通算制度からの離脱等に伴う資産の時価評価_時価評価しない資産


今回は、通算制度からの離脱等に伴う資産について
時価評価しない資産を確認してみましょう。

時価評価しない資産(政令で定めるもの)

時価評価しない資産は次の6つです。

  • 一定の圧縮記帳済の減価償却資産
  • 売買目的有価証券、償還有価証券
  • 営業権を除く資産の帳簿価額が1000万円未満のその資産
  • 評価差額が一定金額未満の資産
  • 完全支配関係がある清算中の法人の株式で評価損があるもの等
  • 通算グループ内の持合い株式
圧縮記帳済の減価償却資産(1号)

通算法人(法法64条の13①)の通算終了直前事業年度(法法64条の13)終了日の翌日の5年前の日以後終了する各事業年度(注1)において通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益(法令131条の15①1号イ~ト)の適用を受けた減価償却資産(注2)

注1、以下この号及び4号において「前5年内事業年度」といいます。

注2、その減価償却資産が適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この号において被合併法人等)から移転を受けたものである場合には、その被合併法人等の前5年内事業年度において通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益(法令131条の15①1号イ~ト)の適用を受けたものを含みます。


離脱等から遡って過去5年内に適用した圧縮記帳済の減価償却資産です。圧縮記帳した固定資産は簿価が減ります。その減少後の簿価に対して時価評価すると圧縮記帳をした意味がなくなるため、時価評価をしない資産となります。この減価償却資産については、被合併法人等の圧縮記帳済の減価償却資産を適格合併等により引き継いだ場合を含みます。

参考規定、時価評価をしない圧縮記帳に関する規定

省略
イ 法第四十二条第一項、第二項、第五項又は第六項(国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)
ロ 法第四十四条第一項又は第四項(特別勘定を設けた場合の国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)
ハ 法第四十五条第一項、第二項、第五項又は第六項(工事負担金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)
ニ 法第四十六条第一項(非出資組合が賦課金で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)
ホ 法第四十七条第一項、第二項、第五項又は第六項(保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)
ヘ 法第四十九条第一項又は第四項(特別勘定を設けた場合の保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)
ト 租税特別措置法第六十七条の四第一項若しくは第二項(転廃業助成金等に係る課税の特例)(同条第九項において準用する場合を含む。)又は同条第三項(同条第十項において準用する場合を含む。)

法人税法施行令131条の15①、通算制度への開始に伴う資産の時価評価損益
有価証券関係(2号)

売買目的有価証券と償還有価証券については時価評価が不要です。

省略
二 法第六十一条の三第一項第一号(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)に規定する売買目的有価証券
三 第百十九条の十四(償還有価証券の帳簿価額の調整)に規定する償還有価証券
省略

法人税法施行令131条の15①、通算制度への開始に伴う資産の時価評価損益
簿価1000万円未満の資産(3号)

資産(営業権を除く)の帳簿価額(注1)が1000万円に満たない場合のその資産

注1、資産を財務省令で定める単位に区分した後のそれぞれの資産の帳簿価額とする。次号において同じ。

少額不追及です。離脱等の場合、資産から営業権が除外されています。

評価差額が少額の資産(4号)

少額不追及です。

資産の価額とその帳簿価額との差額(注1)が通算法人(法法64条の13①)の資本金等の額の1/2又は1000万円のいずれか少ない金額に満たない場合のその資産

注1、前5年内事業年度において一定の圧縮記帳(注2)の適用を受けた非減価償却資産で、その価額がその帳簿価額を超えるもの(含み益があるもの)については、その5年内事業年度において一定の圧縮記帳(注2)により損金算入した金額又はその超える部分の金額(含み益)のいずれか少ない金額を控除した金額

注2、一定の圧縮記帳
時価評価をしない圧縮記帳(1号)に関する規定と同じです。

「通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益」の
時価評価をしない要件と考え方は同じです。

参考記事
通算制度開始に伴う資産の時価評価_対象資産
評価差額が少額の資産(5号)

完全支配関係がある法人の株式等で評価損があるもの(5号)

通算法人(法法64条の13①)との間に完全支配関係がある内国法人(注1)の株式等で、その価額がその帳簿価額に満たないもの(含み損があるもの)

注1、次に掲げるものに限る。
イ、清算中の内国法人
ロ、合併以外の解散が見込まれているもの
ハ、その通算法人との間に完全支配関係がある内国法人との間で適格合併を行うことが見込まれるもの

「通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益」の
時価評価をしない要件と同じです。

参考記事
通算制度開始に伴う資産の時価評価_対象資産
完全支配関係がある法人の株式等で評価損があるもの(6号)

他の通算法人の株式等(6号)

通算法人(法法64条の13①)の有する他の通算法人(通算親法人を除く。)の株式等

株式持ち合いの場合です。

参考記事
通算制度開始に伴う資産の時価評価_対象資産
他の通算法人の株式等(7号)

参考規定

離脱等に伴う資産について時価評価しないもの

3 法第六十四条の十三第一項第一号に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産とする。

一 法第六十四条の十三第一項に規定する通算法人の同項に規定する通算終了直前事業年度終了の日の翌日の五年前の日以後に終了する各事業年度(以下この号及び第四号において「前五年内事業年度」という。)において第百三十一条の十五第一項第一号イからトまで(通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益)に掲げる規定の適用を受けた減価償却資産(当該減価償却資産が適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この号において「被合併法人等」という。)から移転を受けたものである場合には、当該被合併法人等の前五年内事業年度において同項第一号イからトまでに掲げる規定の適用を受けたものを含む。)

二 第百三十一条の十五第一項第二号及び第三号に掲げる資産

三 資産(営業権を除く。)の帳簿価額(資産を前項に規定する単位に区分した後のそれぞれの資産の帳簿価額とする。次号において同じ。)が千万円に満たない場合の当該資産

四 資産の価額(資産を前項に規定する単位に区分した後のそれぞれの資産の価額とする。以下この号において同じ。)とその帳簿価額との差額(前五年内事業年度において第百三十一条の十五第一項第一号イからトまでに掲げる規定の適用を受けた固定資産(第一号に規定する減価償却資産を除く。)で、その価額がその帳簿価額を超えるものについては、当該前五年内事業年度において同項第一号イからトまでに掲げる規定により損金の額に算入された金額又はその超える部分の金額のいずれか少ない金額を控除した金額)が法第六十四条の十三第一項に規定する通算法人の資本金等の額の二分の一に相当する金額又は千万円のいずれか少ない金額に満たない場合の当該資産

五 法第六十四条の十三第一項に規定する通算法人との間に完全支配関係がある内国法人(次に掲げるものに限る。)の株式又は出資で、その価額がその帳簿価額に満たないもの
イ 第百三十一条の十五第一項第六号イ又はロに掲げるもの
ロ 当該通算法人との間に完全支配関係がある内国法人との間で適格合併を行うことが見込まれるもの

六 法第六十四条の十三第一項に規定する通算法人の有する他の通算法人(通算親法人を除く。)の株式又は出資

法人税法施行令131条の17③、通算制度からの離脱等に伴う資産の時価評価損益

5号関係

六 親法人との間に完全支配関係がある内国法人(次に掲げるものに限る。)の株式又は出資で、その価額がその帳簿価額に満たないもの
イ 清算中のもの
ロ 解散(合併による解散を除く。)をすることが見込まれるもの
ハ 当該親法人との間に完全支配関係がある内国法人との間で適格合併を行うことが見込まれるもの

法人税法施行令131条の15①、通算制度の開始に伴う資産の時価評価損益
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