今回は、調整割合が著しく変動した場合の計算のうち
制限額が増える場合を確認してみましょう。
制限額が増える場合
消費税の控除の制限額を再調整する方法は2つあります。
1、制限額を減らす方法(第1号)
2、制限額を増やす方法(第2号)
参考リンク、制限額を減らす方法(第1号)
・調整割合が著しく変動した場合の計算_制限額が減る場合
今回は、制限額を増やす方法(第2号)を確認してみましょう。
二 前号イに掲げる金額が同号ロに掲げる金額に満たない場合 前項の規定に基づいて計算した場合における当該課税期間における特定収入に係る課税仕入れ等の税額に、同号ロに掲げる金額から同号イに掲げる金額を控除した残額を加算した金額
イの金額<ロの金額の場合、
A+Bが消費税の控除の制限額となります。
イの金額は、実際に計算した前々期、前期、当期のマイナスできる消費税の制限額となります。
ロの金額は、実際に計算した前々期、前期、当期のマイナスできる消費税の制限額を通算調整割合で再計算した金額となります。
A、特定収入に係る課税仕入れ等の税額(調整前の金額)
B、ロの金額(再計算した金額)-イの金額(実際の合計)=残額(調整額)
計算例
金額を使って確認してみましょう。
特定収入に係る課税仕入れ等の税額
・2期前 100万円
・1期前 100万円
・当期 100万円
合計300万円(イの金額)となります。
通算調整割合で再計算した特定収入に係る課税仕入れ等の税額
・2期前 200万円
・1期前 150万円
・当期 150万円
合計500万円(ロの金額)となります。
A、特定収入に係る課税仕入れ等の税額(調整前の金額) 100万円
B、500万円(ロの金額)-300万円(イの金額)=200万円
・当期の制限額 100万円
・3年間の実際の制限額 300万円
・3年間の調整後の制限額 500万円
制限できていない差額200万円(500万円-300万円)を
当期の制限額100万円にプラスします。
計算式
100万円+(500万円-300万円)=300万円
前々期、前期、当期の制限額300万円を
通算調整割合で再計算した金額500万円に調整することが目的です。
まとめ
・当期の調整割合
・当期の通算調整割合
この2つの差が20%以上の場合に、調整計算が必要となります。
第1号、イの金額>ロの金額の場合は、消費税の控除の制限額が減ります。
第2号、イの金額<ロの金額の場合は、消費税の控除の制限額が増えます。
イの金額は、3年間の実際の制限額です。
ロの金額は、3年間の実際の制限額を通算調整割合で再計算したものです。
参考規定
調整割合が大きく変動した場合
5 当該課税期間における調整割合と当該課税期間における通算調整割合との差が百分の二十以上である場合(第一号イに掲げる金額と同号ロに掲げる金額とが等しい場合及び同号イに規定する各課税期間においてこの項の規定の適用を受けた場合を除く。)には、当該課税期間の法第六十条第四項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
消費税法施行令第75条第5項、施行日令和6年10月1日
一 イに掲げる金額がロに掲げる金額を超える場合 前項の規定に基づいて計算した場合における法第六十条第四項に規定する政令で定めるところにより計算した金額(以下この条において「特定収入に係る課税仕入れ等の税額」という。)から、イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した残額(第七項において「調整差額」という。)を控除した残額
イ 当該課税期間につき前項の規定に基づいて計算した場合における特定収入に係る課税仕入れ等の税額に当該課税期間の初日の二年前の日の前日の属する課税期間から当該課税期間の直前の課税期間までの各課税期間における特定収入に係る課税仕入れ等の税額の合計額を加算した金額
ロ 当該課税期間の初日の二年前の日の前日の属する課税期間から当該課税期間までの各課税期間(以下この号及び次項において「通算課税期間」という。)につき、当該通算課税期間の調整割合に代えて当該課税期間における通算調整割合を用いて前項の規定に基づいて計算した場合における当該通算課税期間における特定収入に係る課税仕入れ等の税額の合計額
二 前号イに掲げる金額が同号ロに掲げる金額に満たない場合 前項の規定に基づいて計算した場合における当該課税期間における特定収入に係る課税仕入れ等の税額に、同号ロに掲げる金額から同号イに掲げる金額を控除した残額を加算した金額
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