今回は、輸出免税(0%課税)を使う場合の書類の保存について確認します。
輸出免税について
事業者が事業として商品を国内で販売した場合に、消費税が10%かかります。ただし、日本の消費税は日本国内で商品が消費されることを前提にかかる税金であるため、商品を外国に輸出して国外で消費するような場合、書類の保存を要件に、消費税が0%になる特例(輸出免税)があります。
書類の保存
規定を確認します。
消費税法7条2項
前項の規定<輸出免税の規定>は、その課税資産の譲渡等が同項各号に掲げる資産の譲渡等に該当するものであることにつき、財務省令<消費税法施行規則>で定めるところにより証明がされたものでない場合には、適用しない。
消費税法7条2項
施行規則を確認します。全文引用すると長いので一部削ります。
消費税法施行規則5条
当該各号<4種類>に定める書類又は帳簿を整理し、当該課税資産の譲渡等を行つた日の属する課税期間の末日の翌日から二月()を経過した日から七年間、これを納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるもの(「事務所等」)の所在地に保存することにより証明がされたものとする。
消費税法施行規則5条
次の2つを満たして、輸出免税を証明します。
- 4種類の取引に応じて、書類や帳簿を整理する。
- 書類や帳簿を7年間、事務所等の所在地に保存する。
消費税は青色申告制度がないため、基本的に7年間保存となります。
次に4種類の取引を確認します。
4種類の内容
規定がかなりややこしいので、まとめます。
- 商品を輸出する場合(原則)
- 商品を輸出する場合(20万円以下の郵便物限定)
- 輸送、通信、郵便、信書便のサービス
- 上記1~3以外
1は、自社が商品を外国に輸出する場合です。
輸出した商品について輸出免税を受ける場合です。
3は、日本郵便などが商品を国外に輸送するサービスの場合です。
輸出した商品そのものではなく、商品の郵送側のことです。
2は、令和3年10月1日から改正されているものです。
20万円以下の郵便物限定です。
4が、非居住者に対するサービス等です。
一番簡単な4(非居住者に対するサービス)から確認します。
非居住者に対するサービス(4番)
輸出免税を受けるためには、「契約書」に次の事項を記載する必要があります。
- 売り手の名前・名称と住所
- 商品を引き渡した日、サービスした日
- 商品やサービスの金額(消費税はかからないため税抜き)
- 買い手の名前・名称と住所
商品を輸出する場合(原則、1番)
輸出免税に必要な書類は、「輸出許可書」です。
郵便物の決済金額(FOB価格)が20万円を超えるものも
輸出許可書が必要です。
電子申請した場合は、輸出許可通知書(輸出申告控)か輸出申告控、輸出許可通知書が「輸出許可書」となります。実際に見たことはありませんが2つセットなんでしょうね。
商品を輸出する場合(20万円以下の郵便物、2番)
改正前(令和3年9月30日まで)は、一定事項が記載された帳簿か物品受領書等の「いずれか」を保存すれば輸出免税が使えました。そのため、実際に輸出していないのに輸出したものとして帳簿に記載して、輸出免税を使用していたことがあるようです。
改正により、令和3年10月1日以後は、
一定の書類(2種類)に変更されています。
1つ目、小包郵便物、EMS郵便物
小包郵便物については、ご依頼主控と国際小包受取書
EMS郵便物については、ご依頼主控とEMS受取書
輸出免税を使うためには、それぞれの書類の保存が必要です。
2つ目、通常郵便物
通常郵便物は次の2種類。
1、書状、印刷物、小形放送物、盲人用郵便物
2、国際eパケット(ライト)郵便物
1と2、それぞれ「ご依頼主様(控)」が輸出免税を使うための書類となりますが、1については郵送する際に追加オプションを付けないと「ご依頼主様(控)」が入手できないため、輸出免税が使えなくなります。
送るものによっては、輸出免税で安くなる金額よりオプション料金の方が高くなるのでは…… 送る内容によりそうですね。
通常郵便物については、その資産の品名、品名ごとの数量、価額を
控えに追記する必要があります。
控えには、郵送した詳細が書かれていないからでしょうね。
参考となるリンク
・消費税法等の改正、P907、※1と※2
・消費税法改正のお知らせ(令和3年4月、国税庁)、Ⅱ
3番は日本郵便など輸送する法人の輸出免税の保存なので省略しています。