賃上げ促進税制の全体像と手続規定を確認します。
規定の詳細については確認しません。
後日、法人税の特例について確認します。
制度の全体像
前回お伝えした内容と重複しますが、再確認します。
次の2点に注意です。
- 改正前の規定か、改正後の規定か
- 中小企業者等に該当するか否か
大企業向けの特例と言われますが、中小企業も使えます。
ここでは、単に「一般特例」といいます。
改正後の一般特例は、令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に
「開始」する事業年度から使えます。
今行っている令和4年3月末決算(5月末申告)については上記の期間に該当しないため、改正前の法令を使用します。3月末決算法人は次の確定申告から改正後の法令を使用します。
令和4年4月末決算(6月末申告)から令和5年2月末決算までについては、
事業年度開始が令和3年5月1日のため改正前の法令を使用します。
改正前と改正後で2パターン、中小企業者か否かで2パターン、
全部で4パターンありますので、減税特例を使用する場合は要注意です。
法人の種類 | 令和4年3月31日以前開始事業年度 (改正前) | 令和4年4月1日以後 開始事業年度 (改正後) |
---|---|---|
法人 (中小企業者除く) | 旧一般特例 | 新一般特例 |
中小企業者 | ・旧一般特例 ・旧中小企業者向け特例 通常は中小企業者向けを選択します。 | ・新一般特例 ・新中小企業者向け特例 通常は中小企業者向けを選択します。 |
中小企業者向け特例についても、毎年改正があるため
一般特例と同様に、旧法と新法があると考えて問題ありません。
賃上げ税制の規定の概要
措置法42条の12の5、規定の概要です。
- 一般特例の概要
- 中小企業者向け特例の概要
- 用語の意義
- 1月未満は1月とする。
- 手続き
- 合併等があった場合の修正計算など
- 読み替え規定(特別税額控除規定)
中小企業者向け特例については、2と3がポイントです。
詳細は後日確認するため、今回は手続き要件を確認します。
手続き
各種特例については、確定申告書などに計算書類を添付したり、計算書類を保存したりして、手続要件を満たす必要があります。手続要件を満たさない場合は、減税特例は使えません。余談ですが、消費税の仕入税額控除の「帳簿及び請求書等の保存」についても手続要件です。
1つ目
減税特例を使う場合は、確定申告書等に計算書類を添付が必要です。
2つ目
再計算は、原則として認められません。
最初の確定申告書に添付した書類に
「計算基礎となる金額」を誤って100と記載した場合、
正しい金額が150であっても、150で再計算できません。
最初に記載した100を限度として計算します。
減税特例を使う場合は、正しい計算が必要です。
以上、賃上げ促進税制の全体像と手続規定を確認しました。
参考規定
租税特別措置法42条の12の5、5項
賃上げ促進税制の手続要件
5 第一項<一般特例>及び第二項<中小企業向け特例>の規定は、確定申告書等(これらの規定により控除を受ける金額を増加させる修正申告書又は更正請求書を提出する場合には、当該修正申告書又は更正請求書を含む。)にこれらの規定による控除の対象となる控除対象雇用者給与等支給増加額(第一項の規定の適用を受けようとする場合には、継続雇用者給与等支給額及び継続雇用者比較給与等支給額を含む。)、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。
この場合において、第一項及び第二項の規定により控除される金額の計算の基礎となる控除対象雇用者給与等支給増加額は、確定申告書等に添付された書類に記載された控除対象雇用者給与等支給増加額を限度とする。