今回は、譲渡損益調整資産の譲渡等事由が発生した場合を確認してみましょう。
概要
完全支配関係がある法人間の一定の譲渡損益は、
完全支配関係がある法人を1つの法人とみて、
譲渡損益を繰り延べる特例があります。
今回は、譲渡損益の繰り延べた後の取扱い
(譲渡等事由の発生)を確認したいと思います。
譲渡等事由が発生した場合
規定を整理したものを確認してみましょう。
内国法人が譲渡損益調整資産に係る
譲渡利益額又は譲渡損失額につき
前項(第1項)の規定の適用を受けた場合において、
その譲渡を受けた法人(注1)において
その譲渡損益調整資産の
・譲渡
・償却
・評価換え
・貸倒れ
・除却
・その他の政令で定める事由(譲渡等事由)
が生じたときは、
その譲渡損益調整資産に係る
譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額は、
政令で定めるところにより、
その内国法人の各事業年度(注2)の所得の金額の計算上、
益金の額又は損金の額に算入する。
注1、以下この条において「譲受法人」という。
注2、当該譲渡利益額又は譲渡損失額につき
次項(第3項)又は第4項の規定の適用を受ける
事業年度以後の事業年度を除く。
譲渡等事由が発生した場合は、
繰り延べた譲渡損益を戻し入れます。
譲渡等事由を確認してみましょう。
(施行令に規定されています。)
1-イ、譲渡、貸倒れ、除却その他これらに類する事由
1-ロ、適格分割型分割による分割承継法人への移転
1-ハ、普通法人又は協同組合等であるその譲受法人が公益法人等に該当する
2、評価益の評価替え
3、減価償却費の損金算入
4、繰延資産の損金算入
5、評価損の評価替え
6、有価証券の譲渡
7、償還有価証券の調整
8、通算制度に関する時価評価資産の評価損益
譲渡等事由が生じた場合、繰り延べた
・譲渡利益額は、益金算入
・譲渡損失額は、損金算入
とします。
次の事例で考えてみましょう。
A社は、B社の株式を全て所有している。
B社は、A社に次の土地を時価で譲渡した。
・簿価 2,000万円
・時価 5,000万円
A社は、土地を他の法人に売却した。
B社の会計上の仕訳
仕訳なし
B社の税務上の仕訳
借方 | 貸方 |
---|---|
譲渡損益調整資産 3,000万円 | 譲渡利益額 3,000万円 |
別表調整
別表4
譲渡損益調整資産の譲渡利益額 3,000万円(加算、留保)
別表5(1)
譲渡損益調整資産 1欄と2欄、△3,000万円
(調整名は任意)
参考規定
譲渡等事由が発生した場合
2 内国法人が譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額につき前項の規定の適用を受けた場合において、その譲渡を受けた法人(以下この条において「譲受法人」という。)において当該譲渡損益調整資産の譲渡、償却、評価換え、貸倒れ、除却その他の政令で定める事由が生じたときは、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該内国法人の各事業年度(当該譲渡利益額又は譲渡損失額につき次項又は第四項の規定の適用を受ける事業年度以後の事業年度を除く。)の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入する。
法人税法第61条の11第2項、施行日令和5年6月7日