通算制度の特例決算期間


今回は、通算制度の特例決算期間を確認してみましょう。

内容

連結納税制度と通算制度で異なる取扱い(解釈)があり、
気になったのでメモします。

国税庁の資料はこちら↓

完全支配関係を有することとなった旨を記載した書類及びグループ通算制度への加入時期の特例を適用する旨を記載した書類
e-Tax による申告の特例に係る届出書(初葉)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/r_03_219.pdf

国税庁資料の3留意事項

「⑵ 通算子法人となる法人の特例決算期間としていた会計期間が決算期変更又は合併により異動する場合の取扱い次の場合には、それぞれ次の取扱いとなりますので、留意してください。

ロ 通算子法人となる法人が合併により解散した場合
特例決算期間の末日まで完全支配関係が継続しないことから、その通算子法人となる法人には、通算承認の効力は生じません。」

異なる考え方の情報はこちら↓

税の窓、『グループ通算制度の実務Q&A(第2版)』Q2-12の内容についての追加補足説明
https://www.chuokeizai.co.jp/zeinomado/zeinomado/qa2q212.html

規定と定義の確認

該当する規定と定義はこちら↓

法人税法第14条第8項、施行日令和5年11月29日

8 内国法人が、通算親法人との間に当該通算親法人による完全支配関係を有することとなり、又は親法人の申請特例年度の期間内に当該親法人との間に当該親法人による完全支配関係を有することとなつた場合において、当該内国法人のこの項の規定の適用がないものとした場合に加入日(これらの完全支配関係を有することとなつた日をいう。第一号において同じ。)の前日の属する事業年度に係る第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書の提出期限となる日までに、当該通算親法人又は親法人(第一号において「通算親法人等」という。)がこの項の規定の適用を受ける旨、同号イ又はロに掲げる期間その他財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出したときは、第四項(第一号に係る部分に限る。)、第五項(第二号に係る部分に限る。)及び前二項の規定の適用については、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定めるところによる。

次の各号に掲げる場合の区分当該各号に定めるところによる。
一 当該加入日から当該加入日の前日の属する特例決算期間(次に掲げる期間のうち当該書類に記載された期間をいう。以下この号において同じ。)の末日まで継続して当該内国法人と当該通算親法人等との間に当該通算親法人等による完全支配関係がある場合当該内国法人及び当該内国法人が発行済株式又は出資を直接又は間接に保有する他の内国法人(当該加入日から当該末日までの間に当該通算親法人等との間に完全支配関係を有することとなつたものに限る。次号において「他の内国法人」という。)については、当該加入日の前日の属する特例決算期間の末日の翌日をもつて第四項第一号又は第五項第二号に定める日とする。この場合において、当該翌日が申請特例年度終了の日後であるときは、当該末日を申請特例年度終了の日とみなして、第六項の規定を適用する。

イ 当該内国法人の月次決算期間(会計期間をその開始の日以後一月ごとに区分した各期間(最後に一月未満の期間を生じたときは、その一月未満の期間)をいう。)

ロ 当該内国法人の会計期間
二 前号に掲げる場合以外の場合当該内国法人及び他の内国法人については、第四項(第一号に係る部分に限る。)及び第五項(第二号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。
まとめ

1号に特例決算期間の定義があります。

次に掲げる期間のうち当該書類に記載された期間をいう。
以下この号において同じ。

イ、当該内国法人の月次決算期間(会計期間をその開始の日以後一月ごとに区分した各期間(最後に一月未満の期間を生じたときは、その一月未満の期間)をいう。)

ロ 当該内国法人の会計期間


通算制度に変わって、会計期間が選択できるようになっています。
法人が選択して書類に記載した期間を「特例決算期間」と定義しています。
変更点は、「当該書類に記載された期間」という部分です。

「連結納税制度の月次決算期間の定義」と
「通算制度の月次決算期間の定義」に変更はありません。

合併により解散して、月次決算期間や会計期間が変動する場合であっても、
特例決算期間は変動しない(記載された情報は変わらない)と考えて、
留意事項の結論としているのかなと。

「記載された」と規定されているのは、法人税法だけで41個あり、
主なものは記載金額限度要件、他には通算制度の金額固定措置があります。

別の目的があって記載基準(形式基準とか固定措置のような取扱い)に変更したのかもしれません。例えば、別の事由により、選択期間が変動することを防止する等。

参考規定

完全支配関係を有することとなった場合のみなし通算承認

11 第二項に規定する他の内国法人が通算親法人との間に当該通算親法人による完全支配関係を有することとなつた場合(第十四条第八項(第二号に係る部分に限る。)(事業年度の特例)の規定の適用を受ける場合を除く。)には、当該他の内国法人については、当該完全支配関係を有することとなつた日(同条第八項(第一号に係る部分に限る。次項各号において同じ。)の規定の適用を受ける場合にあつては、同日の前日の属する同条第八項第一号に規定する特例決算期間の末日の翌日。以下この項において同じ。)において通算承認があつたものとみなす。この場合において、その通算承認は、当該完全支配関係を有することとなつた日から、その効力を生ずるものとする。

法人税法第64条の9第11項、施行日令和5年11月29日

→ 14条8項2号の規定の適用を受ける場合を除くため、
→ みなし通算承認なし。

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