賃上げ促進税制_中小企業者向け特例


前回は、賃上げ促進税制の一般特例を確認しました。
今回は、中小企業者向け特例を確認します。

一般特例の情報は下記サイトから確認できます。
「賃上げ促進税制」について(令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始される各事業年度対象)

中小企業向け特例の情報は下記サイトから確認できます。
中小企業向け「賃上げ促進税制」(令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度が対象)

中小企業向け特例の概要

細かい要件を除きます。

中小企業者等が令和4年度(令和5年度)中に
国内雇用者に給料を支払う場合に、
前期の給料と比較して、給料の増加割合が1.5%以上のときは、
法人税額から給料の増加額の15%を控除できます。
(控除額は法人税額の20%が限度)

仮に、賃上げが2,000の場合、
控除額は2,000×15%=300となります。

法人税が400の場合、
限度額が400×20%=80となりますので、
法人税の減税は80となります。
控除額300>控除限度額80 → 少ない金額80

控除割合の追加
1、給料の増加割合が2.5%以上の場合は、控除割合を15%追加する。
2、一定の教育訓練費の割合が10%以上の場合は、控除割合を10%追加する。

原則の控除割合は15%ですが、上記1、2の要件を満たした場合、
控除割合が増加して、さらに法人税を減らせます。
1を満たせば30%、2を満たせば25%、両方満たせば40%に増加します。

対象法人、対象期間、国内雇用者

中小企業者向け特例は中小企業者等限定の制度です。
中小企業者(資本金1億円以下の法人)の内容については、
賃上げ促進税制の中小企業者をご参照願います。

対象期間は、令和4年度と令和5年度の2期間です。
ただし、下記4つの事業年度は使用できません。

  1. 一般特例を使用する場合
    一般特例と中小企業向け特例は併用できません。
  2. 設立事業年度
    比較する前期の給与がないため。
  3. 解散(合併解散除く)
    事業を継続しないため
  4. 清算中
    事業を継続しないため

国内雇用者について
働く人の賃上げを促進させることが目的のため、
国外で働く人や、国内であっても役員は、国内雇用者に含まれません。
パート、アルバイト、日雇い労働者は、国内雇用者に含みます。

国内雇用者の範囲は一般特例と同じです。

給料の増加割合

定義規定が更新されていないため、簡単に。

次の給料増加割合が1.5%以上必要です。
(一般特例は3%以上)

雇用者給与等支給額(本年)-雇用者比較給与等支給額(前年)=増加
——————————————————————————————
雇用者比較給与等支給額(前年)

例えば、次の場合
前年の給料 200
本年の給料 205

205(本年)-200(前年)=5(増加)÷200(前年)
=2.5%≧1.5%で要件を満たします。

減税できる金額

控除額は、
控除の基礎となる金額(控除対象雇用者給与等支給増加額)×15%です。

この控除の基礎となる金額(控除対象雇用者給与等支給増加額)は、
一般特例と中小企業者向け特例で、変更ありません。
以下の算式は、一般特例と同じです。

控除対象雇用者給与等支給増加額(限度あり)は、
雇用者給与等支給額(本年)-比較雇用者給与等支給額(前年)
で計算します。

増加額>調整雇用者給与等支給増加額(イ-ロ=限度額)のときは、
増加額は限度額とします。

A、形式的賃上げ
 雇用者給与等支給額(本年)-比較雇用者給与等支給額(前年)
B、実質的賃上げ
 雇用者給与等支給額(雇用安定助成金額除く、本年)-比較雇用者給与等支給額(雇用安定助成金額を除く、前年)

上記AとBを比較して、少ない金額が増加額となります。

計算例

内容前年本年増加
雇用者給与等支給額1,5002,000500
うち安定助成金額100200100
助成金控除後1,4001,800400
計算例1

A、2,000-1,500=500
B、1,800-1,400=400
AとBを比較して少ない金額400が増加額となります。

500の賃上げをしたとしても、
助成金を追加で100もらっているので、
増加額は400となります。

以上、賃上げ促進税制の中小企業向け特例について確認しました。

参考リンク
賃上げ促進税制(一般特例)
賃上げ促進税制の中小企業者

参考規定、賃上げ促進税制の中小企業者向け特例
内容規定
要件1第四十二条の四第十九項第七号に規定する中小企業者(同項第八号に規定する適用除外事業者又は同項第八号の二に規定する通算適用除外事業者に該当するものを除く。)又は同項第九号に規定する農業協同組合等で、青色申告書を提出するもの(以下この項において「中小企業者等」という。)が、平成三十年四月一日から令和六年三月三十一日までの間に開始する各事業年度(前項の規定の適用を受ける事業年度、設立事業年度、解散(合併による解散を除く。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除く。)において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、
要件2当該事業年度において当該中小企業者等の雇用者給与等支給額からその比較雇用者給与等支給額を控除した金額の当該比較雇用者給与等支給額に対する割合(第一号において「雇用者給与等支給増加割合」という。)が百分の一・五以上であるときは、
効果当該中小企業者等の当該事業年度の所得に対する調整前法人税額から、当該中小企業者等の当該事業年度の控除対象雇用者給与等支給増加額(当該事業年度において第四十二条の十二の規定の適用を受ける場合には、同条の規定による控除を受ける金額の計算の基礎となつた者に対する給与等の支給額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した残額)に百分の十五(当該事業年度において次の各号に掲げる要件を満たす場合には、百分の十五に当該各号に定める割合(当該事業年度において次の各号に掲げる要件の全てを満たす場合には、当該各号に定める割合を合計した割合)を加算した割合)を乗じて計算した金額(以下この項において「中小企業者等税額控除限度額」という。)を控除する。
後段この場合において、当該中小企業者等税額控除限度額が、当該中小企業者等の当該事業年度の所得に対する調整前法人税額の百分の二十に相当する金額を超えるときは、その控除を受ける金額は、当該百分の二十に相当する金額を限度とする。
控除割合の追加一 雇用者給与等支給増加割合が百分の二・五以上であること 百分の十五
二 当該中小企業者等の当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額からその比較教育訓練費の額を控除した金額の当該比較教育訓練費の額に対する割合が百分の十以上であること 百分の十
賃上げ促進税制、一般特例
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