課税仕入れの返品等があった場合の消費税の計算


今回は、課税仕入れの返品等があった場合の消費税の計算を
確認してみましょう。

計算方法は、全部で3つです。

全額控除方式

全額控除方式の場合、
用途区分(課税売上対応、共通対応、非課税売上対応の3区分)が
不要ですので、
・返金を受けた金額
・減額される買掛金等
に応じて、計算します。

取引によってそれぞれ、
消費税が含まれている金額が異なるため、
取引毎に計算が必要です。

算式で記載します。

支払った消費税からマイナスする金額
・返還等の課税仕入れの税込金額×7.8÷110
・軽減税率の場合は、×6.24÷108
・(返還等の特定課税仕入れの税込金額×7.8÷100、特殊な取引の場合)
の合計額

個別対応方式

個別対応方式の場合、
用途区分(課税売上対応、共通対応、非課税売上対応の3区分)が
必要です。

・返金を受けた金額
・減額される買掛金等
をさらに、用途区分に分けて計算する必要があります。

算式で記載します。


支払った消費税からマイナスする金額
=イの金額+ロの金額

イ、課税売上対応の課税仕入れ
・返還等の課税仕入れ(課税売上対応)の税込金額×7.8÷110
・軽減税率の場合は、×6.24÷108
・(返還等の特定課税仕入れ(課税売上対応)の税込金額×7.8÷100)
の合計額

ロ、共通対応の課税仕入れ
・返還等の課税仕入れ(共通対応)の税込金額×7.8÷110
・軽減税率の場合は、×6.24÷108
・(返還等の特定課税仕入れ(共通対応)の税込金額×7.8÷100)
の合計額×課税売上割合(課税売上割合に準ずる割合)


共通対応の課税仕入れについては、
消費税の控除を計算する際、
課税売上割合をかけますので、
マイナスする金額の計算についても、
課税売上割合をかける必要があります。

課税売上割合に代えて、
課税売上割合に準ずる割合を選択した場合は、
課税売上割合に準ずる割合で計算しましょう。

個別対応方式のまとめ

用途区分消費税の控除消費税の控除の修正
課税売上対応全額控除全額マイナス修正
共通対応課税売上割合
に応じて控除
課税売上割合
に応じてマイナス修正
非課税売上対応
まとめ
一括比例配分方式

一括比例配分方式の場合、
用途区分(課税売上対応、共通対応、非課税売上対応の3区分)が
不要ですので、
・返金を受けた金額
・減額される買掛金等
に応じて、計算します。

一括比例配分方式の場合、
支払った消費税に課税売上割合をかけますので、
マイナスする金額の計算についても、
課税売上割合をかける必要があります。

算式で記載します。

支払った消費税からマイナスする金額
・返還等の課税仕入れの税込金額×7.8÷110
・軽減税率の場合は、×6.24÷108
・(返還等の特定課税仕入れの税込金額×7.8÷100)
の合計額×課税売上割合

一括比例配分方式のまとめ

用途区分消費税の控除消費税の控除の修正
不要課税売上割合
に応じて控除
課税売上割合
に応じてマイナス修正
まとめ2
参考規定

仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の
仕入れに係る消費税額の控除の特例

省略
一 当該事業者の当該課税期間における第三十条第一項の規定により控除される課税仕入れ等の税額の合計額(以下この章において「仕入れに係る消費税額」という。)の計算につき同条第二項の規定の適用がない場合 当該課税期間における課税仕入れ等の税額の合計額から当該課税期間において仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額(当該課税仕入れに係る支払対価の額につき返還を受けた金額又は当該減額を受けた債務の額に百十分の七・八(当該仕入れに係る対価の返還等が他の者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、百八分の六・二四)を乗じて算出した金額及び当該特定課税仕入れに係る支払対価の額につき返還を受けた金額又は当該減額を受けた債務の額に百分の七・八を乗じて算出した金額をいう。以下この項及び次項において同じ。)の合計額を控除した残額
二 当該事業者が当該課税期間における仕入れに係る消費税額を第三十条第二項第一号に定める方法により計算する場合 イに掲げる金額にロに掲げる金額を加算した金額
イ 第三十条第二項第一号イに掲げる金額から課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れにつき当該課税期間において仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を控除した残額
ロ 第三十条第二項第一号ロに掲げる金額から課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等(同号に規定するその他の資産の譲渡等をいう。第四項第二号ロにおいて同じ。)に共通して要する課税仕入れにつき当該課税期間において仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額に同条第二項第一号ロに規定する課税売上割合を乗じて計算した金額(同条第三項本文の規定の適用がある場合には、同項に規定する承認に係る割合を用いて計算した金額。第四項第二号ロにおいて同じ。)を控除した残額
三 当該事業者が当該課税期間における仕入れに係る消費税額を第三十条第二項第二号に定める方法により計算する場合 同号に規定する課税仕入れ等の税額の合計額に同号に規定する課税売上割合(以下この号及び第四項第三号において「課税売上割合」という。)を乗じて計算した金額から当該課税期間において仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額を控除した残額

消費税法第32条第1項、施行日令和5年10月1日

全額控除方式

一 その事業者の当該課税期間における
第30条第1項の規定により控除される
課税仕入れ等の税額の合計額(注1)の計算につき
同条第2項の規定の適用がない場合

当該課税期間における課税仕入れ等の税額の合計額から
当該課税期間において仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額(注2)の合計額を控除した残額

注1、以下この章において「仕入れに係る消費税額」という。

注2、当該課税仕入れに係る支払対価の額につき返還を受けた金額又は
当該減額を受けた債務の額に7.8÷110(注2-1)を乗じて算出した金額及び
当該特定課税仕入れに係る支払対価の額につき返還を受けた金額又は
当該減額を受けた債務の額に7.8÷100を乗じて算出した金額をいう。
以下この項及び次項において同じ。

注2-1、当該仕入れに係る対価の返還等が他の者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、6.24÷108


個別対応方式

二 当該事業者が当該課税期間における仕入れに係る消費税額を
第30条第2項第1号に定める方法により計算する場合

イに掲げる金額にロに掲げる金額を加算した金額


・第三十条第二項第一号イに掲げる金額から
・課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れにつき当該課税期間において仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を
控除した残額


・第30条第2項第1号ロに掲げる金額から
・課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等(注1)に共通して要する課税仕入れにつき当該課税期間において仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額に同条第二項第一号ロに規定する課税売上割合を乗じて計算した金額(注2)を
控除した残額

注1、同号に規定するその他の資産の譲渡等をいう。
第四項第二号ロにおいて同じ。

注2、課税売上割合に準ずる割合
同条第3項本文の規定の適用がある場合には、
同項に規定する承認に係る割合を用いて計算した金額。
第4項第2号ロにおいて同じ。


一括比例配分方式

三 当該事業者が当該課税期間における
仕入れに係る消費税額を第30条第2項第2号に定める方法により計算する場合
・同号に規定する課税仕入れ等の税額の合計額に
同号に規定する課税売上割合(注1)を乗じて計算した金額から
・その課税期間において仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額を
控除した残額

注1、以下この号及び第四項第三号において「課税売上割合」という。

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