貸倒実績率の計算の基礎となる金額


今回は、貸倒実績率の計算の基礎となる金額を確認してみましょう。

貸倒実績率の計算の基礎となる金額

今回の計算は、
別表を2つ確認する必要があります。

別表11(1)
個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2023/pdf/11(01).pdf

別表11(1の2)
一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2023/pdf/11(01-02).pdf

貸倒実績率の計算の基礎となる金額の計算は、
別表11(1)の19欄から24欄までを使用します。

プラスする金額

別表11(1)の19欄を確認してみましょう。

貸倒れによる損失の額等の合計額に加える金額
(6欄の個別評価金銭債権が売掛債権等である場合の5欄と
14欄、15欄、16欄又は17欄のうち少ない金額)

貸倒実績率の分子の金額は、過去3年の
+貸倒損失
+個別評価の損金算入額
-個別評価の益金算入額など
で計算します。

19欄は、個別評価の損金算入額を計算しています。

19欄には、
・5欄、当期繰入額
・14欄から17欄まで、繰入限度額
比較して少ない金額(個別評価の損金算入額)を記載します。

マイナスする金額

20欄と21欄には、前期の6欄と19欄の金額を転記します。
前期の個別評価金銭債権と個別評価損金算入額です。

21欄(個別評価損金算入額)の中に
当期貸倒れになったものがある場合は、22欄に記載します。

21欄(個別評価損金算入額)の中に、
当期個別評価になったものがある場合は、23欄に記載します。

22欄、23欄に金額の記載がある場合は、
21欄(個別評価損金算入額)の金額を転記します。

具体例

次の場合で考えてみましょう。
前期の個別評価金銭債権 100,000円
前期の繰入限度額 100,000円×50%=50,000円

前期の仕訳

借方貸方
貸倒引当金繰入 50,000円
(損金算入)
貸倒引当金 50,000円
前期の仕訳

別表11(1)、個別評価
6欄、個別評価金銭債権の額 100,000円
19欄、個別評価の損金算入額 50,000円
20欄から24欄まで、0円


当期の個別評価金銭債権 110,000円
当期の繰入限度額 110,000×50%=55,000円

当期の仕訳

借方貸方
貸倒引当金 50,000円貸倒引当金戻入 50,000円
(益金算入)
貸倒引当金繰入 55,000円
(損金算入)
貸倒引当金 55,000円
当期の仕訳

別表11(1)、個別評価
6欄、個別評価金銭債権の額 110,000円
19欄、個別評価の損金算入額 55,000円

20欄、前期の個別評価金銭債権(前期の6欄) 100,000円
21欄、前期の個別評価の損金算入額(前期の19欄) 50,000円
22欄、当期において貸倒れとなった場合 0円
23欄、当期においても個別評価の対象となった場合 110,000円
24欄、22欄又は23欄に金額の記載がある場合の21欄 50,000円


当期の貸倒実績率の計算上、加減算する金額
別表11(1の2)、一括評価
12欄、別表11(1)の19欄合計 +50,000円
13欄、別表11(1)の24欄合計 -0円

翌期の貸倒実績率の計算上、加減算する金額
別表11(1の2)、一括評価
12欄、別表11(1)の19欄合計 +50,000円+55,000円=105,000円
13欄、別表11(1)の24欄合計 -0円-50,000円=-50,000円
14欄、11欄+12欄-13欄=55,000円

貸倒引当金の損金算入額は、翌期に戻入れ(益金算入)します。
貸倒実績率の計算についても、戻入れ(益金算入)のうち、
貸倒れや個別評価の対象となったものを反映させる必要があります。

参考規定

貸倒実績率の分子の計算

二 当該内国法人のイ及びロに掲げる金額の合計額からハに掲げる金額を控除した残額に十二を乗じてこれを前三年内事業年度における事業年度の月数の合計数で除して計算した金額
イ 前三年内事業年度において売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権(法第五十二条第九項各号に掲げるものを除く。以下この号において「売掛債権等」という。)の貸倒れにより生じた損失の額の合計額
ロ 法第五十二条第一項又は第五項の規定により前三年内事業年度に含まれる各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額(売掛債権等に係る金額に限る。)の合計額
ハ 法第五十二条第十項又は第十一項の規定により前三年内事業年度に含まれる各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入された金額のうち次に掲げる金額に係るもの(当該各事業年度においてイに規定する損失の額が生じた売掛債権等に係る金額又は当該各事業年度において売掛債権等につき同条第一項若しくは第五項の規定の適用を受ける場合の当該売掛債権等に係る金額に限る。)の合計額
(1) 法第五十二条第一項の規定により当該各事業年度開始の日の前日の属する事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額
(2) 法第五十二条第一項の規定により適格合併又は適格現物分配(残余財産の全部の分配に限る。)に係る被合併法人又は現物分配法人の当該適格合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額
(3) 法第五十二条第五項の規定により同項に規定する適格分割等に係る分割法人、現物出資法人又は現物分配法人の当該適格分割等の日の属する事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入された金額

法人税法施行令第96条第6項第2号、施行日令和5年10月1日
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