今回は、贈与税の課税される財産の金額を確認してみましょう。
贈与税の納税義務者の種類は、4つ
贈与の納税義務者の種類は、4つあります。
・財産を受け取った人の住所が日本か外国か
・財産の場所が制限されるか制限されないか
の組み合わせで4種類です。
1、日本住所あり、財産の場所を問わず課税(居住無制限納税義務者)
2、日本住所なし、財産の場所を問わず課税(非居住無制限納税義務者)
3、日本住所あり、国内財産に課税(居住制限納税義務者)
4、日本住所なし、国内財産に課税(非居住無制限納税義務者)
財産の場所を問わない場合
贈与により財産を受け取った人が
1、居住無制限納税義務者
2、非居住無制限納税義務者
にあてはまる場合は、1年の中で贈与で受け取った財産の合計額について、贈与税がかかります。
例えば、令和7年に贈与で受け取った財産が
・現金 300万円
・外国にある建物 500万円
の場合は、300万円+500万円=800万円が贈与税の計算対象になります。
(財産の場所が制限されません。)
参考規定
(贈与税の課税価格)
相続税法第21条の2第1項、令和7年6月1日施行
第二十一条の二 贈与により財産を取得した者がその年中における贈与による財産の取得について第一条の四第一項第一号又は第二号の規定に該当する者である場合においては、その者については、その年中において贈与により取得した財産の価額の合計額をもつて、贈与税の課税価格とする。
国内にある財産に限定される場合
贈与により財産を受け取った人が
3、居住制限納税義務者
4、非居住制限納税義務者
にあてはまる場合は、1月1日から12月31日までの間に贈与で受け取った日本にある財産の合計額について、贈与税がかかります。
例えば、令和7年に贈与で受け取った財産が
・現金 300万円
・外国にある建物 500万円
の場合は、300万円が贈与税の計算対象になります。
外国にある建物については、日本にないので贈与税の計算対象から外れます。
参考規定
2 贈与により財産を取得した者がその年中における贈与による財産の取得について第一条の四第一項第三号又は第四号の規定に該当する者である場合においては、その者については、その年中において贈与により取得した財産でこの法律の施行地にあるものの価額の合計額をもつて、贈与税の課税価格とする。
相続税法第21条の2第2項、令和7年6月1日施行
両方にあてはまる場合
先に規定を確認してみましょう。
3 贈与により財産を取得した者がその年中における贈与による財産の取得について第一条の四第一項第一号の規定に該当し、かつ、同項第三号若しくは第四号の規定に該当する者又は同項第二号の規定に該当し、かつ、同項第三号若しくは第四号の規定に該当する者である場合においては、その者については、その者がこの法律の施行地に住所を有していた期間内に贈与により取得した財産で政令で定めるものの価額及びこの法律の施行地に住所を有していなかつた期間内に贈与により取得した財産で政令で定めるものの価額の合計額をもつて、贈与税の課税価格とする。
相続税法第21条の2第3項、令和7年6月1日施行
贈与で財産を受け取った人が、
A、1号(居住無制限納税義務者)と3号(居住制限納税義務者)
B、1号(居住無制限納税義務者)と4号(非居住制限納税義務者)
C、2号(非居住無制限納税義務者)と3号(居住制限納税義務者)
D、2号(非居住無制限納税義務者)と4号(非居住制限納税義務者)
の両方に該当する場合は、政令(相続税法施行令)を確認する必要があります。
日本住所がある期間中に贈与で受け取った財産の取扱い
(年の中途において課税財産の範囲が異なることとなつた場合の贈与税の課税価格)
相続税法施行令第4条の4の2第1項、令和7年4月1日施行
第四条の四の二 法第二十一条の二第三項に規定する住所を有していた期間内に贈与により取得した財産で政令で定めるものは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める財産とする。
一 贈与により財産を取得した者が当該贈与により財産を取得した時において法第一条の四第一項第一号の規定に該当する者である場合 当該贈与により取得した財産
二 贈与により財産を取得した者が当該贈与により財産を取得した時において法第一条の四第一項第三号の規定に該当する者である場合 当該贈与により取得した財産で法の施行地にあるもの
上記の規定は、4つの組み合わせのうち、
A、1号(居住無制限納税義務者)と3号(居住制限納税義務者)
B、1号(居住無制限納税義務者)と4号(非居住制限納税義務者)
C、2号(非居住無制限納税義務者)と3号(居住制限納税義務者)
D、2号(非居住無制限納税義務者)と4号(非居住制限納税義務者)
1号と3号が規定されています。
1つ目、居住無制限納税義務者(第1号)
「日本にある財産」と「外国にある財産」が贈与税の計算対象です。
2つ目、居住制限納税義務者(第3号)
「日本にある財産」が贈与税の計算対象です。
「外国にある財産」は対象外となります。
日本住所がない期間中に贈与で受け取った財産の取扱い
2 法第二十一条の二第三項に規定する住所を有していなかつた期間内に贈与により取得した財産で政令で定めるものは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める財産とする。
相続税法施行令第4条の4の2第2項、令和7年4月1日施行
一 贈与により財産を取得した者が当該贈与により財産を取得した時において法第一条の四第一項第二号の規定に該当する者である場合 当該贈与により取得した財産
二 贈与により財産を取得した者が当該贈与により財産を取得した時において法第一条の四第一項第四号の規定に該当する者である場合 当該贈与により取得した財産で法の施行地にあるもの
上記の規定は、4つの組み合わせのうち、
A、1号(居住無制限納税義務者)と3号(居住制限納税義務者)
B、1号(居住無制限納税義務者)と4号(非居住制限納税義務者)
C、2号(非居住無制限納税義務者)と3号(居住制限納税義務者)
D、2号(非居住無制限納税義務者)と4号(非居住制限納税義務者)
2号と4号が規定されています。
1つ目、非居住無制限納税義務者(第2号)
「日本にある財産」と「外国にある財産」が贈与税の計算対象です。
2つ目、非居住制限納税義務者(第4号)
「日本にある財産」が贈与税の計算対象です。
「外国にある財産」は対象外となります。
まとめ
日本住所あり期間 | 日本住所なし期間 |
---|---|
居住無制限納税義務者(第1号) → 財産の場所を問わない。 | 非居住無制限納税義務者(第2号) → 財産の場所を問わない。 |
居住制限納税義務者(第3号) → 日本にある財産のみ | 非居住制限納税義務者(第4号) → 日本にある財産のみ |
生前の贈与が相続税の計算に含まれる場合
相続などにより財産を受け取った人(例、子)が、相続が始まった年に
亡くなった方(例、親)から贈与により財産を受け取った場合が要件です。
「相続税の計算をする年」と「贈与税の計算する年」が同じという意味です。
この場合で、生前の贈与について相続税の計算に含まれるもの(生前贈与の加算の特例があるもの)については、贈与税の計算対象から外れます。
参考規定
4 相続又は遺贈により財産を取得した者が相続開始の年において当該相続に係る被相続人から受けた贈与により取得した財産の価額で第十九条の規定により相続税の課税価格に加算されるものは、前三項の規定にかかわらず、贈与税の課税価格に算入しない。
相続税法第21条の2第4項、令和7年6月1日施行
前3項は、次の3つです。
・第1項、無制限納税義務者は財産の場所を問わず課税される。
・第2項、制限納税義務者は日本にある財産のみ課税される。
・第3項、無制限納税義務者と制限納税義務者の両方に該当している場合も取扱いは同じ。
「前3項の規定にかかわらず、贈与税の課税価格に算入しない。」とありますので、贈与税の計算には含まれません。