行政手数料等の非課税_賦課金等と情報公開関係と裁判所法等と外国為替業務


今回は、消費税の行政手数料等の非課税のうち、
賦課金等、情報公開関係、裁判所法等、外国為替業務を確認します。

内容

消費税の非課税については、別表第1に限定列挙されています。

参考、消費税の非課税規定

(非課税)
第六条 国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。
2 保税地域から引き取られる外国貨物のうち、別表第二に掲げるものには、消費税を課さない。

消費税法

別表第1の中に非課税となる行政手数料等が定められています。
先に行政手数料等の非課税規定をまとめました。

今回は、賦課金等、情報公開関係、裁判所法等、外国為替業務を確認します。

消費税法消費税法施行令
消費税法6条1項
別表第1には消費税を課さない。
 ↓
別表第1、5号
行政手数料等のうち一定もの

イ 一定のものは非課税
料金徴収が法令に基づくもの
 (政令で定めるものを除く。)
第12条1項、課税されるもの
ロ 政令で定めるものは非課税第12条2項、非課税となるもの
 1号
 2号
 3号、賦課金、滞納処分
 4号、情報公開関係
ハ 裁判所法、公証人法関係で一定のものは非課税
二 外国為替業務で一定のものは非課税(政令で定めるものを除く。)第13条、課税されるもの
まとめ1
賦課金、滞納処分、情報公開に関するサービス

賦課金、滞納処分(下記3号)については、
対象者が国・地方公共団体に限られ、
別表第3法人や委託・指定を受けた者は含まれません。
非課税となるサービスは法令に規定されている必要があります。

消費税法

ロ イに掲げる役務の提供に類するものとして政令で定めるもの

消費税法別表第1,5号

消費税法施行令

 法別表第一第五号ロに規定する政令で定める役務の提供は、次に掲げる役務の提供とする。
一 (省略、別表第3法人含む。)
二 (省略、別表第3法人含む。)
 国又は地方公共団体が、法令に基づき行う他の者の徴収すべき料金、賦課金その他これらに類するものの滞納処分について、法令に基づき当該他の者から徴収する料金に係る役務の提供

消費税法施行令12条2項

情報公開関係(下記4号)については、
情報公開法17条1項と財務省令で定めるものが非課税となります。
ただし、「法別表第一第五号イ(3)又は第一号ハに掲げる事務に係るもの」は非課税から除きます。

消費税法施行令

2 法別表第一第五号ロに規定する政令で定める役務の提供は、次に掲げる役務の提供とする。
一 (省略、別表第3法人含む)
二 (省略、別表第3法人含む)
三 (省略、別表第3法人含まない)
 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)第十七条第一項(手数料)に規定する手数料を対価とする役務の提供その他これに類するものとして財務省令で定めるもの(法別表第一第五号イ(3)又は第一号ハに掲げる事務に係るものを除く。)

消費税法施行令12条2項

17条1項を確認します。

(手数料)
第十七条 開示請求をする者又は法人文書の開示を受ける者は、独立行政法人等の定めるところにより、それぞれ、開示請求に係る手数料又は開示の実施に係る手数料を納めなければならない。

独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律

財務省令で定めるものを確認します。

(独立行政法人等の情報の公開に係る役務の提供に類するものの範囲)
第三条の二 令第十二条第二項第四号に規定する財務省令で定めるものは、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第八十九条第三項(手数料)に規定する手数料又は同法第百十七条第三項(手数料)に規定する利用料を対価とする役務の提供とする。

消費税法施行規則3条の2

個人情報保護法89条3項と117条3項が非課税です。

2023/6/1、更新
上記規定は、改正前ですので改正後の規定を確認します。

(独立行政法人等の情報の公開に係る役務の提供に類するものの範囲)
第三条の二令第十二条第二項第四号に規定する財務省令で定めるものは、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第八十九条第四項(手数料)に規定する手数料又は同法第百十九条第五項(手数料)に規定する利用料を対価とする役務の提供とする。

消費税法施行規則3条の2

個人情報保護法も改正後の規定を確認します。

(手数料)
第八十九条 行政機関の長に対し開示請求をする者は、政令で定めるところにより、実費の範囲内において政令で定める額の手数料を納めなければならない。
2 地方公共団体の機関に対し開示請求をする者は、条例で定めるところにより、実費の範囲内において条例で定める額の手数料を納めなければならない。
3 前二項の手数料の額を定めるに当たっては、できる限り利用しやすい額とするよう配慮しなければならない。
4 独立行政法人等に対し開示請求をする者は、独立行政法人等の定めるところにより、手数料を納めなければならない。

個人情報の保護に関する法律

119条5項を確認します。

(手数料)
第百十九条 第百十五条の規定により行政機関等匿名加工情報の利用に関する契約を行政機関の長と締結する者は、政令で定めるところにより、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。
2 前条第二項において準用する第百十五条の規定により行政機関等匿名加工情報の利用に関する契約を行政機関の長と締結する者は、政令で定めるところにより、前項の政令で定める額を参酌して政令で定める額の手数料を納めなければならない。
3 第百十五条の規定により行政機関等匿名加工情報の利用に関する契約を地方公共団体の機関と締結する者は、条例で定めるところにより、実費を勘案して政令で定める額を標準として条例で定める額の手数料を納めなければならない。
4 前条第二項において準用する第百十五条の規定により行政機関等匿名加工情報の利用に関する契約を地方公共団体の機関と締結する者は、条例で定めるところにより、前項の政令で定める額を参酌して政令で定める額を標準として条例で定める額の手数料を納めなければならない。
5 第百十五条の規定(前条第二項において準用する場合を含む。第八項及び次条において同じ。)により行政機関等匿名加工情報の利用に関する契約を独立行政法人等と締結する者は、独立行政法人等の定めるところにより、利用料を納めなければならない。

個人情報の保護に関する法律

上記の手数料であっても、次の事務に係るものは非課税から除きます。

法別表第一第五号イ(3)

イ 国、地方公共団体、別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国若しくは地方公共団体の委託若しくは指定を受けた者が、法令に基づき行う次に掲げる事務に係る役務の提供で、その手数料、特許料、申立料その他の料金の徴収が法令に基づくもの(政令で定めるものを除く。)
(3) 公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写

消費税法別表第一第五号イ(3)

第一号ハ

(国、地方公共団体等の役務の提供から除外されるものの範囲等)
第十二条 法別表第一第五号イに規定する政令で定める役務の提供は、次に掲げる事務に係る役務の提供とする。
一 検査、検定、試験、審査及び講習(以下この号において「特定事務」という。)のうち次のいずれにも該当しないもの

消費税法施行令

2 法別表第一第五号ロに規定する政令で定める役務の提供は、次に掲げる役務の提供とする。
一 国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国又は地方公共団体の委託又は指定を受けた者が、法令に基づき行う次に掲げる事務に係る役務の提供で、その手数料その他の料金の徴収が法令に基づくもの

 公文書に類するもの(記章、標識その他これらに類するものを含む。次号において同じ。)の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(前項第一号に掲げる事務に係るものを除く。)

消費税法施行令12条2項1号

非課税から除かれるものについて
この辺りは、消費税法基本通達に情報がまとまっています。

参考通達
消費税法基本通達6-5-1(非課税となる行政手数料等の範囲等)
消費税法基本通達6-5-2(非課税とならない行政手数料等)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/06/05.htm

(4) 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下6-5-1において「独法等情報公開法」という。)第2条第1項≪定義≫に規定する独立行政法人等又は個人情報の保護に関する法律(以下6-5-1において「個人情報保護法」という。)第2条第9項≪定義≫に規定する独立行政法人等のうち法別表第三に掲げる法人以外の法人が独法等情報公開法第17 条第1項≪手数料≫又は個人情報保護法第89 条第3項≪手数料≫若しくは第117 条第3項《手数料》に基づき徴収する手数料又は利用料

(注) 法別表第三に掲げる法人が独法等情報公開法第17 条第1項≪手数料≫又は個人情報保護法第89 条第3項≪手数料≫若しくは第117 条第3項《手数料》に基づき徴収する手数料又は利用料は?ニ又はチに該当する。

消費税法基本通達6-5-1(非課税となる行政手数料等の範囲等)

6-5-1、(1)ニとチ

6-5-1 国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国若しくは地方公共団体の委託又は指定を受けた者が徴収する手数料等で法別表第一第5号イ及びロ《国、地方公共団体等が行う役務の提供》の規定により非課税となるのは、次のものであるから留意する。(平14課消1-12、平17課消1-22、平28課消1-57、平30課消2-5、令4課消2-4により改正)

(1) 法令(法律、政令、省令又は大臣告示のほか条例及び規則を含み、業務方法書又は定款等は含まない。以下6-5-2までにおいて同じ。)に基づいて行われる次に掲げる事務の手数料、特許料、申立料その他の料金(以下6-5-1において「手数料等」という。)で、その徴収について法令に根拠となる規定があるもの

ニ 公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(令第12条第1項第2号に掲げるものを除く。)

チ 公文書に類するもの(記章、標識その他これらに類するものを含む。以下同じ。)の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(令第12条第1項第1号に掲げる事務に係るものを除く。)

消費税法基本通達
情報公開サービスの非課税の読み方

非課税規定の読み方で気になったものをメモします。
(実際に判定する際は留意してください。)

四 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)第十七条第一項(手数料)に規定する手数料を対価とする役務の提供その他これに類するものとして財務省令で定めるもの(法別表第一第五号イ(3)又は第一号ハに掲げる事務に係るものを除く。)

消費税法施行令12条2項4号

カッコ書きで「法別表第一第五号イ」と「第一号ハ」に掲げる事務に係るものを除く。とありますが、「課税とするための除く」ではなく、
「別規定で判定するための除く」に読めます。

消費税法基本通達6-5-1(4)では、
「別表第3法人」と「別表第3法人以外の法人」を分けています。

別表第3に掲げる法人以外の法人については、(4)で非課税となりますが、
別表第3に掲げる法人については、(1)ニとチに該当するとあります。

(1)ニとチはいずれも、全てが非課税となるわけではなく、特定事務以外については、課税となります。課税となる事務の情報公開サービスは課税と読んで整理したものが次の関係です。

別表第3法人
の情報公開サービス
別表第3法人以外の法人
の情報公開サービス
消費税法
五 次に掲げる役務の提供
イ 国、地方公共団体、別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国若しくは地方公共団体の委託若しくは指定を受けた者が、法令に基づき行う次に掲げる事務に係る役務の提供で、その手数料、特許料、申立料その他の料金の徴収が法令に基づくもの(政令で定めるものを除く。)
(3) 公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写

原則、非課税
政令で定めるものは課税
(特定事務以外)

消費税法施行令
2 法別表第一第五号ロに規定する政令で定める役務の提供は、次に掲げる役務の提供とする。
 国、地方公共団体、法別表第三に掲げる法人その他法令に基づき国又は地方公共団体の委託又は指定を受けた者が、法令に基づき行う次に掲げる事務に係る役務の提供で、その手数料その他の料金の徴収が法令に基づくもの
ハ 公文書に類するもの(記章、標識その他これらに類するものを含む。次号において同じ。)の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(前項第一号に掲げる事務に係るものを除く。)

原則、非課税
特定事務以外は課税
消費税法施行令12条2項4号により非課税(カッコ書きの除くは別表第3法人のこと)

別表第3法人については、先(左)の規定にあてはまるため、先(左)の規定で判定します。

別表第3法人であっても、国・地方公共団体の委託や指定でない場合は、先(左)の規定にあてはまらないため、この規定(4号)にあてはまる可能性があるかもしれません。
まとめ

法別表第一第五号イ(3)が単なる
「公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写」ではなく、
政令で定めるもの(課税されるもの)を除いた
「公文書の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写」を指しているのであれば、
ハの「公文書に類するもの(記章、標識その他これらに類するものを含む。次号において同じ。)の交付(再交付及び書換交付を含む。)、更新、訂正、閲覧及び謄写(前項第一号に掲げる事務に係るものを除く。)
とバランスが取れているように見えます。

まとめると情報公開サービスは原則として非課税ですが、
非課税となる行政手数料等から除外されるもの(課税取引)に関する
情報公開サービスは課税と読めます。
(この辺の解釈は逐条解説などに載っているかもしれませんね。)

メモ
法別表第3に掲げる法人(委託・指定あり、法令に基づく事務)
 別表第1第5号イ(3)に該当する可能性があるため除く
  別規定で判定するため除く?→課税と非課税に分かれる可能性?
 消令12条2項1号ハに該当する可能性があるため除く
  別規定で判定するため除く?→課税と非課税に分かれる可能性?
法別表第3以外の法人、法別表第3であっても上記に該当しないもの
 消令12条2項4号により非課税

裁判所法等に関するサービス

非課税規定を確認します。

 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第六十二条第四項(執行官)又は公証人法(明治四十一年法律第五十三号)第七条第一項(手数料等)の手数料を対価とする役務の提供

消費税法別表第1、5号

裁判所法の規定を確認します。

第六十二条(執行官) 各地方裁判所に執行官を置く。
② 執行官に任命されるのに必要な資格に関する事項は、最高裁判所がこれを定める。
③ 執行官は、他の法律の定めるところにより裁判の執行、裁判所の発する文書の送達その他の事務を行う。
④ 執行官は、手数料を受けるものとし、その手数料が一定の額に達しないときは、国庫から補助金を受ける。

裁判所法

〇文字です。主語が「執行官」なので、執行官自身が消費税法の事業者?と思って調べてみると、執行官自身は、国から給与を受け取らずに、上記手数料を受け取るようです。消費税法の事業者ということになります。

公証人法を確認します。

第七条 公証人ハ嘱託人ヨリ手数料、送達ニ要スル料金、第五十七条ノ三ノ登記ノ手数料相当額(第三項ニ於テ登記手数料ト称ス)、日当及旅費ヲ受ク

公証人法

文語体ですね。

外国為替業務に関するサービス

規定を確認します。

ニ 外国為替及び外国貿易法第五十五条の七(外国為替業務に関する事項の報告)に規定する外国為替業務(銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第十条第二項第五号(業務の範囲)に規定する譲渡性預金証書の非居住者からの取得に係る媒介、取次ぎ又は代理に係る業務その他の政令で定める業務を除く。に係る役務の提供

消費税法別表第1、5号ニ

消費税法施行令に課税取引となるものが規定されています。

(外国為替業務から除かれる業務)
第十三条 法別表第一第五号ニに規定する政令で定める業務は、次に掲げるものの居住者による非居住者からの取得又は居住者による非居住者に対する譲渡に係る媒介、取次ぎ又は代理に係る業務とする。
一 法別表第一第五号ニに規定する譲渡性預金証書(第十条第三項第一号に規定する譲渡性預金証書に限る。)
二 外国為替令(昭和五十五年政令第二百六十号)第十八条の七第一項第七号(外国為替業務)に規定する証券(前号に掲げる譲渡性預金証書を除く。)

消費税法施行令

譲渡性預金証書や証券の
・居住者による非居住者からの取得
・居住者による非居住者に対する譲渡
に係る媒介等に係る業務については、課税となります。

外国為替業務の規定を確認します。

(外国為替業務に関する事項の報告)
第五十五条の七 財務大臣は、この法律の目的を達成するため必要な限度において、政令で定めるところにより、外国為替業務(外国為替取引その他の取引又は行為であつて我が国の国際収支又は対外の貸借の動向と密接に関連するものとして政令で定めるもののいずれかを業として行うことをいう。)を行う者のうち相当規模のものを行う者として政令で定めるものに対し、当該外国為替業務に関する事項(第五十五条の三の規定による報告の対象となる事項を除く。)についての報告を求めることができる。

外国為替及び外国貿易法

外国為替令を確認します。

(外国為替業務に関する事項の報告)
第十八条の七 法第五十五条の七に規定する政令で定める取引又は行為は、次に掲げるものとする。
一 外国為替取引
二 対外支払手段の発行
三 対外支払手段の売買又は債権の売買(本邦通貨をもつて支払われる債権の居住者間の売買を除く。)
四 預金の受入れ(本邦通貨をもつて支払われる居住者からの預金の受入れを除く。)
五 金銭の貸付け(本邦通貨をもつて支払われる居住者に対する金銭の貸付けを除く。)
六 証券の売買(本邦通貨を対価とする居住者間の売買を除く。)
七 居住者による非居住者からの証券の取得又は居住者による非居住者に対する証券の譲渡に係る媒介、取次ぎ又は代理

外国為替令

外国為替令には、一定の取引が外国為替業務から除かれています。カッコ書きで除かれたものについては、外国為替業務でないため課税となります。


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