金地金等の仕入れによる課税事業者の3年制限


今回は、金地金等の仕入れによる3年制限の改正案を確認してみましょう。

所得税法等の一部を改正する法律案は、こちら↓
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21309001.htm

金地金を取得した場合の特例

法案を確認してみましょう。

3 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、第三十七条第一項の規定の適用を受けない課税期間中に国内における金若しくは白金の地金その他これに類する資産として財務省令で定める資産(以下この項において「金地金等」という。)の課税仕入れ又は金地金等に該当する課税貨物の保税地域からの引取り(当該課税期間において第三十六条第一項又は第三項の規定の適用を受ける棚卸資産に係る課税仕入れ又は保税地域からの引取りを含む。以下この項において「金地金等の仕入れ等」という。)を行つた場合において、当該課税期間中の当該金地金等の仕入れ等の金額の合計額が高額である場合として政令で定める場合に該当するときは、当該金地金等の仕入れ等を行つた課税期間の翌課税期間から当該金地金等の仕入れ等を行つた課税期間の初日以後三年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間(その基準期間における課税売上高が千万円を超える課税期間及び第九条第四項の規定による届出書の提出により、又は第九条の二第一項、第十条第二項、第十一条第二項若しくは第四項、第十二条第二項から第四項まで若しくは第六項、第十二条の二第一項若しくは第二項、前条第一項若しくは第三項若しくは前二項の規定により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間を除く。)における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第九条第一項本文の規定は、適用しない。

所得税法等の一部を改正する法律案

「高額特定資産の納税義務の免除の特例」に新設されます。
考え方は、既存の高額特定資産の規定と似ています。

要件は、次の4つです。
・課税事業者である。
・簡易課税制度が適用されない課税期間中
・金地金等の仕入れ等を行った。
・仕入れ等の合計額が高額である(税制改正大綱では合計200万円)。

要件を満たした場合、
課税事業者期間が3年間強制されます。

3年制限が適用されない期間

他の特例により課税事業者となる場合は、
上記の3年制限がありません。

他の特例
・原則として2年前(2期前)の課税売上高が1000万円を超える場合
・課税事業者を選択している場合
・原則として前年上半期の課税売上高が1000万円を超える場合
・前年・前々年に相続があった場合の特例が適用される場合
 (本年に相続があった場合は規定なし)
・過去に吸収合併があった場合の特例が適用される場合
 (当期に吸収合併があった場合は規定なし)
・過去に新設合併があった場合の特例が適用される場合
 (当期に新設合併があった場合は規定なし)
・過去に分割等があった場合の特例が適用される場合
 (当期に分割等があった場合は規定なし)
・過去に吸収分割があった場合の特例が適用される場合
 (当期に吸収分割があった場合は規定なし)
・新設法人の特例が適用される場合
・特定新規設立法人の特例が適用される場合
・高額特定資産の特例が適用される場合

本年中・当期中に関する特例が除外されていない理由は、
「当該金地金等の仕入れ等を行つた課税期間の翌課税期間」から
制限される規定のため、適用範囲が重複していないからです。

高額特定資産の規定との相違点

高額特定資産については、
棚卸資産の調整を適用した場合に、
課税事業者の3年制限が設けられていますが、
金地金等については、同様の制限規定が設けられていません。
(高額特定資産と同様に後から追加されるのでしょうね。)

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