適格現物出資に該当しない現物出資の資本金等の額


今回は、適格現物出資に該当しない現物出資の資本金等の額を確認してみましょう。

適格現物出資に該当しない場合

今回確認する規定は、こちらです。

九 適格現物出資に該当しない現物出資(法第六十二条の八第一項に規定する非適格合併等に該当するものに限る。以下この号において「非適格現物出資」という。)により現物出資法人に交付した当該法人の株式の当該非適格現物出資の時の価額から当該非適格現物出資により増加した資本金の額又は出資金の額(法人を設立する非適格現物出資にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)を減算した金額

法人税法施行令第8条第1項第9号、令和7年4月1日施行

カッコ書きを省略してみましょう。

九 適格現物出資に該当しない現物出資(注1)により現物出資法人に交付した当該法人の株式の当該非適格現物出資の時の価額から当該非適格現物出資により増加した資本金の額又は出資金の額(注2)を減算した金額

「適格現物出資に該当しない」とありますので、適格要件を満たさない現物出資に限られます。

続きは、算式に変えてみましょう。

1、株式の非適格現物出資の時の価額 2,000
2、増加した資本金の額や出資金の額 1,200
3、資本金等の額の加算額 1-2=800

非適格現物出資

現物出資(注1)のカッコ書きを確認してみましょう。

現物出資(法第六十二条の八第一項に規定する非適格合併等に該当するものに限る。以下この号において「非適格現物出資」という。)

法第62条の8第1項は、税金計算上ののれん等を認識する規定です。

この規定の中で
A、適格合併に該当しない合併

B1、適格分割に該当しない分割
B2、適格現物出資に該当しない現物出資
B3、事業の譲受け
のうち政令で定めるもの

を「非適格合併等」と定義されています。

適格現物出資に該当しない現物出資は、B2に該当します。カッコ書きで「非適格合併等に該当するものに限る。」とあるため、政令(法人税法施行令第123条の10)の要件を満たすものを「非適格現物出資」といいます。

現物出資の直前において行う
・事業
・主要な資産
・主要な負債
のおおむね全部が被現物出資法人に移転するものが政令に定めるものです。

法人が設立される場合

資本金の額又は出資金の額(注2)のカッコ書きを確認してみましょう。

増加した資本金の額又は出資金の額(法人を設立する非適格現物出資にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)

法人が設立される場合は、設立時の資本金の額や出資金の額に変わります。

参考情報、メモ

適格現物出資に該当しない現物出資のうち、政令の要件を満たさないものは、どの規定に該当するのか確認してみました。

施行令第8条第1項第1号に一般的な取扱いが規定されています。

一 株式(出資を含む。以下第十号までにおいて同じ。)の発行又は自己の株式の譲渡をした場合(次に掲げる場合を除く。)に払い込まれた金銭の額及び給付を受けた金銭以外の資産の価額その他の対価の額に相当する金額からその発行により増加した資本金の額又は出資金の額(法人の設立による株式の発行にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)を減算した金額

株式の発行をした場合に
・払い込まれた金銭の額
・対価の額に相当する金額(例、給付を受けた金銭以外の資産の価額)
上記2つから

その発行により増加した資本金の額や出資金の額を減算するとあります。

1、金銭以外の資産の価額
2、増加した資本金の額や出資金の額
3、資本金等の額の加算額 1-2

カッコ書きの「次に掲げる場合」のホには、
・適格現物出資に該当しない現物出資
・非適格合併等に該当するもの
・自己の株式を交付した
場合が規定されていますので、ホに該当する場合は1号が適用されません。

この場合、除外されたものがどの規定に該当するのか確認してみました。第9号に該当するのでしょう。

非適格現物出資に該当するかしないか、新株か自己の株式かで場合分けしますと4パターン考えられます。

1、非適格現物出資に該当しない。新株。 → 第1号
2、非適格現物出資に該当しない。自己の株式。 → 第1号
3、非適格現物出資に該当する。新株。 → 1号ホで除外 → 第9号
4、非適格現物出資に該当する。自己の株式。 1号ホで除外 → 第9号

第9号では、「適格現物出資に該当しない現物出資(法第六十二条の八第一項に規定する非適格合併等に該当するものに限る。」とあり、「現物出資法人に交付した当該法人の株式の当該非適格現物出資の時の価額」とあります。

株式の時価とあるため、新株か自己の株式かの区別をしていないと読めます。

第1号のホでは、「ホ 適格現物出資に該当しない現物出資(法第六十二条の八第一項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)に規定する非適格合併等に該当するものに限る。)により現物出資法人に自己の株式を交付した場合」とあります。

「自己の株式を交付した場合」とあるため、新株か自己の株式かの区別をしないと読むのでしょう。

非適格合併等に該当するものに限っては、
新株であっても自己の株式であっても第9号の計算対象、

非適格合併等に該当しないものは、
新株であっても自己の株式であっても第1号の計算対象、

という分け方だと考えています。

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