今回は、遡り計算の起算日について
「適格合併があった場合の法人税の中間申告の特例」を使って確認します。
起算日の取扱いを検証するため、前事業年度中の合併に限定します。
期首合併した場合
前提
被合併法人B社 6月決算
合併法人A社 3月決算
合併の日 X-1年4/1
B社
X-2年7/1 900万円 X-1年3/31(終了日)
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9月 ↓
A社 ↓
X-1年4/1 X-1年4/2 X年4/1
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合併の日
前事業年度に適格合併があった場合は、
被合併法人の法人税額を加算する特例を適用します。
被合併法人の加算対象となる期間については、
「当該事業年度開始の日の1年前の日」以後に終了した
被合併法人の各事業年度が対象となります。
上記の場合、当該事業年度開始の日はX年4/1、
1年前の日はX-1年4/2となります。
(初日不算入の場合はX-1年4/1となりますが、以下初日算入で確認します。)
被合併法人の事業年度はX-1年3/31(合併の日の前日)に終了しており、
X-1年4/2以後に終了した被合併法人の事業年度がないため、
特例の適用はありません。
期首の翌日に合併した場合
前提
被合併法人B社 6月決算
合併法人A社 3月決算
合併の日 X-1年4/2
B社
X-2年7/1 1000万円 X-1年4/1(終了日)
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10月 ↓
A社 ↓
X-1年4/1 X-1年4/2 X年4/1
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前日 合併の日
当該事業年度開始の日はX年4/1、1年前の日はX-1年4/2となります。
(初日不算入の場合はX-1年4/1となります。)
被合併法人の事業年度はX-1年4/1(合併の日の前日)に終了しており、
X-1年4/2以後に終了した被合併法人の事業年度がないため、
特例の適用はありません。
加算する期間について
前事業年度開始の日(X-1年4/1)から
適格合併の日の前日(X-1年4/1)までの期間の月数(0月)
(1月未満の端数が生じないため切り上げできません。)
特例の適用はあると思っていましたが、
加算する期間が計算できないため、特例の対象外と考えられます。
期首の翌々日に合併した場合
前提
被合併法人B社 6月決算
合併法人A社 3月決算
合併の日 X-1年4/3
B社
X-2年7/1 1000万円 X-1年4/2(終了日)
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10月 ↓
A社 ↓
X-1年4/1 X-1年4/2 X-1年4/3
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前日 合併の日
当該事業年度開始の日はX年4/1、1年前の日はX-1年4/2となります。
(初日不算入の場合はX-1年4/1となります。)
被合併法人の事業年度はX-1年4/2(合併の日の前日)に終了します。
X-1年4/2「以後」に終了した被合併法人の事業年度があるため、
特例の適用があります。
加算額の計算
被合併法人の法人税額1000万円÷被合併法人の事業年度10月=100万円
(被合併法人の1月あたりの法人税額を計算)
100万円×1月(A)÷12月(合併法人の前事業年度の月数)=8.3万円
Aの計算(図のマーカー部分=空白期間)
前事業年度開始の日(X-1年4/1)から
適格合併の日の前日(X-1年4/2)までの期間の月数(1月)
(1月未満の端数を1月に切り上げます。)
最後に中間期間の月数(通常は6月)を乗じます。
8.3万円×6月=約50万円
初日不算入で遡り計算した場合
期首の翌日に合併した場合で結論が異なります。
前提
被合併法人B社 6月決算
合併法人A社 3月決算
合併の日 X-1年4/2
B社
X-2年7/1 1000万円 X-1年4/1(終了日)
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10月 ↓
A社 ↓
X-1年4/1 X-1年4/2 X年4/1
--------------|-----|------|-----
合併の日
当該事業年度開始の日はX年4/1、
1年前の日はX-1年4/1(初日不算入)となります。
被合併法人の事業年度はX-1年4/1(合併の日の前日)に終了しており、
X-1年4/1「以後」に終了した被合併法人の事業年度があるため、
特例の適用があります。
加算する期間について
前事業年度開始の日(X-1年4/1)から
適格合併の日の前日(X-1年4/1)までの期間の月数(0月)
(1月未満の端数が生じないため切り上げできない。)
初日算入と初日不算入の違い
初日算入(X-1年4/2) | 初日不算入(X-1年4/1) |
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X-1年4/2以後に終了した被合併法人の事業年度がないため、特例の適用がありません。 | X-1年4/1以後に終了した被合併法人の事業年度があるため、特例の適用があります。ただし、加算する期間が0月のため、加算額はありません。 |
まとめ
中間申告税額の特例については、
初日算入で遡り計算しても問題ないと考えます。
参考規定
2 前項の場合において、同項の普通法人が次の各号に掲げる期間内に行われた適格合併(法人を設立するものを除く。以下この項において同じ。)に係る合併法人であるときは、その普通法人が提出すべき当該事業年度の中間申告書については、前項第一号に掲げる金額は、同号の規定にかかわらず、同号の規定により計算した金額に相当する金額に当該各号に定める金額を加算した金額とする。
法人税法71条
一 当該事業年度の前事業年度 当該普通法人の当該事業年度開始の日の一年前の日以後に終了した当該適格合併に係る被合併法人の各事業年度(その月数が六月に満たないものを除く。)の法人税額(第六十九条第二十三項において準用する同条第十九項の規定により加算された金額がある場合には、当該金額を控除した金額。第五項において同じ。)で六月経過日の前日までに確定したもののうち最も新しい事業年度に係るもの(次号及び次項において「被合併法人確定法人税額」という。)をその計算の基礎となつた当該被合併法人の事業年度の月数で除し、これに当該普通法人の当該前事業年度の月数のうちに占める当該前事業年度開始の日から当該適格合併の日の前日までの期間の月数の割合に中間期間の月数を乗じた数を乗じて計算した金額
二 当該事業年度開始の日から六月経過日の前日までの期間 当該適格合併に係る被合併法人の被合併法人確定法人税額をその計算の基礎となつた当該被合併法人の事業年度の月数で除し、これに当該適格合併の日から六月経過日の前日までの期間の月数を乗じて計算した金額