退職金の所得税の源泉徴収


今回は、退職金の所得税の源泉徴収ついて確認します。

内容

給料、賞与、報酬と同様に退職金を支払った場合についても、
退職金に関する源泉徴収をする必要があります。

退職金の源泉徴収で忘れてはいけないものが
「退職所得の受給に関する申告書」です。

退職所得の受給に関する申告書の提出がない場合、退職金の20.42%の源泉徴収が必要となります。源泉所得税の納付義務者は、退職金の支払者(会社や個人事業主など)ですので、「退職所得の受給に関する申告書」の提出については必ず確認しましょう。

具体的な取扱いは国税庁のページを参照願います。

[手続名]退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_37.htm

気になった点
様式が「令和4年4月1日以後」と「令和4年3月31日以前」で2種類用意されています。様式が変わっているだけだと思います。令和3年以前と令和4年以後で異なるのは、「短期退職手当等」の改正です。

申告書の提出時期については、
会社などが退職金を支給する時までです。

会社などが「退職所得の受給に関する申告書」を受け取った場合、
税務署に提出しないで、会社で7年間(※)保管する必要があります。

(※)正確には、令和年分の「退職所得の受給に関する申告書」であれば、
翌年の令和年1月10日の翌日(11日)から7年を経過する日(10日)後に破棄できます(令和12年1月10日まで保管)。

短期退職手当等の改正

原則として、退職所得には1/2の軽減措置がありますが、令和4年から短期間の勤続年数に対する退職金について、1/2の軽減措置がなくなりました。

退職所得の1/2軽減を利用した租税回避を防止する目的の改正であるため、
・退職金収入-退職所得控除が300万円以下の部分については、1/2の軽減あり
・退職金収入-退職所得控除が300万円超の部分については、1/2の軽減なし
となります。

その他

参考規定を簡単にまとめます。

1項
「退職所得の受給に関する申告書」の提出義務規定です。実務上、
実際には税務署に提出しないで会社で保管します。

規定上の申告書の流れは、
退職者→会社など→税務署ですが、
実務上は、退職者→会社など(保管)となります。

他の退職金収入がある場合は、
その源泉徴収票を申告書と一緒に提出する必要があります。
源泉徴収票は退職所得控除の計算に必要な資料です。

2項、レアケースです。
3項、みなし提出
退職者が会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出して、受理された場合は、受理された時点で、税務署長に提出したものとみなされます。
実務上、税務署に提出しない理由です。

4項、電子提出です。
5項、電子提出の場合のみなし提出です。

参考規定など

国税庁、短期退職手当等Q&A、令和4年1月改正
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0021009-037_01.pdf

(退職所得の受給に関する申告書)
第二百三条 国内において退職手当等の支払を受ける居住者は、その支払を受ける時までに、次に掲げる事項を記載した申告書を、その退職手当等の支払者を経由して、その退職手当等に係る所得税の第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地(第十八条第二項(納税地の指定)の規定による指定があつた場合には、その指定をされた納税地)の所轄税務署長に提出しなければならない。この場合において、第二号に規定する支払済みの他の退職手当等がある旨を記載した申告書を提出するときは、当該申告書に当該支払済みの他の退職手当等につき第二百二十六条第二項(源泉徴収票)の規定により交付される源泉徴収票を添付しなければならない。
一 その退職手当等の支払者の氏名又は名称
二 第二百一条第一項第一号(徴収税額)に規定する支払済みの他の退職手当等があるかどうか並びに当該支払済みの他の退職手当等があるときは当該支払済みの他の退職手当等が一般退職手当等、短期退職手当等又は特定役員退職手当等のいずれに該当するかの別及びその金額
三 第二百一条第二項に規定する退職所得控除額の計算の基礎となる勤続年数
四 その居住者が第三十条第六項第三号(退職所得)に掲げる場合に該当するかどうか及びこれに該当するときはその該当する事実
五 その他財務省令で定める事項
2 第二百条(源泉徴収を要しない退職手当等の支払者)の規定によりその所得税を徴収して納付することを要しないものとされる退職手当等は、前項に規定する退職手当等に含まれないものとする。
3 第一項の場合において、同項の規定による申告書がその提出の際に経由すべき退職手当等の支払者に受理されたときは、その申告書は、その受理された時に同項に規定する税務署長に提出されたものとみなす。
4 第一項の退職手当等の支払を受ける居住者は、同項の規定による申告書の提出の際に経由すべき退職手当等の支払者が電磁的方法(第百九十八条第二項(給与所得者の源泉徴収に関する申告書の提出時期等の特例)に規定する電磁的方法をいう。以下この項において同じ。)による当該申告書に記載すべき事項(以下この項において「記載事項」という。)の提供を適正に受けることができる措置を講じていることその他の政令で定める要件を満たす場合には、当該申告書の提出に代えて、当該退職手当等の支払者に対し、当該記載事項を電磁的方法により提供することができる。この場合においては、同条第二項後段の規定を準用する。
5 前項の規定の適用がある場合における第三項の規定の適用については、同項中「申告書が」とあるのは「申告書に記載すべき事項を」と、「支払者に受理されたとき」とあるのは「支払者が提供を受けたとき」と、「受理された時」とあるのは「提供を受けた時」とする。
6 第一項の規定による申告書は、退職所得の受給に関する申告書という。

所得税法

6 法第二百三条第一項に規定する退職手当等の支払者がその退職手当等の支払を受ける居住者から同項の規定による申告書を受理した場合には、当該申告書(同条第四項の規定の適用により当該退職手当等の支払者が提供を受けた当該申告書に記載すべき事項を含む。次項において同じ。)を、同条第一項に規定する税務署長が当該退職手当等の支払者に対しその提出を求めるまでの間、当該退職手当等の支払者が保存するものとする。ただし、当該申告書に係る同項に規定する提出期限の属する年の翌年一月十日の翌日から七年を経過する日後においては、この限りでない。

所得税法施行規則77条
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