今回は、自宅等を売却したときの損失に関する所得税の特例のうち、特定純損失の金額と書類の提出を確認してみましょう。
特定純損失の金額
規定を見てみましょう。
14 法第四十一条の五第八項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、その年において行つた譲渡資産の特定譲渡(同条第七項第一号に規定する適用期間内に行つたものに限る。)による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額に係る同号に規定する居住用財産の譲渡損失の金額のうち、その年において生じた純損失の金額から当該純損失の金額が生じた年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額(法第三十一条第一項に規定する長期譲渡所得の金額及び法第三十二条第一項に規定する短期譲渡所得の金額を除く。)の計算上生じた損失の金額の合計額(当該合計額が当該純損失の金額を超える場合には、当該純損失の金額に相当する金額)を控除した金額に達するまでの金額とする。
租税特別措置法施行令第26条の7第14項、令和8年1月1日
特定純損失の金額は、
「居住用財産の譲渡損失の金額A」のうち、
1、その年において生じた純損失の金額
2、純損失の金額が生じた年分の
・不動産所得の金額
・事業所得の金額
・山林所得の金額
・譲渡所得の金額(長期譲渡所得の金額と短期譲渡所得の金額は除外)
の計算をした場合に発生した損失の金額の合計額
3、控除した金額(1-2=B)に達するまでの金額とする。
居住用財産の譲渡損失の金額A
|-------------------------| 2,500
1、純損失の金額
|-----------------| 1,700
2、損失の金額の合計額
|--------| 800
3、控除した金額B 特定純損失の金額
|--------| 900
AのうちBに達するまでの金額なので、
A>Bの場合は、Bの金額(900)になります。
居住用財産の譲渡損失の金額A
|----| 400
1、純損失の金額
|----------| 1,000
2、損失の金額の合計額
|-----------------| 1,700
3、控除した金額B
特定純損失の金額 0
A>Bの場合は、
Bの金額(居住用財産の譲渡損失の金額)になります。
カッコ書きに、「当該合計額が当該純損失の金額を超える場合には、当該純損失の金額に相当する金額」とあるため、2の合計額は、純損失の金額に相当する金額(1,700→1,000)に変わり、控除した金額Bは、1,000-1,000=0になります。
AのうちBに達するまでの金額なので、
A<Bの場合は、Bの金額(0)になります。
書類の提出が必要
自宅などの売却損の特例を受けようとする人は、
確定申告書の他に一定の書類を提出する必要があります。
17 法第四十一条の五第二項の確定申告書を提出する者は、買換資産(同条第七項第一号に規定する買換資産をいう。以下この項において同じ。)の明細、当該買換資産に係る同条第七項第四号に規定する住宅借入金等の金額及び当該買換資産を居住の用に供する年月日に関する財務省令で定める書類を、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日又は期限までに納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
租税特別措置法施行令第第26条の7第17項、令和8年1月1日施行
一 特定譲渡の日の属する年の十二月三十一日までに買換資産の取得(法第四十一条の五第七項第一号に規定する取得をいう。次号において同じ。)をする場合 当該確定申告書の提出の日
二 特定譲渡の日の属する年の翌年一月一日から法第四十一条の五第七項第一号に規定する取得期限までの間に買換資産の取得をする場合 当該買換資産の取得をした日の属する年分の確定申告書の提出期限
租税特別措置法第41条の5第2項の確定申告書を提出する人は、
・買換資産(新しいマイホーム)の明細
・買換資産の住宅ローン等の金額
・買換資産を居住用に使用する年月日に関する一定の書類
を次の各号(第1号、第2号)の区分に応じ、
その各号に定める日や期限までに
納税地の所轄税務署長(税務署)に提出する必要があります。
第1号
特定譲渡の日を含む年の12月31日までに
新しいマイホームの取得をする場合は、その確定申告書の提出日
第2号
・特定譲渡の日を含む年の翌年1月1日から
・取得期限まで
の間に新しいマイホームを取得する場合は、
新しいマイホームの取得日を含む年分の確定申告書の提出期限
第2号と異なり、第1号は確定申告書の提出期限ではなく、
提出日と規定されています。
参考情報、年月日に関する一定の書類
11 施行令第二十六条の七第十七項に規定する財務省令で定める書類は、次の各号に掲げる個人の区分に応じ当該各号に定める書類(その個人が取得をした買換資産を同項各号に定める日又は期限までに居住の用に供していない場合には、当該書類並びにその旨及びその居住の用に供する予定年月日その他の事項を記載した書類)とする。
租税特別措置法施行規則第18条の25第11項、令和8年1月1日施行
一 取得をした買換資産に係る住宅借入金等に係る債権者に法第四十一条の二の三第一項の規定により同条第二項に規定する適用申請書の提出をした個人 取得をした買換資産に係る登記事項証明書、売買契約書の写しその他の書類で、当該買換資産の取得をしたこと、当該買換資産の取得をした年月日及び当該買換資産に係る家屋の床面積(施行令第二十六条の七第六項各号に規定する個人が居住の用に供する部分の床面積をいう。)が五十平方メートル以上であることを明らかにする書類
二 前号に掲げる個人以外の個人 次に掲げる書類
イ 前号に定める書類
ロ 取得をした買換資産に係る住宅借入金等の残高証明書
参考情報
メモ書きです。
通算後譲渡損失の金額は、措置法施行令第26条の7第12項
特定純損失の金額は、措置法施行令第26条の7第14項
に規定されています。
今回、特定純損失の金額の定義を確認して
「通算後譲渡損失の金額」と「特定純損失の金額」は、
異なる金額になる場合があると読みましたが、同じ金額になるようです。
異なる金額になる場合があると考えた理由は、500㎡超の制限計算です。
通算後譲渡損失の金額については、
500㎡超の制限計算があります。
特定純損失の金額については、
500㎡超の制限計算の規定が直接規定されていません。
(されていないと読んでいます。)
そのため、500㎡超の制限計算がある場合は、
計算結果などが変わるのかなと考えましたが……
第12項の純損失の金額と第14項の純損失の金額の意味が
異なると読むのが正しいのかもしれません。
自宅などの売却損の繰越控除については、
「通算後譲渡損失の金額(制限計算あり)」があることが要件です。
青色申告の純損失がある場合の読替え規定はついては、
純損失の金額から特定純損失の金額(制限計算を考慮する?しない?)を
マイナスする規定になっています。
