今回は、消費税の調整割合が著しく変動した場合を確認してみましょう。
調整割合が大きく変動した場合
消費税の事業者のうち
・国や地方公共団体など
・別表第3法人(一般社団法人や一般財団法人など)
・人格のない社団等
については、消費税の計算が特殊で調整割合を計算する必要があります。
調整割合は、使途が特定されなかった補助金などの収入に対応する
支払った消費税の控除を制限(調整)する割合です。
この調整割合が大きく変動した場合は、
マイナスする消費税の調整が必要となります。
今回は、調整割合が大きく変動した場合の調整計算を確認してみましょう。
調整計算の要件
規定の最初に調整割合が大きく変動した場合の要件が規定されています。
(規定は最後に掲載)
・当期の調整割合
・通算調整割合
この2つの割合の差が20%以上の場合が要件となります。
計算例
・当期の調整割合80%-通算調整割合55%=25%≧20%
・通算調整割合60%-当期の調整割合30%=30%≧20%
通算調整割合は、
原則として前々期、前期、当期の3年間を通算した調整割合をいいます。
参考リンク
・通算調整割合と通算課税期間
ただし、割合の差が20%以上であっても、
調整の対象外となる場合が2つあります。
1、第1号イの金額と第1号ロの金額が同じ場合
2、第1号イのそれぞれの課税期間に消費税の調整がされた場合
第1号の要件は、イの金額>ロの金額
第2号の要件は、イの金額<ロの金額となります。
(イの金額=ロの金額は規定されていません。)
イの金額は、実際に計算した前々期、前期、当期のマイナスできる消費税の制限額となります。
ロの金額は、実際に計算した前々期、前期、当期のマイナスできる消費税の制限額を通算調整割合で再計算した金額となります。
この調整規定は、
・取引の対価として受け取った収入が大幅に増減した場合
・取引の対価でない収入が大幅に増減した場合
に確認する必要があります。
例えば、災害等により毎期計上されている売上が大幅に減少して、赤字を補助金で補填した場合です。他には、新しく事業を開始した場合や廃止した場合などがあります。
参考規定
調整割合が大きく変動した場合
5 当該課税期間における調整割合と当該課税期間における通算調整割合との差が百分の二十以上である場合(第一号イに掲げる金額と同号ロに掲げる金額とが等しい場合及び同号イに規定する各課税期間においてこの項の規定の適用を受けた場合を除く。)には、当該課税期間の法第六十条第四項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
消費税法施行令第75条第5項、施行日令和6年10月1日
一 イに掲げる金額がロに掲げる金額を超える場合 前項の規定に基づいて計算した場合における法第六十条第四項に規定する政令で定めるところにより計算した金額(以下この条において「特定収入に係る課税仕入れ等の税額」という。)から、イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した残額(第七項において「調整差額」という。)を控除した残額
イ 当該課税期間につき前項の規定に基づいて計算した場合における特定収入に係る課税仕入れ等の税額に当該課税期間の初日の二年前の日の前日の属する課税期間から当該課税期間の直前の課税期間までの各課税期間における特定収入に係る課税仕入れ等の税額の合計額を加算した金額
ロ 当該課税期間の初日の二年前の日の前日の属する課税期間から当該課税期間までの各課税期間(以下この号及び次項において「通算課税期間」という。)につき、当該通算課税期間の調整割合に代えて当該課税期間における通算調整割合を用いて前項の規定に基づいて計算した場合における当該通算課税期間における特定収入に係る課税仕入れ等の税額の合計額
二 前号イに掲げる金額が同号ロに掲げる金額に満たない場合 前項の規定に基づいて計算した場合における当該課税期間における特定収入に係る課税仕入れ等の税額に、同号ロに掲げる金額から同号イに掲げる金額を控除した残額を加算した金額
調整割合
省略
消費税法施行令第75条第4項、施行日令和6年10月1日
調整割合(当該課税期間における資産の譲渡等の対価の額の合計額に当該課税期間における課税仕入れ等に係る特定収入以外の特定収入の合計額を加算した金額のうちに当該課税仕入れ等に係る特定収入以外の特定収入の合計額の占める割合をいう。以下この条において同じ。)
省略
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