貸手がリース資産を返してもらった場合の取扱い


今回は、貸手がリース資産を返してもらった場合を確認してみましょう。

基本通達が少し変わった。

法人税の基本通達が少し変わりましたので、新しい基本通達を確認してみましょう。

(リース期間の終了に伴い返還を受けた資産の取得価額)
7-6の2-11 リース期間の終了に伴い賃貸人が賃借人からそのリース取引の目的物であった資産の返還を受けた場合には、賃貸人は当該リース期間終了の時に当該資産を取得したものとする。この場合における当該資産の取得価額は、原則として、返還の時の価額による。リース期間の終了に伴い再リースをする場合についても、同様とする。

ポイントは、3つです。
1、リース期間が終了した時に、貸し手はリース資産を取得したものとする。
2、取得した金額は、リース資産が返還された時の金額(時価)となる。
3、リース期間が終了した後に、再度貸し出した場合も同じ。

改正される前の基本通達

改正される前の基本通達を確認してみましょう。

(リース期間の終了に伴い返還を受けた資産の取得価額)
7-6の2-11 リース期間の終了に伴い賃貸人が賃借人からそのリース取引の目的物であった資産の返還を受けた場合には、賃貸人は当該リース期間終了の時に当該資産を取得したものとする。この場合における当該資産の取得価額は、原則として、返還の時の価額による。ただし、当該資産に係るリース契約に残価保証額の定めがある場合における当該資産の取得価額は、当該残価保証額とする。リース期間の終了に伴い再リースをする場合についても同様とする。
(注) 残価保証額とは、リース期間終了の時にリース資産の処分価額がリース取引に係る契約において定められている保証額に満たない場合にその満たない部分の金額を当該リース取引に係る賃借人その他の者がその賃貸人に支払うこととされている場合における当該保証額をいう。

ただし書き(例外)があります。

リース契約に残価保証がある場合は、リース資産の返還時の価額(時価)ではなく、残価保証額が取得した金額となります。

新しい基本通達では、上記の取扱いがありません。

比較しますと

新しい基本通達改正前の基本通達
原則、リース期間終了時の価額原則、リース期間終了時の価額
例外、残価保証額

新しい基本通達では、残価保証の有無にかかわらず、時価でリース資産を取得したものとして取り扱う必要があります。

新しい基本通達はいつから?

新しい基本通達が適用される時期を確認してみましょう。

(経過的取扱い⑴…改正通達の適用時期)
別に定めるものを除き、この法令解釈通達による改正後の取扱いは、令和7
年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用し、同日前に開始した事業年度分の法人税については、なお従前の例による。

原則として、令和7年4月1日以後に開始する事業年度が対象となります。

1つ目の例外を確認してみましょう。

(経過的取扱い⑵…リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度)
所得税法等の一部を改正する法律(令和7年法律第 13 号。以下「改正」という。)附則第17条第2項の規定によりなおその効力を有するものとされる改正法第2条の規定による改正前の法人税法(以下「旧法人税法」という。)第63条(旧法人税法第 142 条第2項の規定により準じて計算する場合を含む。)の規定の適用を受ける場合の取扱いについては、この法令解釈通達による改正前の2-4-2から2-4-11 まで、12 の7-2-7、12 の7-3-2、12の7-3-3、12 の7-3-13、13 の2-1-6及び 13 の2-1-7の例による。

経過措置が適用される場合は、改正前の取扱いが適用されます。上記を見る限り、今回確認した通達番号は「7-6の2-11」なので、1つ目の例外と関係がないと読めます。

2つ目の例外を確認してみましょう。

(経過的取扱い⑶…所有権移転外リース取引に関する改正通達の適用時期)
この法令解釈通達による改正後の7-6の2-2及び7-6の2-10 の取扱いは、令和7年4月1日以後に締結する令第 48 条の2第5項第5号に規定する所有権移転外リース取引に係る契約について適用し、同日前に締結した法人税法施行令及び法人税法施行令等の一部を改正する政令の一部を改正する政令(令和7年政令第 121 号)第1条の規定による改正前の令第48 条の2第5項第5号に規定する所有権移転外リース取引に係る契約については、なお従前の例による。

改正後の
・7-6の2-2(著しく有利な価額で買い取るものであることにより権利行使が確実と見込まれるものに該当するものの例示)
・7-6の2-10(賃借人の会計リース期間をリース期間とする場合の取扱い)
の取扱いは、

とあります。今回確認した通達番号は「7-6の2-11」なので、2つ目の例外とも関係がありません。

2つの例外に該当しないため、原則の「令和7年4月1日以後に開始する事業年度」から適用されると読めます。

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