試験研究費の特別控除_通算法人の修正申告等の再計算


今回は、試験研究費の特別控除のうち、
通算法人の修正申告等の再計算を確認します。
(下記Q&Aの問75の金額を説明に使用しています。)

参考情報
国税庁、グループ通算制度に関するQ&A(令和2年6月)(令和2年8月、令和3年6月改訂、令和4年7月改訂)
問75、通算法人の修正申告等における一般試験研究費の額に係る税額控除の計算
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/group_faq/75.htm

他の通算法人の金額に異動があった場合(租税特別措置法42条の4第8項4号)

全体計算の再計算の固定措置に関する規定です。

試験研究費の特別控除を全体計算した場合に、
他の通算法人の試験研究費の額や調整前法人税額が
当初申告試験研究費の額や当初申告法人税額と異なるときは、

当初申告試験研究費の額、当初申告調整前法人税額を
再計算した試験研究費の額、調整前法人税額として取扱います。

「1回目に計算した金額を変更しない」という意味です。

例えば、他の法人の試験研究費が400から100に減少したとしても、
減少しなかったものとして取扱います。

他の通算法人(Q&AのB社、C社から見たA社)の状況

当初申告再計算
当初申告試験研究費の額 400試験研究費の額 100→400で固定
(再計算を止めるため)
当初申告調整前法人税額 60調整前法人税額 60
他の通算法人の状況

B社とC社の当初申告税額控除可能分配額(35と0)を
そのまま税額控除可能分配額(35と0)としています。
固定しない場合は金額が変動します。

参考規定、租税特別措置法42条の4第8項4号
他の通算法人の取扱いの金額に異動があった場合の遮断措置

再計算により特別控除額が増加した場合(租税特別措置法42条の4第8項5号)

1、再計算した全体の特別控除額(税額控除可能額)
2、1回目に計算した全体の特別控除額(当初申告税額控除可能額)
1≧2となる場合で、

1、再計算した特別控除額(税額控除可能分配額)
2、1回目に計算した特別控除額(当初申告税額控除可能分配額)
1と2が異なるときは、

「当初申告税額控除可能分配額」を税額控除可能分配額として取扱います。

再計算により全体の特別控除額が増加する場合であっても、
特別控除額の再計算はできません。

参考規定、租税特別措置法42条の4第8項5号
税額控除可能額≧当初申告税額控除可能額の場合

再計算により特別控除額が減少した場合(租税特別措置法42条の4第8項6号)

1、再計算した全体の特別控除額(税額控除可能額)
2、1回目に計算した全体の特別控除額(当初申告税額控除可能額)
1<2となる場合は、特別控除額を再計算します。

全体の特別控除額が減少する場合、
各法人の特別控除額も減少するからです。

再計算の方法は次の2つです。

イ、当初申告税額控除可能分配額>0の場合

1回目の計算で特別控除額がある場合です。

再計算した特別控除額は、
「1回目に計算した特別控除額」から
「税額控除しずぎた金額」をマイナスします。

税額控除可能分配額(再計算、0)=
当初申告税額控除可能分配額(15)-税額控除超過額(注、44)

Q&Aの税額控除可能分配額、15-44<0のため、0
(控除しきれない金額29が生じます。)

税額控除しすぎた金額は、
「1回目に計算した全体の特別控除額」から
「再計算した全体の特別控除額」をマイナスします。

(注)税額控除超過額(44)=
当初申告税額控除可能額(50)-税額控除可能額(6)
Q&Aの税額控除超過額、50-6=44

参考規定

イ 当初申告税額控除可能分配額が零を超える場合 当初申告税額控除可能分配額から、当初申告税額控除可能額から当該税額控除可能額を減算した金額(ロにおいて「税額控除超過額」という。)を控除した金額を通算法人の適用対象事業年度の税額控除可能分配額とみなす。

租税特別措置法42条の4第8項6号イ
ロ、税額控除超過額>当初申告税額控除可能分配額の場合

イで控除しきれない金額が生じた場合は、追加の法人税が発生します。

法人税額加算額(税額控除超過取戻税額、29)=
税額控除超過額(44)-当初申告税額控除可能分配額(15)
(控除しすぎた金額-1回目に計算した特別控除額)

Q&Aの法人税額加算額(税額控除超過取戻税額)、44-15=29

関係図

参考規定

ロ 税額控除超過額が当初申告税額控除可能分配額を超える場合 通算法人の適用対象事業年度の所得に対する法人税の額は、法人税法第六十六条第一項、第三項及び第六項並びに第六十九条第十九項(同条第二十三項又は第二十四項において準用する場合を含む。)の規定、次号(第十八項において準用する場合を含む。)、第四十二条の十四第一項、第六十七条の二第一項及び第六十八条第一項の規定その他法人税に関する法令の規定にかかわらず、これらの規定により計算した法人税の額に、当該税額控除超過額から当初申告税額控除可能分配額を控除した金額に相当する金額を加算した金額とする。

租税特別措置法42条の4第8項6号ロ

別表は、別表6(9)付表、通算法人の一般試験研究費の額に係る税額控除可能分配額等の計算に関する明細書を使用します。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2023/pdf/06(09)-f.pdf

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