。
法第四十一条の五第七項第一号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同号に規定する譲渡資産(第十二項及び第十四項において「譲渡資産」という。)の特定譲渡(その年において当該特定譲渡が二以上ある場合には、当該個人が前項の規定により選定した一の特定譲渡に限る。第十二項及び第十四項において同じ。)による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(1,500)のうち、
当該特定譲渡(選定した特定譲渡)をした日の属する年分の法第三十一条第一項に規定する長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(当該長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(Bの1,500)のうちに法第三十二条第一項の規定により同項に規定する短期譲渡所得の金額の計算上控除する金額(800)がある場合には、当該長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(Bの1,500)から当該控除する金額(800)に相当する金額(800)を控除した金額(Bの700))に達するまでの金額とする。1,500のうち700に達するまでの金額 → 700
最初は700と考えましたが、次の読み方が正しいような気がします。
読み方2、順番は関係しない。
当該特定譲渡(選定した特定譲渡)をした日の属する年分の法第三十一条第一項に規定する長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(当該長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(特定譲渡は選定されているが、長期譲渡所得の計算上生じた損失の金額は、合計2,500)のうちに法第三十二条第一項の規定により同項に規定する短期譲渡所得の金額の計算上控除する金額(800)がある場合には、当該長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(合計2,500)から当該控除する金額(800)に相当する金額(800)を控除した金額(合計1,700))に達するまでの金額とする。1,500のうち1,700に達するまでの金額 → 1,500
控除する順番は、関係ないのでしょう。
別のケースを考えてみましょう。
他に売却した資産Cの売却益(短期)2,000がある場合
資産Aの売却損(1,000)を先に通算するのでしょうか。
資産Bの売却損(1,500)を先に通算するのでしょうか。
資産Bの売却損を一の特定譲渡として選定しています。
読み方3、順番は関係する。
法第四十一条の五第七項第一号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同号に規定する譲渡資産(第十二項及び第十四項において「譲渡資産」という。)の特定譲渡(その年において当該特定譲渡が二以上ある場合には、当該個人が前項の規定により選定した一の特定譲渡に限る。第十二項及び第十四項において同じ。)による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(1,500)のうち、
当該特定譲渡(選定した特定譲渡)をした日の属する年分の法第三十一条第一項に規定する長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(当該長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(Bの1,500)のうちに法第三十二条第一項の規定により同項に規定する短期譲渡所得の金額の計算上控除する金額(2,000)がある場合には、当該長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(Bの1,500)から当該控除する金額(1,500)に相当する金額(1,500)を控除した金額(Bの0))に達するまでの金額とする。1,500のうち0に達するまでの金額 → 0
読み方4、順番は関係しない。
法第四十一条の五第七項第一号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同号に規定する譲渡資産(第十二項及び第十四項において「譲渡資産」という。)の特定譲渡(その年において当該特定譲渡が二以上ある場合には、当該個人が前項の規定により選定した一の特定譲渡に限る。第十二項及び第十四項において同じ。)による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(1,500)のうち、
当該特定譲渡(選定した特定譲渡)をした日の属する年分の法第三十一条第一項に規定する長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(当該長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(合計2,500)のうちに法第三十二条第一項の規定により同項に規定する短期譲渡所得の金額の計算上控除する金額(2,000)がある場合には、当該長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(合計2,500)から当該控除する金額(2,000)に相当する金額(2,000)を控除した金額(500))に達するまでの金額とする。1,500のうち500に達するまでの金額 → 500
選定した特定譲渡の売却損(1,500)のうち、
その年分の長期譲渡所得の損失合計-その年分の短期譲渡所得の利益合計
という意味(読み方2や読み方4、順番は関係しない)なのでしょう。
