賃上げ促進税制の税額控除の繰越し


今回は、賃上げ促進税制の税額控除の繰越しを確認してみましょう。

税額控除

所得税や法人税には一定の要件を満たした場合に、
所得税や法人税を減額できる制度(税額控除)があります。

税額控除については、
・繰越しできるもの
・繰越しできないもの
に分かれます。

賃上げ税制については、繰越不可でしたが、
令和6年度税制改正で一部繰越しが可能となります。

中小企業者向けのみ繰越しが可能で
新設される中堅企業向けは繰越しできません。

税額控除の繰越し

税額控除の繰越しに関する規定を確認してみましょう。

4 青色申告書を提出する法人の各事業年度(解散(合併による解散を除く。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除く。)において当該法人の雇用者給与等支給額がその比較雇用者給与等支給額を超える場合において、当該法人が繰越税額控除限度超過額を有するときは、当該事業年度の所得に対する調整前法人税額から、当該繰越税額控除限度超過額に相当する金額を控除する。この場合において、当該法人の当該事業年度における繰越税額控除限度超過額が当該法人の当該事業年度の所得に対する調整前法人税額の百分の二十に相当する金額(当該事業年度において前三項の規定により当該事業年度の所得に対する調整前法人税額から控除される金額がある場合には、当該金額を控除した残額)を超えるときは、その控除を受ける金額は、当該百分の二十に相当する金額を限度とする。

新租税特別措置法第42条の12の5第4項

繰越控除の要件は、次の4つです。
・青色申告法人であること。中小企業者等の限定なし。
・解散事業年度・清算事業年度は不可。合併解散は対象。
・比較雇用者給与等支給額(前期)<雇用者給与等支給額(当期)
(対象となる給料が増加していること)
・繰越税額控除限度超過額がある。

要件を満たした場合、
マイナスしきれなかった部分について、
当期の法人税額からマイナスが可能です。

ただし、当期の法人税額×20%が控除限度となります。
当期の賃上げ税制の税額控除がある場合は、
「当期の賃上げ税制の税額控除」を控除限度からマイナスします。

計算例
・前期の繰越額 600
・当期の税額控除 1,500
・当期の法人税額 10,000

控除限度は、
当期の法人税額10,000×20%=2,000となります。

「控除限度2,000」から「当期の税額控除1,500」を
マイナスすると残り500となります。

前期の繰越額600>控除限度500となり、
繰越分の控除は500となります。

控除限度を超えた100については控除できませんが、
引き続き繰越しの対象となります。

繰越税額控除限度超過額

繰越税額控除限度超過額を確認してみましょう。

十二 繰越税額控除限度超過額 法人の適用年度開始の日前五年以内に開始した各事業年度(当該適用年度まで連続して青色申告書の提出をしている場合の各事業年度に限る。)における中小企業者等税額控除限度額のうち、第三項の規定による控除をしてもなお控除しきれない金額(既に前項の規定により当該各事業年度において調整前法人税額から控除された金額がある場合には、当該金額を控除した残額)の合計額をいう。

新租税特別措置法第42条の12の5第5項第12号

税額控除の繰越期間は、5年です。
連続して青色申告書を提出する必要があります。

繰越分の税額控除を適用する事業年度については、
青色申告法人が要件となりますので、
中小企業者等でなくても、利用できるのでしょうね。


新しいこと
・はちみつバターパン
・メロンパン風クロワッサン

PAGE TOP