資産損失の金額


資産の損失については、資産の内容に応じて
不動産所得、事業所得、山林所得、雑所得の経費として処理します。

資産損失の金額

経費として処理できる金額は、帳簿価額(簿価)です。
資産別に定められています。

固定資産については、
損失が生じた日に資産を譲渡したものとみなして計算した
その固定資産の取得費となります。
規定上は、損失直前の簿価です。

山林については、
損失が生じた日までに支払った、植林費、取得に要した費用、管理費、
育成費の合計額です。

繰延資産については、
取得した金額-経費として処理した金額の合計額で計算します。

所得税基本通達51-9について

以下、メモです。

当該資産について令第142条又は第143条の規定を適用して計算した金額から当該損失が発生した直後における当該資産の価額を控除した残額に相当する金額は、次に掲げる資産の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによるものとする。

(1) 減価償却資産及び繰延資産  当該損失が生じた時において当該資産の償却費の額に算入された金額とする。

所得税基本通達

取得価額 5000円
前年末の償却費の累積額 3800円
前年末の簿価 1200円

譲渡があったものとみなして計算した取得費 1,000円
その損失が発生した直後における資産の価額 100円
控除した残額に相当する金額 1000円-100円=900円
この900円は、その損失時の償却費の額に算入された金額とします。

損失発生前までの減価償却費 200円
資産損失 900円 → 保険金控除の対象
前年末簿価1200円-減価償却費200円-資産損失900円=簿価100円

(2) 固定資産(減価償却資産を除く。)  当該資産の取得費から控除する。

所得税基本通達

取得価額 5000円
譲渡があったものとみなして計算した取得費 5,000円
その損失が発生した直後における資産の価額 500円
控除した残額に相当する金額 5000円-500円=4500円

この4500円は、資産の取得費5000円からマイナスします。
取得費5000円-資産損失4500円=簿価500円。

(3) 山林  当該山林の法第37条第2項《必要経費》に規定する費用の額から控除する。

所得税基本通達

AとBの山林所得の必要経費(所法37条2) 6000円
B山林の資産損失の金額 2000円
6000円(所法37条2)-2000円=4000円

所法37条2項の必要経費 4000円
所法51条3項の必要経費 2000円 → 保険金控除の対象

参考規定など

(必要経費に算入される資産損失の金額)
第百四十二条 次の各号に掲げる資産について生じた法第五十一条第一項、第三項又は第四項(資産損失の必要経費算入)に規定する損失の金額の計算の基礎となるその資産の価額は、当該各号に掲げる金額とする。
一 固定資産 当該損失の生じた日にその資産の譲渡があつたものとみなして法第三十八条第一項又は第二項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額
二 山林 当該損失の生じた日までに支出したその山林の植林費、取得に要した費用、管理費その他その山林の育成に要した費用の額
三 繰延資産 その繰延資産の額からその償却費として法第五十条(繰延資産の償却費の計算及びその償却の方法)の規定により当該損失の生じた日の属する年分以前の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入される金額の累積額を控除した金額

所得税法施行令

(損失が生じた資産の取得費等)
51-9 資産につき法第51条第1項、第3項又は第4項に規定する損失が生じた場合には、当該資産について令第142条又は第143条の規定を適用して計算した金額から当該損失が発生した直後における当該資産の価額を控除した残額に相当する金額は、次に掲げる資産の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによるものとする。

(1) 減価償却資産及び繰延資産  当該損失が生じた時において当該資産の償却費の額に算入された金額とする。

(2) 固定資産(減価償却資産を除く。)  当該資産の取得費から控除する。

(3) 山林  当該山林の法第37条第2項《必要経費》に規定する費用の額から控除する。

所得税基本通達

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