適格合併等の場合に合併法人の欠損金額が使用できない場合


今回は、適格合併等の場合に合併法人の欠損金額が
使用できない場合を確認します。

以前確認した、被合併法人の欠損金額が承継できない場合は、
親法人等(合併法人、黒字)
 ↑
子法人等(被合併法人、赤字)の欠損金の利用を防止する規定です。

今回の規定は、
親法人等(被合併法人、赤字)の欠損金の利用を防止する規定です。
 ↓
子法人等(合併法人、黒字)

内容(法人税法57条4項)

下記の「内国法人」は、上記の子法人等に該当します。

カッコを外して確認します。

内国法人(法法57条①)と支配関係法人(注1)との間でその内国法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人とする適格組織再編成等(注2)が行われた場合(注3)において、その適格組織再編成等が共同で事業を行うための適格組織再編成等として政令で定めるものに該当しないときは、その内国法人のその適格組織再編成事業年度「以後」の各事業年度における欠損金の繰越し(法法57条①)の適用については、その内国法人の欠損金額(注4)のうち次に掲げる欠損金額は、ないものとする。


注1、支配関係法人
その内国法人との間に支配関係がある法人をいう。この4項において同じ。

注2、適格組織再編成等
適格合併若しくは非適格合併で完全支配関係がある法人間の取引の損益(法法61条の11①)の適用があるもの、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配

→ 適格分割、適格現物出資、適格現物分配も対象です。

注3、適格組織再編成等から除外される場合
その内国法人のその適格組織再編成等の日(注3-2)の属する事業年度(組織再編成事業年度)開始日の5年前の日、その内国法人の設立日又はその支配関係法人の設立日のうち最も遅い日から継続してその内国法人とその支配関係法人との間に支配関係がある場合として政令で定める場合を除きます。

→ 5年超継続支配要件を満たす場合は、欠損金の使用は制限されません。

注3-2、その適格組織再編成等が残余財産の全部の分配である場合には、その残余財産の確定の日の翌日

注4、欠損金額の範囲
法法57条①、第2項によりその内国法人の欠損金額とみなされたものを含み、4項、5項、6項、8項、9項又は58条1項によりないものとされたものを除く。以下、4項・5項において同じ。

使用できない欠損金額は、次の2つです。

支配事業年度前の欠損金額(1号)

1号、その内国法人の支配関係事業年度(注1)「前」の各事業年度で前10年内事業年度(注2)に該当する事業年度において生じた欠損金額(注3)

注1、 支配関係事業年度
その内国法人がその支配関係法人との間に最後に支配関係を有することとなった日の属する事業年度をいう。次号において同じ。

合併法人--前10年(使用制限、4項)-|-------------
                       ↓ 支配関係  
被合併法人-前10年(承継制限、3項)-|--支配関係事業年度--|

注2、 その組織再編成事業年度開始日「前」10年以内に開始した各事業年度をいう。以下この項において同じ。

注3、 法法57条1項により前10年内事業年度に損金算入されたもの・欠損金の繰戻し還付に使用したものを除く。2号において同じ。

支配事業年度以後の欠損金額のうち一定のもの(2号)

2号、その内国法人の支配関係事業年度「以後」の各事業年度で前10年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額のうち特定資産譲渡等損失額相当額(法法62条の7②)から成る部分の金額として政令で定める金額

合併法人--|--支配関係事業年度--|
        ↓ 支配関係
        ↓→ 以後生じた欠損金額のうち含み損資産が実現したもの
        ↓  (使用制限、4項)
        ↓
被合併法人-|--支配関係事業年度--|
         → 以後生じた欠損金額のうち含み損資産が実現したもの
          (承継制限、3項)

参考規定

合併法人等の欠損金額が使用できない場合

4 第一項の内国法人と支配関係法人(当該内国法人との間に支配関係がある法人をいう。以下この項において同じ。)との間で当該内国法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人とする適格合併若しくは適格合併に該当しない合併で第六十一条の十一第一項(完全支配関係がある法人の間の取引の損益)の規定の適用があるもの、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この項において「適格組織再編成等」という。)が行われた場合(当該内国法人の当該適格組織再編成等の日(当該適格組織再編成等が残余財産の全部の分配である場合には、その残余財産の確定の日の翌日)の属する事業年度(以下この項において「組織再編成事業年度」という。)開始の日の五年前の日、当該内国法人の設立の日又は当該支配関係法人の設立の日のうち最も遅い日から継続して当該内国法人と当該支配関係法人との間に支配関係がある場合として政令で定める場合を除く。)において、当該適格組織再編成等が共同で事業を行うための適格組織再編成等として政令で定めるものに該当しないときは、当該内国法人の当該組織再編成事業年度以後の各事業年度における第一項の規定の適用については、当該内国法人の同項に規定する欠損金額(第二項の規定により当該内国法人の欠損金額とみなされたものを含み、この項から第六項まで、第八項若しくは第九項又は第五十八条第一項の規定によりないものとされたものを除く。以下この項及び次項において同じ。)のうち次に掲げる欠損金額は、ないものとする。

一 当該内国法人の支配関係事業年度(当該内国法人が当該支配関係法人との間に最後に支配関係を有することとなつた日の属する事業年度をいう。次号において同じ。)の各事業年度で前十年内事業年度(当該組織再編成事業年度開始の日前十年以内に開始した各事業年度をいう。以下この項において同じ。)に該当する事業年度において生じた欠損金額(第一項の規定により前十年内事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの及び第八十条の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。次号において同じ。)

二 当該内国法人の支配関係事業年度以後の各事業年度で前十年内事業年度に該当する事業年度において生じた欠損金額のうち第六十二条の七第二項に規定する特定資産譲渡等損失額に相当する金額から成る部分の金額として政令で定める金額

法人税法57条4項

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