行政手数料などの非課税


今回は、行政手数料などの非課税のうち、消費税法別表第2第5号イを確認してみましょう。

非課税となる行政手数料など

先に規定を確認してみましょう。

五 次に掲げる役務の提供
イ 国、地方公共団体、別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国若しくは地方公共団体の委託若しくは指定を受けた者が、法令に基づき行う次に掲げる事務に係る役務の提供で、その手数料、特許料、申立料その他の料金の徴収が法令に基づくもの(政令で定めるものを除く。)
(1) 登記、登録、特許、免許、許可、認可、承認、認定、確認及び指定
(2) 検査、検定、試験、審査、証明及び講習
(3) 公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写
(4) 裁判その他の紛争の処理

消費税法別表第2第5号イ、令和7年4月1日施行

非課税の対象者は、次の4つです。
・国
・地方公共団体
・別表第三に掲げる法人
・法令に基づき国や地方公共団体の委託や指定を受けた者

非課税の対象となるサービスの1つ目の要件は、
・法令に基づき行う次の事務サービスの提供
です。

(1) 登記、登録、特許、免許、許可、認可、承認、認定、確認、指定
(2) 検査、検定、試験、審査、証明、講習
(3) 公文書の交付、再交付、書換交付、更新、訂正、閲覧、謄写
(4) 紛争(例、裁判)の処理

非課税の対象となるサービスの2つ目の要件は、
・料金の徴収が法令に基づくもの
です。

ただし、一定のサービスについては、除外されています。

非課税にならないもの

「政令で定めるものを除く。」とありますので、消費税法施行令に規定されているものについては、消費税が課税されます。

規定を確認してみましょう。

(国、地方公共団体等の役務の提供から除外されるものの範囲等)
第十二条 法別表第二第五号イに規定する政令で定める役務の提供は、次に掲げる事務に係る役務の提供とする。
一 検査、検定、試験、審査及び講習(以下この号において「特定事務」という。)のうち次のいずれにも該当しないもの
イ 省略
ロ 省略
ハ 省略
ニ 省略
二 前号に掲げる事務に係る証明並びに公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写

消費税法施行令第12条第1項、令和7年4月1日施行

全体像を確認してみましょう。
第1号、特定事務のうち、次のいずれにも該当しないもの → 課税
(次のいずれかに該当するものは非課税)
・イ
・ロ
・ハ
・ニ
第2号、いずれにも該当しないものの証明など → 課税

特定事務

検査、検定、試験、審査、講習の5つを「特定事務」といいます。

特定事務のうち、次のいずれにも該当しないものは、消費税が課税されます。
(次のいずれかに該当するものは、消費税が非課税となります。)

1つ目、イの規定

イ 法令において、医師その他の法令に基づく資格(法令において当該資格を有しない者は当該資格に係る業務若しくは行為を行い、若しくは当該資格に係る名称を使用することができないこととされているもの又は法令において一定の場合には当該資格を有する者を使用し、若しくは当該資格を有する者に当該資格に係る行為を依頼することが義務付けられているものをいう。以下この号及び次項第二号において同じ。)を取得し、若しくは維持し、又は当該資格に係る業務若しくは行為を行うにつき、当該特定事務に係る役務の提供を受けることが要件とされているもの

カッコ書きを省略してみましょう。

法令において、医師その他の法令に基づく資格を取得し、若しくは維持し、又は当該資格に係る業務若しくは行為を行うにつき、当該特定事務に係る役務の提供を受けることが要件とされているもの

1、法令において、資格の取得や維持をすることについて、特定事務(検査、検定、試験、審査、講習)のサービスの提供を受けることが要件とされているもの

2、法令において、資格の業務や行為をすることについて、特定事務(検査、検定、試験、審査、講習)のサービスの提供を受けることが要件とされているもの

カッコ書きには、資格が定義されています。

法令において当該資格を有しない者は当該資格に係る業務若しくは行為を行い、若しくは当該資格に係る名称を使用することができないこととされているもの

又は

法令において一定の場合には当該資格を有する者を使用し、若しくは当該資格を有する者に当該資格に係る行為を依頼することが義務付けられているもの

をいいます。

資格がない人は、業務や行為ができなかったり、名称の使用ができなかったりするものです。

もう1つが、条件付きで資格がある人を使用したり、資格を有する人に行為を依頼する必要があるものです。

2つ目、ロの規定

ロ 法令において、一定の食品の販売その他の行為を行う場合にその対象となる資産又は使用する資産について当該特定事務に係る役務の提供を受けることが要件とされているもの

法令において、一定の食品の販売などをする場合にその対象となる資産や使用する資産について、特定事務(検査、検定、試験、審査、講習)のサービスの提供を受ける必要があるものです。

3つ目、ハの規定

ハ 法令において、当該特定事務により一定の型式又は規格に該当するものとされた資産以外の資産は当該型式又は規格に係る表示を付し、又は名称を使用することができないこととされているもの

法令において、特定事務(検査、検定、試験、審査、講習)により一定の型式や規格に該当するものとされた資産「以外の資産」は、型式や規格の表示や名称の使用ができないものです。

4つ目、ニの規定

ニ 電気事業法第五十四条(定期検査)の検査その他の特定事務で法令において当該特定事務に係る役務の提供を受けることが義務付けられているもの

特定事務(検査、検定、試験、審査、講習)で法令において特定事務のサービスの提供を受ける必要があるものです。

参考規定、電気事業法第54条

(定期検査)
第五十四条 特定重要電気工作物(発電用のボイラー、タービンその他の電気工作物のうち、公共の安全の確保上特に重要なものとして主務省令で定めるものであつて、主務省令で定める圧力以上の圧力を加えられる部分があるもの並びに発電用原子炉(原子炉等規制法第二条第五項に規定する発電用原子炉をいう。次条第一項第三号において同じ。)及びその附属設備であつて主務省令で定めるものをいう。)については、これらを設置する者は、主務省令で定めるところにより、主務省令で定める時期ごとに、主務大臣が行う検査を受けなければならない。ただし、主務省令で定める場合は、この限りでない。

電気事業法第54条、令和7年6月6日
課税される事務の証明など

先に規定を確認してみましょう。

二 前号に掲げる事務に係る証明並びに公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写

第1号には、消費税が課税される特定事務が規定されています。

消費税が課税される特定事務(前号の事務)の
・証明
・公文書の交付(再交付や書換交付を含む)、更新、訂正、閲覧、謄写
については、消費税が課税されます。

参考情報

消費税法基本通達
・6-5-1、非課税となる行政手数料等の範囲等
・6-5-2、非課税とならない行政手数料等

法令の範囲
法律、政令、省令、大臣告示、条例、規則を含みます。
業務方法書や定款等を含みません。


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