自宅等を売却したときの損失に関する所得税の特例_500㎡を超える場合の調整計算と通算後譲渡損失の金額の計算


今回は、自宅等を売却したときの損失に関する所得税の特例のうち、500㎡を超える場合の調整計算と通算後譲渡損失の金額の計算を確認してみましょう。

500㎡を超える場合の調整計算

自宅などの売却損は、特例の要件を満たした場合
・損益通算(他の黒字と通算)
が可能です。

損益通算した後の自宅などの売却損を
「通算後譲渡損失の金額」といいます。

この通算後譲渡損失の金額については、売却損の中に500㎡を超える土地などの売却がある場合は、調整計算が必要です。

今回は、調整計算の規定を見てみましょう。

達するまでの金額(当該居住用財産の譲渡損失の金額に係る譲渡資産のうちに土地又は土地の上に存する権利(以下この項において「土地等」という。)で同条第七項第三号に規定する政令で定める面積(以下この項において「面積」という。)が五百平方メートルを超えるものが含まれている場合には、当該金額から、当該金額に当該居住用財産の譲渡損失の金額のうちに当該土地等の特定譲渡による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額の占める割合を乗じて計算した金額に超過面積割合(当該土地等に係る面積のうちに当該五百平方メートルを超える部分に係る当該面積の占める割合をいう。)を乗じて計算した金額を控除した金額)

租税特別措置法施行令第26条の7第12項、令和8年1月1日

土地等で面積が500㎡を超えるものが含まれている場合には、

その金額(達するまでの金額)

から

金額(達するまでの金額)に

居住用財産の譲渡損失の金額(分母)のうちに
土地等の特定譲渡による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額(分子)
の占める割合をかけて計算した金額に

超過面積割合(500㎡を超える割合)をかけて計算した金額

をマイナスした金額に変わります。

通算後譲渡損失の金額-調整金額=通算後譲渡損失の金額です。

土地等とあるため、家屋部分は関係ありません。

1つ目の割合は、次の割合です。
分子、居住用財産の譲渡損失の金額(土地等)
分母、居住用財産の譲渡損失の金額(家屋と土地等)

(家屋の売却が黒字、土地等の売却が赤字の場合は、割合が1を超えることになるため、割合は100%になると思います。)

2つ目の割合は、超過面積割合です。

土地等に係る面積(700㎡)のうちに
500㎡を超える部分に係る面積(200㎡)の占める割合です。

分子、700㎡-500㎡=200㎡(500㎡を超える部分の面積)
分母、700㎡

例えば、次の場合
家屋の売却損 300万円
土地等の売却損 700万円
合計 1,000万円

通算後譲渡損失の金額 100万円

土地の売却損の割合
土地(700万円)÷(全体)1,000万円=70%

超過面積割合
200㎡÷700㎡=2/7

通算後譲渡損失の金額(100万円)-
通算後譲渡損失の金額(100万円)×70%×2/7=80万円

70%×2/7=20%部分は、通算後譲渡損失の金額になりません。
(繰り越しの対象外です。)

参考情報、国税庁、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用を受ける場合の確定申告書等の書き方(措法41の5)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/kakikata/01/tokurei.htm

通算後譲渡損失の金額の計算

通算後譲渡損失の金額を数字を使って考えてみましょう。


一般の赤字 1,500
居住用の赤字 2,200
合計の赤字 3,700

損益通算できる他の所得1,700

他の所得は、一般の赤字から損益通算するのか、居住用の赤字から損益通算するのかを数字を使ってみました。結論は、居住用の赤字から先に損益通算します。ケース2とケース3です。

ケース1、一般の赤字から損益通算する場合

全体の赤字2,000
=一般の赤字0(3年繰り越し)+居住用の赤字2,000(3年繰り越し)

一般1,500   居住用2,200
|-----|--------|

他の黒字1,700
|-------|

         居住用2,000
        |------|

12 法第四十一条の五第七項第三号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項第一号に規定する居住用財産の譲渡損失の金額(以下この項において「居住用財産の譲渡損失の金額」という。)<2,200>のうち、その年において生じた純損失の金額<2,000→500>(次の各号に掲げる場合に該当する場合には、当該金額<2,000>から、当該各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額<1,500>を控除した金額<500>)に達するまでの金額<500>

一 当該居住用財産の譲渡損失の金額が生じた年(その年分の所得税につき青色申告書を提出する年に限る。)において、その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額(法第三十一条第一項に規定する長期譲渡所得の金額及び法第三十二条第一項に規定する短期譲渡所得の金額を除く。)の計算上生じた損失の金額<1,500>がある場合 当該損失の金額の合計額<1,500>(当該合計額<1,500>がその年において生じた純損失の金額<2,000>を超えるときは、当該純損失の金額に相当する金額)
ケース2、居住用の赤字から損益通算する場合

全体の赤字2,000
=一般の赤字1,500(3年繰り越し)+居住用の赤字500(3年繰り越し)

一般1,500    居住用2,200
|-----|--------|

         他の黒字1,700
         |-----|

一般1,500  居住用500
|-----|--|

12 法第四十一条の五第七項第三号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項第一号に規定する居住用財産の譲渡損失の金額(以下この項において「居住用財産の譲渡損失の金額」という。)<2,200>のうち、その年において生じた純損失の金額<2,000→500>(次の各号に掲げる場合に該当する場合には、当該金額<2,000>から、当該各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額<1,500>を控除した金額<500>)に達するまでの金額<500>

一 当該居住用財産の譲渡損失の金額が生じた年(その年分の所得税につき青色申告書を提出する年に限る。)において、その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額(法第三十一条第一項に規定する長期譲渡所得の金額及び法第三十二条第一項に規定する短期譲渡所得の金額を除く。)の計算上生じた損失の金額<1,500>がある場合 当該損失の金額の合計額<1,500>(当該合計額<1,500>がその年において生じた純損失の金額<2,000>を超えるときは、当該純損失の金額に相当する金額)
ケース3、居住用の赤字から損益通算する場合

一般1,500    居住用2,200
|-----|--------|

        他の黒字2,500
    |----------|

一般1,200   居住用0
|---| 

12 法第四十一条の五第七項第三号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項第一号に規定する居住用財産の譲渡損失の金額(以下この項において「居住用財産の譲渡損失の金額」という。)<2,200>のうち、その年において生じた純損失の金額<1,200>(次の各号に掲げる場合に該当する場合には、当該金額<1,200>から、当該各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額<1,200>を控除した金額<0>)に達するまでの金額<0>

一 当該居住用財産の譲渡損失の金額が生じた年(その年分の所得税につき青色申告書を提出する年に限る。)において、その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額(法第三十一条第一項に規定する長期譲渡所得の金額及び法第三十二条第一項に規定する短期譲渡所得の金額を除く。)の計算上生じた損失の金額<1,500>がある場合 当該損失の金額の合計額<1,500>(当該合計額<1,500>がその年において生じた純損失の金額<1,200>を超えるときは、当該純損失の金額に相当する金額<1,200>)
ケース4、一般の赤字から損益通算する場合

一般1,500    居住用2,200
|-----|--------|

  他の黒字2,500
|----------|

           居住用1,200
           |---|

12 法第四十一条の五第七項第三号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項第一号に規定する居住用財産の譲渡損失の金額(以下この項において「居住用財産の譲渡損失の金額」という。)<2,200>のうち、その年において生じた純損失の金額<1,200→0>(次の各号に掲げる場合に該当する場合には、当該金額<1,200>から、当該各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額<1,200>を控除した金額<0>)に達するまでの金額<0>

一 当該居住用財産の譲渡損失の金額が生じた年(その年分の所得税につき青色申告書を提出する年に限る。)において、その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額(法第三十一条第一項に規定する長期譲渡所得の金額及び法第三十二条第一項に規定する短期譲渡所得の金額を除く。)の計算上生じた損失の金額<1,500>がある場合 当該損失の金額の合計額<1,500>(当該合計額<1,500>がその年において生じた純損失の金額<1,200>を超えるときは、当該純損失の金額に相当する金額<1,200>)

ケース1と4(一般の赤字から損益通算)は計算結果が一致せず、
ケース2と3(居住用の赤字から損益通算)は計算結果が一致します。

下記の部分について

当該合計額がその年において生じた純損失の金額を超えるときは、当該純損失の金額に相当する金額

「一般の赤字の合計額>純損失の金額」の部分は、
一般の赤字についても損益通算を受けて、
一般の赤字が減っているという意味です。
(居住用の赤字が損益通算でなくなっている。)

一般の赤字の合計額<純損失の金額の場合は、
一般の赤字の合計額のほかに、居住用の赤字があるという意味です。

最初に規定されている「純損失の金額」は、
損益通算しきれない不動産、事業、山林、譲渡(居住用も含む)の赤字です。

当該金額=純損失の金額という意味です。

次の各号に掲げる場合に該当する場合、
一般の赤字がある場合(青色申告の場合と白色申告の場合に分かれます。)

全体の純損失の金額-一般の純損失
=居住用の純損失(特例)
(全体の純損失の方が多い。)

全体の純損失の金額-全体の純損失の金額
=居住用の純損失0円
(居住用の純損失が残っていない。)

なぜ、先に居住用の純損失の金額を使うのか考えてみると
特例だからです。

一般の純損失の金額を先に損益通算に使用して
居住用の純損失の金額が残ると特例の効果が減るからです。

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