今回は、非居住者に株式を贈与した場合の国外転出時課税に関する修正申告の特例を確認してみましょう。
国外転出時課税
国外転出時課税は、2種類あります。
1、日本に住んでいる人が外国に引っ越す時に株式を持っている場合
2、非居住者に株式を贈与した場合
国外転出時課税は、実際に売却していない時点で株式を売却したと仮定して所得税を計算する特例です。株式の含み損益を精算する効果があります。
売却したと仮定して計算しますので、一定の要件を満たした場合、計算の取り消しや再計算が可能です。
計算を取り消すためには、確定申告の内容を修正する必要があります。修正申告といいます。
修正申告の特例
修正申告の特例は、国外転出した人が帰国した場合の修正申告の特例と似ています。
参考リンク
・国外転出した人が帰国した場合の修正申告の特例
国外転出時課税の計算の取り消し事由に該当する場合は、その事由が生じた日から4月以内に限り、修正申告書の提出が可能となります。
取り消し事由の1つは、贈与の日から5年以内に株式を受け取った全ての非居住者が日本に帰国した場合です。
参考規定
非居住者である受贈者等が帰国をした場合等の修正申告の特例
第百五十一条の三 第六十条の三第一項(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例)に規定する有価証券等又は同条第二項に規定する未決済信用取引等若しくは同条第三項に規定する未決済デリバティブ取引に係る契約を贈与、相続又は遺贈により非居住者に移転をした日の属する年分の所得税につき確定申告書を提出し、又は決定を受けた者(その相続人を含む。)は、当該確定申告書又は決定に係る年分の総所得金額のうちに同条第六項前段(同条第七項の規定により適用する場合を含む。)の規定の適用がある当該有価証券等の譲渡による事業所得の金額、譲渡所得の金額若しくは雑所得の金額、当該未決済信用取引等の決済による事業所得の金額若しくは雑所得の金額又は当該未決済デリバティブ取引の決済による事業所得の金額若しくは雑所得の金額が含まれていることにより、当該贈与の日又は相続の開始の日の属する年分の所得税につき国税通則法第十九条第一項各号又は第二項各号(修正申告)の事由が生じた場合には、第六十条の三第六項各号に掲げる場合に該当することとなつた日から四月以内に限り、税務署長に対し、修正申告書を提出することができる。
所得税法第151条の3第1項、施行日令和7年1月1日
おまけ
国外転出した場合の特例では「有価証券等に係る譲渡所得等の金額」が定義されていますが、非居住者に株式を贈与した場合の特例では所得金額の内容に関する定義がないため、国外転出した場合の特例より規定が長くなっています。内容は同じです。
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