退職金については、次の3種類があります。
1/2軽減に制限がない「一般退職手当等」
1/2軽減に一部制限がある「短期退職手当等」
1/2軽減に制限がある「特定役員退職手当等」
もらった退職金が1種類だけであれば、計算はシンプルですが、
2種類以上になると特殊な計算になります。
規定にタイトルをつけてみます。
規定のタイトル
- 一般退職手当等と短期退職手当等がある場合の計算
- 短期勤続年数の定義と重複勤続年数の定義
- 一般退職手当等と特定役員退職手当等がある場合の計算
- 特定役員等勤続年数と重複勤続年数の定義
- 短期退職手当等と特定役員退職手当等がある場合の計算
- 重複勤続年数の定義
- 一般退職手当等、短期退職手当等、特定退職手当等がある場合の計算
- 重複勤続年数と全重複期間の定義
- 7項の退職所得の金額を計算する場合
- 準用規定
- 退職所得控除額の例外がある場合、その1
- 退職所得控除額の例外がある場合、その2
- 退職手当等の内訳
- 退職手当等の内訳がある場合のみなし規定
内容
計算パターンが次の4種類、別々に規定されています。
1が一般と短期がある場合
3が一般と特定役員がある場合
5が短期と特定役員がある場合
7が一般、短期、特定役員がある場合
2、4、6、8はそれぞれの定義規定です。
一般と短期がある場合は、例えば、A社は10年勤務、B社は3年勤務でA社とB社を退職して退職金を受け取った場合です。A社の退職金が一般退職手当等、B社の退職金が短期退職手当等になります。
同一年中に、異なる会社からそれぞれ退職手当等の支給を受ける場合は、それぞれの退職手当等ごとに、短期退職手当等、特定役員退職手当等又は一般退職手当等に該当するか否かを判定します。
国税庁、短期退職手当等Q&A、令和4年1月改正、Q4
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0021009-037_01.pdf
計算例は、Q&AのQ8にあります。かなり複雑です。
短期、一般の順に計算します。
Q4に追加して役員退職金を取得した場合の計算がQ9にあります。
特定、短期、一般の順に計算します。
計算順を整理すると、次のとおりです。
1の場合は、短期 → 一般
3の場合は、特定 → 一般
5の場合は、特定 → 短期
7の場合は、特定 → 短期 → 一般
所得が多く計算される順番で計算します。
・特定(1/2軽減なし)
・短期(1/2軽減一部なし)
・一般(1/2軽減あり)
7項の退職所得の金額を計算する場合
退職金が2種類の場合は、1、3、5でそれぞれ規定されていますが、
退職金が3種類の場合は、7と別に9が規定されています。
7は、退職金収入>退職所得控除額となる場合です。
9は、退職金収入<退職所得控除額となる場合です。
計算規定が複雑になるため、別に規定を設けたのでしょうね。
1年未満切り上げ
端数切り上げルールは、短期勤続年数、重複勤続年数、特定役員等勤続年数を計算する場合について準用します。