防衛特別法人税の基礎控除額と基礎控除残額、通算法人の場合


今回は、防衛特別法人税の基礎控除額と基礎控除残額のうち、通算法人の場合を確認してみましょう。

基礎控除額

防衛特別法人税には、基礎控除額が年500万円あります。

この基礎控除額は、通算法人の場合、按分計算が必要になります。法案を確認してみましょう。

3 前項に規定する基礎控除額とは、次の各号に掲げる課税事業年度の区分に応じ当該各号に定める金額をいう。
一 通算法人以外の法人の課税事業年度 年五百万円
二 通算法人の課税事業年度(通算子法人の課税事業年度にあっては、当該通算子法人に係る通算親法人の課税事業年度終了の日に終了する課税事業年度に限る。) 五百万円にイに掲げる金額がロに掲げる金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額
イ 当該通算法人の当該課税事業年度の基準法人税額(前項第二号に掲げる場合には、加算前基準法人税額。以下この条において同じ。)
ロ 当該通算法人の当該課税事業年度及び当該課税事業年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人の同日に終了する課税事業年度の基準法人税額の合計額
三 通算子法人の前号に掲げる課税事業年度以外の課税事業年度 五百万円を十二で除し、これに当該課税事業年度の月数を乗じて計算した金額

所得税法等の一部を改正する法律案

第2号は、通算法人の取扱いです。

算式
500万円×イの金額÷ロの金額

イの金額、通算法人の基準法人税額
ロの金額、通算法人の基準法人税額の合計額

500万円を基準法人税額の割合で按分することになります。

ロの金額は、課税事業年度終了日に通算完全支配関係があるものを合計します。

第3号は、通算子法人で第2号に該当しない課税事業年度の取扱いです。この場合は、500万円÷12×課税事業年度の月数で計算します。按分計算はありません。

基礎控除残額

基礎控除額は、留保金課税の適用がある場合
1、留保金課税以外の法人税額(加算前基準法人税額)
2、留保金課税の法人税額(基準法人税加算額)
の順にマイナスします。

通算法人でない法人については、
・基礎控除額(年500万円)-加算前法人税額
で基礎控除残額を計算します。

通算法人の場合は、基礎控除額が按分されますので、基礎控除残額も按分します。法案を確認してみましょう。

4 第二項第二号ロに規定する基礎控除残額とは、次の各号に掲げる課税事業年度の区分に応じ当該各号に定める金額をいう。
一 通算法人以外の法人の課税事業年度 前項に規定する基礎控除額から加算前基準法人税額を控除した金額
二 通算法人の課税事業年度(通算子法人の課税事業年度にあっては、当該通算子法人に係る通算親法人の課税事業年度終了の日に終了する課税事業年度に限る。) 五百万円から前項第二号ロに掲げる金額を控除した金額にイに掲げる金額がロに掲げる金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額
イ 当該通算法人の当該課税事業年度の基準法人税加算額
ロ 当該通算法人の当該課税事業年度及び当該課税事業年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人の同日に終了する課税事業年度の基準法人税加算額の合計額
三 通算子法人の前号に掲げる課税事業年度以外の課税事業年度 前項に規定する基礎控除額から加算前基準法人税額を控除した金額

所得税法等の一部を改正する法律案

第2号は、通算法人の取扱いです。

500万円-(通算法人の基準法人税額の合計額)=基礎控除残額の合計額

基礎控除残額の合計額×イの金額÷ロの金額

イの金額、通算法人の基準法人税加算額
ロの金額、通算法人の基準法人税加算額の合計額

基礎控除残額の合計額を基準法人税加算額(留保金課税の法人税額)の割合で按分することになります。

ロの金額は、課税事業年度終了日に通算完全支配関係があるものを合計します。

第3号は、通算子法人で第2号に該当しない課税事業年度の取扱いです。この場合は、基礎控除額-加算前基準法人税額で計算します。按分計算はありません。

第3号の金額の意味

防衛特別法人税の事業年度と課税事業年度を確認してみましょう。

定義

(定義)
第六条 この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
六 通算親法人 法人税法第二条第十二号の六の七に規定する通算親法人をいう。
七 通算子法人 法人税法第二条第十二号の七に規定する通算子法人をいう。
八 通算法人 法人税法第二条第十二号の七の二に規定する通算法人をいう。
九 通算完全支配関係 法人税法第二条第十二号の七の七に規定する通算完全支配関係をいう。
十二 事業年度 法人税法第十三条及び第十四条に規定する事業年度をいう。

所得税法等の一部を改正する法律案

課税事業年度

第十一条 この章(第十八条第一項及び第二項を除く。)において「課税事業年度」とは、法人の令和八年四月一日以後に開始する各事業年度(当該法人が通算子法人である場合には、当該法人に係る通算親法人の同日以後に開始する事業年度の期間内に開始する当該法人の事業年度)をいう。

所得税法等の一部を改正する法律案

法人税法の事業年度と課税事業年度と同じです。

基礎控除額と基礎控除残額の第2号のカッコ書きに「通算子法人の課税事業年度にあっては、当該通算子法人に係る通算親法人の課税事業年度終了の日に終了する課税事業年度に限る。」とあり、第3号は、「通算子法人の前号に掲げる課税事業年度以外の課税事業年度」とあります。

第3号は、「通算親法人の課税事業年度終了の日に終了する課税事業年度」以外の課税事業年度(終了しない課税事業年度)を指しますので、通算子法人が期中に離脱等をした場合の計算なのでしょう。

参考リンク、国税庁、通算制度から離脱する場合の事業年度の特例
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/group_faq/33.htm

最近の新しいこと
・天津衛、天津チキンカツ丼

ある論点で思い出したこと
個人が法人に対して低額譲渡した場合であっても、みなし配当は実際の金額で計算します。低額譲渡は租税回避防止ですが、配当所得にはそういう考え方がなく、配当する側からみていくら支払ったかがポイントで、支払った金額に対して源泉徴収を計算します。

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