課税売上割合が著しく減少した場合


今回は、消費税の課税売上割合が著しく減少した場合を確認してみましょう。

課税売上割合

法人や個人事業者が納める消費税を計算する場合、
「支払った消費税」と「マイナスできる消費税」が
一緒にならないことがあります。

マイナスできる消費税の計算で課税売上割合を使用する場合です。

参考リンク
課税売上割合が著しく増加した場合
(課税売上割合の説明と計算例を載せています。)

支払った消費税が同じであっても、
課税売上割合が変わるとマイナスできる消費税が変わります。

そのため、一定期間中の
課税売上割合が大きく変わった場合は、
マイナスできる消費税を調整する特例があります。

課税売上割合が大きく変わった場合は、次の2つです。
・著しく増加した場合
・著しく減少した場合

今回は、著しく減少した場合の要件を確認してみましょう。

要件は、2つあります。

1つ目

仕入れ等の課税期間の課税売上割合-通算課税売上割合
—————————————————————————– ≧ 50%
仕入れ等の課税期間の課税売上割合

2つ目
仕入れ等の課税売上割合-通算課税売上割合 ≧ 5%

両方満たすと要件を満たします。

事例

数字を使って確認してみましょう。

前提、個人事業者

令和6年(仕入れ等の課税期間)
課税売上割合の
・分子の金額 1,800
・分母の金額 3,000

令和7年の課税売上割合
・分子の金額 4,000
・分母の金額 8,000

令和8年の課税売上割合
・分子の金額 3,000
・分母の金額 20,000

それぞれの年の課税売上割合を計算してみましょう。
令和6年分 1,800÷3,000=60%
令和7年分 4,000÷8,000=50%
令和8年分 3,000÷20,000=15%

令和8年分の課税売上割合が令和6年分と比較して減少していますので、
著しく減少したかどうか判定してみましょう。

通算課税売上割合(令和6年から令和8年まで)の計算
・分子の金額 1,800+4,000+3,000=8,800
・分母の金額 3,000+8,000+20,000=31,000

8,800÷31,000=約28%となります。

1つ目の判定
・分子の計算 60%(仕入れ等の割合)-約28%(通算の割合)=約32%
・分母の計算 60%(仕入れ等の割合)

約32%÷60%=約53%

50%以上となるため要件を満たします。

2つ目の判定
60%(仕入れ等の割合)-約28%(通算の割合)=約32%

5%以上となるため要件を満たします。

両方満たしていますので、
著しく減少した場合に該当します。

参考規定など

著しく減少した場合の要件

2 法第三十三条第一項に規定する著しく減少した場合として政令で定める場合は、仕入れ等の課税期間における課税売上割合のうちに仕入れ等の課税期間における課税売上割合から通算課税売上割合を控除した割合の占める割合が百分の五十以上であり、かつ、当該課税売上割合から当該通算課税売上割合を控除した割合が百分の五以上である場合とする。

消費税法施行令第53条第2項、施行日令和6年10月1日


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