非居住者に株式等を贈与した場合の納税猶予の時効の取扱い


今回は、非居住者に株式等を贈与した場合の納税猶予の時効の取扱いを確認してみましょう。

時効の取扱い

時効に関する規定を確認してみましょう。

12 納税猶予分の所得税額に相当する所得税並びに当該所得税に係る利子税及び延滞税の徴収を目的とする国の権利の時効については、次項第四号の規定により読み替えて適用される国税通則法第七十三条第四項(時効の完成猶予及び更新)の規定の適用がある場合を除き、継続適用届出書の提出があつた時から当該継続適用届出書の提出期限までの間は完成せず、当該提出期限の翌日から新たにその進行を始めるものとする。

所得税法第137条の3第12項、施行日令和7年1月1日

規定の内容は、国外転出した場合の納税猶予の時効とほとんど同じです。

国外転出で支払いを先延ばししている
・所得税
・所得税に対する利子税(支払利息のようなもの)
・所得税に対する延滞税(支払利息のようなもの)
の3つの時効について規定されています。

一定の場合を除いて、
・継続適用届出書の提出があった時
から
・その継続適用届出書の提出期限(原則として確定申告期限)
の間は、時効が完成しません。

その提出期限の翌日から時効がリスタートします。

一定の場合は、読み替え後の国税通則法第73条第4項(時効の完成猶予及び更新)です。

上記の規定では、延納などの期間中は時効が進まないと規定されており、読み替えることで、納税猶予の期間中も時効が進まなくなります。

まとめ
原則、納税猶予を受けている場合は、時効が進まない。
例外、継続適用届出書の提出があった場合は、時効がリスタートする。

参考規定

読替前の規定

4 国税の徴収権の時効は、延納、納税の猶予又は徴収若しくは滞納処分に関する猶予に係る部分の国税(当該部分の国税に併せて納付すべき延滞税及び利子税を含む。)につき、その延納又は猶予がされている期間内は、進行しない。

国税通則法第73条第4項、施行日令和7年1月1日

読替後の規定

4 国税の徴収権の時効は、延納(所得税法第百三十七条の三第一項又は第二項(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定による納税の猶予を含む。)、納税の猶予又は徴収若しくは滞納処分に関する猶予に係る部分の国税(当該部分の国税に併せて納付すべき延滞税及び利子税を含む。)につき、その延納(所得税法第百三十七条の三第一項又は第二項(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定による納税の猶予を含む。)又は猶予がされている期間内は、進行しない。

延納には所得税の納税猶予が含まれますので、所得税の納税猶予の期間内は、時効が進行しません。

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