通算制度からの離脱等に伴う資産の時価評価_対象資産3


今回は、通算制度からの離脱等に伴う資産の時価評価を確認してみましょう。
通算グループを出る前にも時価評価が必要です。

時価評価のポイントは次の2点です。
1、対象となる法人
2、対象となる資産

対象となる資産は、要件により異なります。
今回は、2号の譲渡等事由を確認します。

譲渡等事由

譲渡等事由は、3つあります。

  1. 特定資産の譲渡、貸倒れ、除却など
  2. 特定資産について評価換えによる損金算入額が発生すること
  3. 特定資産が時価評価資産などに該当し、損金算入額が発生すること
評価替えによる損金算入額が発生すること

特定資産が通算法人(法法64条の13①)に規定する
通算法人であった内国法人において、次の損金算入が生じること。

  1. 評価替え(法法33条②)によりその帳簿価額を減額され、その特定資産の同項に規定する差額に達するまでの金額が損金算入されること
  2. 評価替え(法法33条③)によりその帳簿価額が減額され、その減額部分が損金算入されること
  3. 資産(法法33条④)に該当し、その特定資産の評価損の額(法法33条④)として政令で定める金額が損金算入されること。
通算開始・通算加入による時価評価で損金算入額が発生すること

特定資産が通算法人(法法64条の13①)に規定する
通算法人であった内国法人において、
通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益の
時価評価資産・株式等(法法64条の11①②)、
通算制度への加入に伴う資産の時価評価損益の
時価評価資産・株式等(法法64条の12①②)に該当し、
その特定資産につき、これらの規定による評価損が損金算入されること。

含み損が少ない場合を除く。

譲渡等事由から次のいずれかに該当する場合を除きます。

  1. その事由が生ずることによる損金算入額がない場合
  2. その事由が生ずることによる損金算入額がその事由が生ずることによる益金算入額以下である場合
まとめ

要件
「株式等」の譲渡・評価替えによる損失が見込まれること

時価評価資産
譲渡等事由が生ずること(注1)が見込まれている資産
注1、損失がない場合、損金算入<益金算入の場合は除きます。

株式等に損失見込みがあったとしても、
対象資産について損失が発生しない場合や、
損失が発生した場合であっても利益の方が多い場合は、
譲渡等事由から除外されます。

参考規定

通算制度からの離脱等に伴う資産の時価評価損益

二 当該通算法人の株式又は出資を有する他の通算法人において当該通算終了直前事業年度終了の時後に当該株式又は出資の譲渡又は評価換えによる損失の額として政令で定める金額が生ずることが見込まれていること(前号に掲げる要件に該当する場合を除く。) 当該通算法人が当該通算終了直前事業年度終了の時に有する同号に定める資産(その時における帳簿価額として政令で定める金額が十億円を超えるものに限る。)のうちその時後に譲渡、評価換え、貸倒れ、除却その他の政令で定める事由が生ずること(その事由が生ずることにより損金の額に算入される金額がない場合又はその事由が生ずることにより損金の額に算入される金額がその事由が生ずることにより益金の額に算入される金額以下である場合を除く。)が見込まれているもの

法人税法第64条の13第1項第2号

規定を整理したもの

当該通算法人の株式又は出資を有する他の通算法人において
当該通算終了直前事業年度終了の時後に
当該株式又は出資の譲渡又は評価換えによる損失の額として
政令で定める金額が生ずることが見込まれている
こと
(前号に掲げる要件に該当する場合を除く。)

当該通算法人が当該通算終了直前事業年度終了の時に有する
同号に定める資産(注1)のうち
その時後に譲渡、評価換え、貸倒れ、除却その他の政令で定める事由が
生ずること(注2)が見込まれているもの

注1、その時における帳簿価額として
政令で定める金額が10億円を超えるものに限る。

注2、その事由が生ずることにより損金の額に算入される金額がない場合又は
その事由が生ずることにより損金の額に算入される金額が
その事由が生ずることにより益金の額に算入される金額以下である場合を除く。

譲渡等事由の規定

7 法第六十四条の十三第一項第二号に規定する政令で定める事由は、次に掲げる事由とする。
一 法第六十四条の十三第一項第二号に規定する資産(以下この項において「特定資産」という。)の譲渡、貸倒れ、除却その他これらに類する事由
二 特定資産が法第六十四条の十三第一項に規定する通算法人であつた内国法人において、法第三十三条第二項に規定する評価換えによりその帳簿価額を減額され、当該特定資産の同項に規定する差額に達するまでの金額が損金の額に算入されること、同条第三項に規定する評価換えによりその帳簿価額を減額され、その減額された部分の金額が損金の額に算入されること又は同条第四項に規定する資産に該当し、当該特定資産の同項に規定する評価損の額として政令で定める金額が損金の額に算入されること。
三 特定資産が法第六十四条の十三第一項に規定する通算法人であつた内国法人において法第六十四条の十一第一項に規定する時価評価資産、同条第二項に規定する株式若しくは出資、法第六十四条の十二第一項に規定する時価評価資産又は同条第二項に規定する株式若しくは出資に該当し、当該特定資産につきこれらの規定に規定する評価損の額が損金の額に算入されること。

法人税法施行令131条の17、通算制度からの離脱等に伴う資産の時価評価損益
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