賃貸人の会計リース期間と賃借人の会計リース期間


今回は、賃貸人の会計リース期間と賃借人の会計リース期間について、法人税の基本通達の定義を確認してみましょう。

賃貸人の会計リース期間

法人税の基本通達(12の5-1-3、リース取引の判定)の中で、
・⑴ 賃貸人の会計リース料の現在価値
・⑵ 賃貸人の会計リース期間
とあり、リース料やリース期間の前に「会計」と付いています。

税務上の言葉と分けるために用いていると思います。基本通達の注意書きにそれぞれ定義がありますので、今回は会計リース期間の定義を確認してみましょう。

基本通達の定義は次の順です。(1)賃貸人の会計リース料の定義の中に、(3)賃貸人の会計リース期間が記載されています。
(1)賃貸人の会計リース料
(2)原資産の定義
(3)賃貸人の会計リース期間
(4)経済的耐用年数

⑶ 賃貸人の会計リース期間
2-1-29(注)4⦅賃貸借契約に基づく使用料等の帰属の時期⦆に定める賃貸人の会計リース期間をいう。

基本通達2-1-29(賃貸借契約に基づく使用料等の帰属の時期)は、
・第2章 収益並びに費用及び損失の計算
・・第1節 収益等の計上に関する通則
・・・第6款 利子、配当、使用料等に係る収益
の中で規定されています。

注4を確認してみましょう。

4 本文の賃貸人の会計リース期間とは、その賃貸人が選択した次のいずれかの期間をいう。
⑴ 賃借人のリース期間(解約不能期間(リースに係る契約に基づく賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないこととされている期間をいう。以下この節において同じ。)に7-6の2-10の2(注)⑴及び⑵⦅賃借人の会計リース期間をリース期間とする場合の取扱い⦆の期間を加えた期間をいう。以下この節において同じ。)と同様の方法により決定した期間
⑵ 賃借人が原資産を使用する権利を有する解約不能期間にリースが置かれている状況からみて賃借人が再リースする意思が明らかな場合の再リースに係る賃貸借期間を加えた期間

貸し手が次のいずれかから選んだ期間を「賃貸人の会計リース期間」といいます。

(1)は、借り手のリース期間と同じ方法で決定した期間です。
(2)は、解約不能期間に「再リース期間」をプラスした期間です。

リースに関する会計基準の定義を確認してみましょう。

  1. 「貸手のリース期間」とは、貸手が選択した次のいずれかの期間をいう。
    (1) 借手のリース期間と同様の方法により決定した期間
    (2) 借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間(事実上解約不能と認められる期間を含む。)にリースが置かれている状況からみて借手が再リースする意思が明らかな場合の再リース期間を加えた期間

表現は少し異なりますが、内容は同じです。

賃借人の会計リース期間

賃借人のリース期間のカッコ書きで、「解約不能期間」の定義があります。

続きに「7-6の2-10の2(注)⑴及び⑵⦅賃借人の会計リース期間をリース期間とする場合の取扱い⦆の期間」とありますので、確認してみましょう。

(賃借人の会計リース期間をリース期間とする場合の取扱い)
7-6の2-10の2 賃借人が、賃借人の会計リース期間を用いて経理を行っているリース資産に係る令第48条の2第1項第6号⦅減価償却資産の償却の方法⦆の規定又はこの節における各通達の適用に当たっては、当該賃借人の会計リース期間を同号の「リース期間」又は当該各通達の「リース期間」とする。
(注) 本文の賃借人の会計リース期間とは、賃借人が原資産(2-1-1ただし書の⑵ (注)⑵⦅収益の計上の単位の通則⦆に定める原資産をいう。以下この節において同じ。)を使用する権利を有する解約不能期間(2-1-29 (注)4⑴⦅賃貸借契約に基づく使用料等の帰属の時期⦆に定める解約不能期間をいう。)に次の⑴及び⑵の期間を加えた期間をリース期間としている場合の当該リース期間をいう。
⑴ 賃借人が行使することが合理的に確実であるリース(2-1-1ただし書の⑵ (注)⑴に定めるリースをいう。以下この節において同じ。)の延長オプションの対象期間
⑵ 賃借人が行使しないことが合理的に確実であるリースの解約オプションの対象期間

注意書きに「賃借人の会計リース期間」の定義がありますので、確認してみましょう。

「賃借人が原資産」とありますので、基本通達2-1-1ただし書きの(2)(注)(2)を確認してみましょう。

基本通達2-1-1は、収益の計上の単位の通則です。
ただし書きの(2)は、資産の賃貸借です。

(注) 次に掲げる用語の意義については、それぞれ次による。以下この節において同じ。
⑴ リース 原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部分をいう。
⑵ 原資産 リースの対象となる資産で賃貸人によって賃借人に当該資産を使用する権利が移転されているものをいう。

リースに関する会計基準の定義を確認してみましょう。

  1. 「リース」とは、原資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部分をいう。
  2. 「原資産」とは、リースの対象となる資産で、貸手によって借手に当該資産を使用する権利が移転されているものをいう。

表現は少し異なりますが、内容は同じです。

賃借人の会計リース期間=
解約不能期間+次の⑴及び⑵の期間とありますので、
(1)と(2)を確認してみましょう。

⑴ 賃借人が行使することが合理的に確実であるリース(2-1-1ただし書の⑵ (注)⑴に定めるリースをいう。以下この節において同じ。)の延長オプションの対象期間

解約不能期間+
行使することが合理的に確実なリースの延長オプションの対象期間

⑵ 賃借人が行使しないことが合理的に確実であるリースの解約オプションの対象期間

解約不能期間+
行使しないことが合理的に確実なリースの解約オプションの対象期間

リースに関する会計基準の定義を確認してみましょう。

  1. 「借手のリース期間」とは、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間に、次の(1)及び(2)の両方を加えた期間をいう。
    (1) 借手が行使することが合理的に確実であるリースの延長オプションの対象期間
    (2) 借手が行使しないことが合理的に確実であるリースの解約オプションの対象期間

表現は少し異なりますが、内容は同じです。

まとめ

貸し手のリース期間
1、借り手と同じ方法を選択できる。
2、解約不能期間+再リース期間

借り手のリース期間
1、解約不能期間+延長オプションの対象期間(行使が合理的に確実)
2、解約不能期間+解約オプションの対象期間(不行使が合理的に確実)

法人税の基本通達とリースに関する会計基準の内容は、同じです。


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