贈与税の申告書を提出する前に亡くなった場合など


今回は、贈与税の申告書の提出前に亡くなった場合を確認してみましょう。

贈与税の申告書を提出する前に亡くなった場合

今回、確認する規定はこちら↓

2 前条第二項の規定は、次に掲げる場合について準用する。
一 年の中途において死亡した者がその年一月一日から死亡の日までに贈与により取得した財産の価額のうち贈与税の課税価格に算入される部分の合計額につき第二十一条の五、第二十一条の七及び第二十一条の八の規定を適用した場合において、贈与税額があることとなるとき。
二 相続時精算課税適用者が年の中途において死亡した場合において、その年一月一日から死亡の日までに第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産を贈与により取得したとき(第二十一条の十一の二第一項の規定による控除後の贈与税の課税価格がある場合に限る。)
三 前項の規定により申告書を提出すべき者が当該申告書の提出期限前に当該申告書を提出しないで死亡した場合

相続税法第28条第2項、令和7年6月1日施行

「前条第二項の規定は」とありますので、前条(第27条)第2項の規定を確認してみましょう。

2 前項の規定により申告書を提出すべき者が当該申告書の提出期限前に当該申告書を提出しないで死亡した場合には、その者の相続人(包括受遺者を含む。第五項において同じ。)は、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に、政令で定めるところにより、その死亡した者に係る前項の申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

相続税法第27条第2項、令和7年6月1日施行

相続税の申告書を提出する必要がある人が、相続税の申告書の提出期限前に相続税の申告書を提出しないで亡くなった場合の規定です。

この場合は、亡くなった方の相続人が亡くなった方に代わって、相続税の申告書を提出する必要があります。

「次に掲げる場合(3つ)について準用する。」とありますので1つずつ確認してみましょう。

一 年の中途において死亡した者がその年一月一日から死亡の日までに贈与により取得した財産の価額のうち贈与税の課税価格に算入される部分の合計額につき第二十一条の五、第二十一条の七及び第二十一条の八の規定を適用した場合において、贈与税額があることとなるとき。

要件は、2つです。

1、その年1月1日から亡くなった日までに贈与により財産を取得している。
2、その財産ついて、贈与税が発生している。

贈与により財産を受け取った人は、贈与税の申告をする必要があります。財産を受け取った人が亡くなっているため、財産を受け取った人の相続人が、財産を受け取った人に代わって贈与税の申告をする必要があります。

2つ目の規定を確認してみましょう。

二 相続時精算課税適用者が年の中途において死亡した場合において、その年一月一日から死亡の日までに第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産を贈与により取得したとき(第二十一条の十一の二第一項の規定による控除後の贈与税の課税価格がある場合に限る。)

要件は、2つです。

1、相続時精算課税を選択した人が年の途中で亡くなった。
2、亡くなった年に相続時精算課税の贈与により財産を受け取っている。
(贈与税がかかる場合に限ります。)

1つ目の規定は、通常の贈与の場合です。
2つ目の規定は、相続時精算課税の贈与の場合です。
計算方法が異なるため、規定が分かれています。

3つ目の規定を確認してみましょう。

三 前項の規定により申告書を提出すべき者が当該申告書の提出期限前に当該申告書を提出しないで死亡した場合

前項(第28条、贈与税の申告書)の規定により、贈与税の申告書を提出する必要がある人が、贈与税の申告書の提出期限前に、贈与税の申告書を提出しないでなくなった場合です。

1つ目と2つ目の規定は、年の途中で亡くなった場合です。
3つ目の規定は、贈与により財産を取得した翌年に亡くなった場合です。
亡くなった時期が異なるため、規定が分かれています。

決定があった場合

先に規定を確認してみましょう。

3 前条第六項の規定は、第一項の規定又は前項において準用する同条第二項の規定により提出すべき申告書について準用する。

相続税法第28条第3項、令和7年6月1日施行

前条(第27条)第6項は、申告期限の前に決定があった場合、贈与税の申告書の規定が適用されなくなります。

下記の規定を確認してみましょう。

第一項の規定又は前項において準用する同条第二項の規定により提出すべき申告書

・第一項の規定
贈与税の申告書を提出する必要がある人の規定です。

・前項(第28条第2項)において準用する同条(前条→第27条)第二項の規定
贈与税の申告書を提出する必要がある人が亡くなった場合、相続税の申告書の規定を準用します。

準用元の規定を確認してみましょう。

6 第一項から第三項までの規定は、これらの項に規定する申告書の提出期限前に相続税について決定があつた場合には、適用しない。

相続税法第27条第6項、令和7年6月1日施行

相続税の申告書の提出期限前に相続税の決定があった場合は、相続税の申告書に関する規定(第27条第1項、第2項、第3項)は、適用されなくなります。

上記の内容を準用しますので、
贈与税の申告書の提出期限前に贈与税の決定があった場合は、贈与税の申告書に関する規定(第28条第1項、第28条第2項において準用する第27条第2項)は、適用されなくなります。

結論は、贈与税の申告義務がなくなります。

参考情報

第二十一条の五、第二十一条の七及び第二十一条の八の規定

第21条の5、第21条の7、第21条の8の規定による贈与税がある場合
・第21条の5、贈与税の基礎控除(60万円→110万円の控除)
・第21条の7、贈与税の税率
・第21条の8、外国の贈与税を支払った場合の贈与税の控除


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