課税貨物の消費税の還付を受ける場合


今回は、課税貨物の消費税の還付を受ける場合を
確認してみましょう。

内容

国内の課税仕入れについて、
商品の返品等をしたことにより
・支払代金の返金
・買掛金の減額など
があった場合には、支払った消費税をマイナス修正します。

今回の規定は、課税貨物の消費税の還付を受ける場合に、
支払った消費税をマイナス修正するものです。

計算方法は、
国内の課税仕入れの返品等とほとんど変わりません。

・国内の課税仕入れの返品等
・課税貨物の還付
両方ある場合は、前者のマイナスが先、
後者のマイナスが後になります。

マイナスする金額の計算方法は、
消費税の控除、国内課税仕入れの返品等と同様に
次の3パターンです。

1号、全額控除方式
2号、個別対応方式
3号、一括比例配分方式

全額控除方式

全額控除方式の場合、
用途区分(課税売上対応、共通対応、非課税売上対応の3区分)が不要です。

支払った消費税から
還付を受ける消費税額をマイナスします。

個別対応方式

個別対応方式の場合、
用途区分(課税売上対応、共通対応、非課税売上対応の3区分)が必要です。

還付を受ける金額についても用途区分が必要です。

算式で記載します。


支払った金額からマイナスする金額
=イの金額+ロの金額

イ、課税売上対応の課税貨物
課税売上対応の還付を受ける消費税額

ロ、共通対応の課税貨物
共通対応の還付を受ける消費税額
×課税売上割合(課税売上割合に準ずる割合)


共通対応の課税貨物については、
消費税の控除を計算する際、
課税売上割合をかけますので、
マイナスする金額の計算についても、
課税売上割合をかける必要があります。

課税売上割合に代えて、
課税売上割合に準ずる割合を選択した場合は、
課税売上割合に準ずる割合で計算しましょう。

個別対応方式のまとめ

用途区分消費税の控除消費税の
控除の修正
還付を受ける
消費税
課税売上対応全額控除全額マイナス
修正
同左
共通対応課税売上割合
に応じて控除
課税売上割合に応じてマイナス修正同左
非課税売上対応
まとめ
一括比例配分方式

一括比例配分方式の場合、
用途区分(課税売上対応、共通対応、非課税売上対応の3区分)が不要です。

一括比例配分方式の場合、
支払った消費税に課税売上割合をかけますので、
マイナスする金額の計算についても、
課税売上割合をかける必要があります。

算式で記載します。

支払った金額からマイナスする金額
=還付を受ける消費税額×課税売上割合

一括比例配分方式のまとめ

用途区分消費税の控除消費税の
控除の修正
還付を受ける
消費税
不要課税売上割合
に応じて控除
課税売上割合
に応じてマイナス修正
同左
まとめ2
マイナスしきれない場合

支払った消費税<還付を受ける消費税額の場合の取扱いです。
この場合、マイナスしきれない金額を
受け取った消費税(売上消費税)として処理する必要があります。

例えば、次の場合で計算してみましょう。
売上消費税 1,000
仕入消費税(課税貨物) 300
還付を受ける消費税 500

1、売上消費税
 1,000+200=1,200

2、仕入消費税
 300-500<0、マイナスしきれない金額200が発生

3、納付する消費税
 1+2=1,200

参考規定など

今回確認する規定はこちら↓

4 事業者が、保税地域からの引取りに係る課税貨物(第三十条第一項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物をいう。以下この条及び第三十六条において同じ。)に係る消費税額の全部又は一部につき、他の法律の規定により、還付を受ける場合には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を当該還付を受ける日の属する課税期間における課税仕入れ等の税額の合計額とみなして、第三十条第一項(同条第二項の規定の適用がある場合には、同項の規定を含む。)の規定を適用する。
一 当該事業者の当該課税期間における仕入れに係る消費税額の計算につき第三十条第二項の規定の適用がない場合 当該課税期間における課税仕入れ等の税額の合計額(当該課税期間において第一項第一号の規定の適用がある場合には、同号に定める残額)から保税地域からの引取りに係る課税貨物につき当該課税期間において還付を受ける消費税額(附帯税の額に相当する額を除く。以下この条において同じ。)の合計額を控除した残額
二 当該事業者が当該課税期間における仕入れに係る消費税額を第三十条第二項第一号に定める方法により計算する場合 イに掲げる金額にロに掲げる金額を加算した金額
イ 第三十条第二項第一号イに掲げる金額(当該課税期間において第一項第二号イの規定の適用がある場合には、同号イに掲げる残額)から課税資産の譲渡等にのみ要する課税貨物につき当該課税期間において還付を受ける消費税額の合計額を控除した残額
ロ 第三十条第二項第一号ロに掲げる金額(当該課税期間において第一項第二号ロの規定の適用がある場合には、同号ロに掲げる残額)から課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税貨物につき当該課税期間において還付を受ける消費税額の合計額に同条第二項第一号ロに規定する課税売上割合を乗じて計算した金額を控除した残額
三 当該事業者が当該課税期間における仕入れに係る消費税額を第三十条第二項第二号に定める方法により計算する場合 同号に規定する課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額(当該課税期間において第一項第三号の規定の適用がある場合には、同号に定める残額)から課税貨物につき当該課税期間において還付を受ける消費税額の合計額に当該課税売上割合を乗じて計算した金額を控除した残額

消費税法第32条第4項、施行日令和5年10月1日

規定をまとめてみましょう。


事業者が、保税地域からの引取りに係る課税貨物(注1)に係る
消費税額の全部又は一部につき、他の法律の規定により、
還付を受ける場合には、

次の各号に掲げる場合の区分に応じ
その各号に定める金額を
その還付を受ける日の属する課税期間における
課税仕入れ等の税額の合計額とみなして、
第30条第1項(注2)の規定を適用する。

注1、第30条第1項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物をいう。
以下この条及び第36条において同じ。

注2、同条第2項の規定の適用がある場合には、同項の規定を含む。


1号、全額控除方式の場合
その事業者のその課税期間における
仕入れに係る消費税額の計算につき第30条第2項の規定の適用がない場合

・その課税期間における課税仕入れ等の税額の合計額(注3)から
・保税地域からの引取りに係る課税貨物につきその課税期間において還付を受ける消費税額(注4)の合計額を
控除した残額

注3、その課税期間において第1項第1号の規定の適用がある場合には、
同号に定める残額

注4、附帯税の額に相当する額を除く。以下この条において同じ。


2号、個別対応方式の場合
その事業者がその課税期間における
仕入れに係る消費税額を第30条第2項第1号に定める方法により計算する場合

イに掲げる金額にロに掲げる金額を加算した金額

イ、第30条第2項第1号イに掲げる金額(注5)から
課税資産の譲渡等にのみ要する課税貨物につき
その課税期間において還付を受ける消費税額の合計額を控除した残額

ロ 第30条第2項第1号ロに掲げる金額(注6)から
課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税貨物につき
その課税期間において還付を受ける消費税額の合計額に
同条第2項第1号ロに規定する課税売上割合を乗じて計算した金額を
控除した残額

注5、その課税期間において第1項第2号イの規定の適用がある場合には、
同号イに掲げる残額

注6、その課税期間において第1項第2号ロの規定の適用がある場合には、
同号ロに掲げる残額


3号、一括比例配分方式の場合
その事業者がその課税期間における
仕入れに係る消費税額を第30条第2項第2号に定める方法により計算する場合

・同号に規定する課税仕入れ等の税額の合計額に
課税売上割合を乗じて計算した金額(注7)から
・課税貨物につきその課税期間において還付を受ける消費税額の合計額に
その課税売上割合を乗じて計算した金額を
控除した残額

注7、その課税期間において第1項第3号の規定の適用がある場合には、
同号に定める残額


マイナスしきれない場合

5 前項の規定により、還付を受ける消費税額の合計額を当該還付を受ける日の属する課税期間における課税仕入れ等の税額の合計額から控除して控除しきれない金額があるときは、当該控除しきれない金額を課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして政令で定めるところにより当該課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算する。

消費税法第32条第5項、施行日令和5年10月1日

他の法律の規定により、還付を受ける場合の意義

12-1-13 法第32条第4項《保税地域からの引取りに係る課税貨物に係る消費税額の還付を受ける場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例》に規定する「他の法律の規定により、還付を受ける場合」には、例えば、輸徴法第14条第1項《相殺関税等が還付される場合の消費税の還付》、第15条第2項《変質、損傷等の場合の軽減又は還付》、第16条の3《輸入時と同一状態で再輸出される場合の還付》又は第17条《違約品等の再輸出又は廃棄の場合の還付》の規定により消費税の還付を受ける場合が該当する。(平13課消1-5、平14課消1-12により改正)  

消費税法基本通達

還付を受ける日の意義

12-1-14 法第32条第4項本文《保税地域からの引取りに係る課税貨物に係る消費税額の還付を受ける場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例》に規定する「還付を受ける日」とは、還付を受けることができる事実が発生した後において、当該事実について還付を受ける消費税額が確定した日をいうものとする。(平13課消1-5により改正)  

消費税法基本通達
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