通算調整割合と通算課税期間


今回は、消費税の通算調整割合と通算課税期間を確認してみましょう。

内容

消費税の事業者のうち
・国や地方公共団体など
・別表第3法人(一般社団法人や一般財団法人など)
・人格のない社団等
については、消費税の計算が特殊です。

受け取った消費税からマイナスできる消費税の計算で、
・調整割合
を計算する必要があります。

この調整割合が大きく変動した場合は、
マイナスできる消費税の調整が必要となります。

調整割合が大きく変動した場合は、
・当期の調整割合
・通算調整割合
の2つを比較することになります。

今回は、通算調整割合の計算方法を確認してみましょう。

通算調整割合

通算調整割合の算式は、
第2号(分子)÷第1号(分母)となります。

分母の計算は、通算課税期間の
1、資産の譲渡等の対価の額の合計額
2、課税仕入れ等に係る特定収入「以外」の特定収入の合計額
の2つを合計します。

1の資産の譲渡等の対価の額の合計額は、
・課税売上げ
・非課税売上げ
・免税売上げ
の他に消費税が課税されない
・取引の対価として受け取る収入(国外売上げ)
を合計します。

2の課税仕入れ等に係る特定収入「以外」の特定収入は、
特定収入のうち、受け取った補助金等の使途が特定されないものです。
(使途が特例されたものを「課税仕入れ等に係る特定収入」といいます。)

分子の計算は、通算課税期間の
・課税仕入れ等に係る特定収入「以外」の特定収入
を合計します。

通算課税期間

通算調整割合を計算するためには、
通算課税期間を計算する必要があります。

通算課税期間は、
・当期の初日の2年前の日の前日の属する課税期間から
・当期の課税期間まで
の各課税期間をいいます。

原則として、前々期、前期、当期の3年間となります。

計算例

通算課税期間の
・課税売上げ(税抜き) 1,000
・免税売上げ 2,000
・非課税売上げ 500
・国外売上げ 300
・受け取った補助金 10,000(うち使途特定3,000)

分子の計算
使途が特定できない特定収入 10,000-3,000=7,000

分母の計算
1,000+2,000+500+300+7,000=10,800

通算調整割合(分子÷分母)は、
7,000÷10,800=約64.8%になります。

使途が特定された補助金(3,000)については、
個別に消費税の調整の対象となります。

参考規定など

通算課税期間

ロ 当該課税期間の初日の二年前の日の前日の属する課税期間から当該課税期間までの各課税期間(以下この号及び次項において「通算課税期間」という。)以下省略

消費税法施行令第75条第5項第1号ロ、施行日令和6年10月1日

通算調整割合

6 前項に規定する通算調整割合とは、第一号に掲げる金額のうちに第二号に掲げる金額の占める割合をいう。
一 当該課税期間の通算課税期間における資産の譲渡等の対価の額の合計額に当該通算課税期間における課税仕入れ等に係る特定収入以外の特定収入の合計額を加算した金額
二 当該課税期間の通算課税期間における課税仕入れ等に係る特定収入以外の特定収入の合計額

消費税法施行令第75条第6項、施行日令和6年10月1日

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