賃上げ促進税制の給与等基準日と給与等未経過法人


今回は、賃上げ促進税制のうち
・給与等基準日
・給与等未経過法人
の2つを確認してみましょう。

給与等未経過法人

先に定義を確認してみましょう。

給与等未経過法人(当該適用年度開始の日においてその設立の日の翌日以後一年(当該適用年度が一年に満たない場合には、当該適用年度の期間。第一号において同じ。)を経過していない法人をいう。第一号イ及び次項において同じ。)

租税特別措置法施行令第27条の12の5第19項、施行日令和6年9月2日

賃上げ促進税制を利用する年度を「適用年度」といいます。

開始日から見て、設立日の翌日以後1年(注1)を経過していない法人を
「給与等未経過法人」といいます。最近設立した法人です。

注1、適用年度が1年未満の場合は、1年ではなく1年未満の期間をさかのぼって判定します。

給与等基準日

先に定義を確認してみましょう。

給与等基準日(次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日をいう。以下この項及び次項において同じ。)

次の各号に掲げる場合は、次の2つです。
・特殊な場合の1号
・一般的な場合の2号

一 前事業年度の月数が適用年度の月数に満たない場合で、かつ、当該前事業年度が六月に満たない場合 次に掲げる日のうちいずれか早い日
イ 当該適用法人が給与等未経過法人に該当し、かつ、当該適用法人がその設立の日から当該適用年度開始の日の前日までの期間内に行われた合併又は分割等に係る合併法人又は分割承継法人等に該当する場合(当該設立の日から当該合併又は分割等の日の前日までの期間に係る給与等支給額が零である場合に限る。)における当該合併又は分割等に係る被合併法人又は分割法人等の当該適用年度開始の日前一年以内の日を含む各事業年度(当該被合併法人又は分割法人等の設立の日以後に終了した事業年度に限る。)のうち最も古い事業年度開始の日
ロ 当該適用年度開始の日前一年以内に終了した各事業年度(設立の日以後に終了した事業年度に限る。)のうち最も古い事業年度開始の日

二 前号に掲げる場合以外の場合 前事業年度開始の日

租税特別措置法施行令第27条の12の5第19項第1号と第2号、施行日令和6年9月2日

一般的な場合

一般的な場合の2号を先に確認してみましょう。

二 前号に掲げる場合以外の場合 前事業年度開始の日

前号(1号)に掲げる場合に該当しない場合は、
・前事業年度の開始日
が給与等基準日となります。

当期の開始日がX年4月1日の場合、
前期の開始日のX-1年4月1日が給与等基準日となります。

特殊な場合

特殊な場合は、要件が少し複雑です。
分けて確認してみましょう。

一 前事業年度の月数が適用年度の月数に満たない場合で、かつ、当該前事業年度が六月に満たない場合 次に掲げる日のうちいずれか早い日

要件は2つあります。

1、前期の月数<当期の月数
2、前期の月数<6月

2つ要件を満たす場合は、次に掲げる日(イ、ロ)のうちいずれか早い日が給与等基準日となります。

先に簡単なロを確認してみましょう。

ロ 当該適用年度開始の日前一年以内に終了した各事業年度(設立の日以後に終了した事業年度に限る。)のうち最も古い事業年度開始の日

当期の開始日前1年以内に終了した複数の事業年度のうち、
最も古い事業年度の開始日が給与等基準日の候補となります。

給与等未経過法人の場合

イを確認してみましょう。

イ 当該適用法人が給与等未経過法人に該当し、かつ、当該適用法人がその設立の日から当該適用年度開始の日の前日までの期間内に行われた合併又は分割等に係る合併法人又は分割承継法人等に該当する場合(当該設立の日から当該合併又は分割等の日の前日までの期間に係る給与等支給額が零である場合に限る。)における当該合併又は分割等に係る被合併法人又は分割法人等の当該適用年度開始の日前一年以内の日を含む各事業年度(当該被合併法人又は分割法人等の設立の日以後に終了した事業年度に限る。)のうち最も古い事業年度開始の日

まず、給与等未経過法人に該当する必要があります。

適用法人が
・設立日から
・適用年度開始日の前日まで
の期間内に行われた合併や分割等の
・合併法人
・分割承継法人等
に該当する場合(事業を引き継いだ法人)が対象となります。

ただし、
・設立日から
・合併や分割等の前日まで
の期間の給与等支給額(給料の支払い)が0円である場合に限ります。
(かなり特殊なケースだと思います。)

要件を満たす場合は、
・被合併法人
・分割法人等
の適用年度開始日前1年以内の日を含む複数の事業年度のうち
最も古い事業年度の開始日が給与等基準日の候補となります。

教育訓練費の基準日では、
・適用年度開始の日前一年以内に開始した各事業年度
と規定されていますが、
給与等基準日の規定では、
・適用年度開始の日前一年以内の日を含む各事業年度
と規定されています。

異なる意味かもしれませんが、1年以内に開始した各事業年度という考え方で問題ないと思います。

設立の日

「設立の日以後に終了した事業年度の限る。」という規定が2か所あります。

・当該被合併法人又は分割法人等の設立の日以後に終了した事業年度に限る。
・設立の日以後に終了した事業年度に限る。

この「設立の日」は、別の規定で定義されており、実際に設立された日以外に
・外国法人が恒久的施設を有することとなった日
・公益法人等が新たに収益事業を開始した日
が含まれています。
(租税特別措置法第42条の12の5第5項第1号、施行日令和6年9月2日)

そのため、新たに収益事業を開始した日前に終了した事業年度は含まれないことになります。


新しいこと
・ホルス、ミートパイ、焼きドーナツ

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