通算制度の取りやめの手続きと失効日


今回は、通算制度の取りやめの手続きと失効日を確認します。

通算制度の取りやめ等(法人税法64条の10)
やむを得ない事情による通算制度の取りやめ(1項)

通算法人はやむを得ない事情があるときは、
国税庁長官の承認を受けて、通算制度を止めることができます。

やむを得ない事情がない場合は止められません。
止める場合にも承認を受ける必要があります。
止める場合の承認は珍しい規定です。

取りやめの手続き(2項)

通算法人は、通算制度を止めようとするときは、
通算法人の全ての連名で一定の事項を記載した申請書を
通算親法人の納税地の所轄税務署長を経由して、
国税庁長官に提出する必要があります。

国税庁、[手続名]グループ通算制度の取りやめの承認の申請
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/renketsu/annai/13.htm

申請却下(3項)

国税庁長官は、通算制度の取りやめ申請書の提出があった場合において、
やむを得ない事情がないと認めるときは、その申請を却下できます。

通算承認の失効日(法人税法64条の10)

通算承認の失効日は、次の9つの失効事由に応じて異なります。

通算承認の失効日(4項)

通算法人が通算制度の取りやめの承認(1項)を受けた場合には、
通算承認は、その承認を受けた日の属する事業年度
終了日の翌日から失効します。

3月末決算の場合、4/1から通常の法人に戻ります。

青色申告承認の取消しによる失効日(5項)

通算法人が青色申告承認の取消しを受けた場合には、
その通算法人については、通算承認はその通知を受けた日から失効します。

事業年度終了の日まで待ってくれません。

一定の事実による失効日(6項)

次の事実が生じた場合には、通算法人(注1)については、
通算承認は次の日から失効します。

注1、1号から4号まではこれらの号の通算親法人と他の通算法人の全てとします。5号と6号はこれらの号の通算子法人とします。7号は同号の通算親法人とします。

次の事実次の日対象法人
1、通算親法人の解散その解散の日の翌日(合併による解散の場合には、その合併の日)全て
2、通算親法人が公益法人等に該当することとなつたことその該当することとなつた日全て
3、通算親法人と内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)との間に当該内国法人による完全支配関係が生じたことその生じた日全て
4、通算親法人と内国法人(公益法人等に限る。)との間に当該内国法人による完全支配関係がある場合において、当該内国法人が普通法人又は協同組合等に該当することとなつたことその該当することとなつた日全て
5、通算子法人の解散(合併又は破産手続開始の決定による解散に限る。)又は残余財産の確定その解散の日の翌日(合併による解散の場合には、その合併の日)又はその残余財産の確定の日の翌日子のみ
6、通算子法人が通算親法人との間に当該通算親法人による通算完全支配関係を有しなくなつたこと(前各号に掲げる事実に基因するものを除く。)その有しなくなつた日子のみ
7、前二号に掲げる事実又は通算子法人について前項の規定により通算承認が効力を失つたことに基因して通算法人が通算親法人のみとなつたことそのなつた日親のみ
通算承認が失効する事実と失効日

5号について
5号の通算子法人の解散は、合併と破産手続開始決定に限定されています。
通常の解散は6号になるのでしょう。

5号は解散の日の翌日に失効します。
6号は通算完全支配関係を有しなくなった日に失効します。
失効日が1日ずれます。

7号について
5号、6号により通算親法人のみとなった場合は、
そのなった日に失効します。

参考規定

通算制度の取りやめ等

第六十四条の十 通算法人は、やむを得ない事情があるときは、国税庁長官の承認を受けて前目の規定の適用を受けることをやめることができる。

2 通算法人は、前項の承認を受けようとするときは、通算法人の全ての連名で、その理由その他財務省令で定める事項を記載した申請書を通算親法人の納税地の所轄税務署長を経由して、国税庁長官に提出しなければならない。

3 国税庁長官は、前項の申請書の提出があつた場合において、前目の規定の適用を受けることをやめることにつきやむを得ない事情がないと認めるときは、その申請を却下する。

4 通算法人が第一項の承認を受けた場合には、通算承認は、その承認を受けた日の属する事業年度終了の日の翌日から、その効力を失うものとする。

5 通算法人が第百二十七条第二項(青色申告の承認の取消し)の規定による通知を受けた場合には、当該通算法人については、通算承認は、その通知を受けた日から、その効力を失うものとする。

6 次の各号に掲げる事実が生じた場合には、通算法人(第一号から第四号までにあつてはこれらの号に規定する通算親法人及び他の通算法人の全てとし、第五号及び第六号にあつてはこれらの号に規定する通算子法人とし、第七号にあつては同号に規定する通算親法人とする。)については通算承認は、当該各号に定める日から、その効力を失うものとする。
一 通算親法人の解散 その解散の日の翌日(合併による解散の場合には、その合併の日)
二 通算親法人が公益法人等に該当することとなつたこと その該当することとなつた日
三 通算親法人と内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)との間に当該内国法人による完全支配関係が生じたこと その生じた日
四 通算親法人と内国法人(公益法人等に限る。)との間に当該内国法人による完全支配関係がある場合において、当該内国法人が普通法人又は協同組合等に該当することとなつたこと その該当することとなつた日
五 通算子法人の解散(合併又は破産手続開始の決定による解散に限る。)又は残余財産の確定 その解散の日の翌日(合併による解散の場合には、その合併の日)又はその残余財産の確定の日の翌日
六 通算子法人が通算親法人との間に当該通算親法人による通算完全支配関係を有しなくなつたこと(前各号に掲げる事実に基因するものを除く。) その有しなくなつた日
七 前二号に掲げる事実又は通算子法人について前項の規定により通算承認が効力を失つたことに基因して通算法人が通算親法人のみとなつたこと そのなつた日

7 第一項の承認の手続その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

法人税法64条の10、通算制度の取りやめ等
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