今回は、非居住者に株式等を贈与等した場合の納税猶予が途中で終わるときを確認してみましょう。
納税猶予が途中で終わるとき
国外転出時課税の納税猶予を受けると、所得税の支払い期限を5年4カ月先延ばしできます。
ただし、期限までに株式等を売却すると手許にお金が残るため、納税猶予が途中で終了します。
対象となる人は、次の2人です。
1、株式等の贈与を受けた非居住者
2、相続により株式等を受け取った非居住者
上記の2人が
・贈与の場合は、贈与満了基準日
・相続や遺贈の場合は、相続等満了基準日
までに、
贈与、相続、遺贈により受け取った
・適用贈与資産
・適用相続等資産
を売却、決済、贈与した場合は、納税猶予が途中で終わります。
売却、決済、贈与した部分に対応する所得税については、株式等を売却等した日から4月を経過する日が納税猶予の期限となるため注意しましょう。
財産を受け取った人が亡くなった場合
納税猶予が途中で終了する事由は他にもあります。
相続の開始日から5年を経過する日までに、非居住者である
・受贈者(贈与で財産を受け取った人)
・相続人(相続で財産を受け取った人)
・受遺者(遺言で財産を受け取った人)
が亡くなった場合です。
この場合、別の人が国外転出時課税の対象となった株式等を受け取ることになります。
株式等を受け取る事由が、
・限定承認の相続
・包括遺贈の限定承認の遺贈
の2つについては、含み益に対する所得税の負担を承継させると限定承認の効果がなくなるため、納税猶予が途中で終了します。
(限定承認でない相続や遺贈では途中で終了しません。)
参考規定
株式等を売却すると納税猶予が途中で終了する。
6 第一項に規定する贈与を受けた非居住者又は第二項の規定の適用を受けた相続人である非居住者が、これらの規定による納税の猶予に係る贈与満了基準日又は相続等満了基準日までに、贈与、相続又は遺贈により移転を受けた適用贈与資産又は適用相続等資産の譲渡若しくは決済又は贈与による移転をしたことその他政令で定める事由が生じた場合には、これらの事由が生じた適用贈与資産又は適用相続等資産に係る納税猶予分の所得税額のうちこれらの事由が生じた適用贈与資産又は適用相続等資産に対応する部分の額として政令で定めるところにより計算した金額に相当する所得税については、これらの規定にかかわらず、これらの事由が生じた日から四月を経過する日をもつてこれらの規定による納税の猶予に係る期限とする。
所得税法第137条の3第6項、施行日令和7年1月1日
財産を受け取った人が亡くなると納税猶予が途中で終了する。
12 法第百三十七条の三第六項に規定する政令で定める事由は、相続の開始の日から五年を経過する日までに同項の相続又は遺贈に係る非居住者である受贈者、相続人又は受遺者が死亡したことにより、当該相続又は遺贈により移転を受けた有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の一部について相続(限定承認に係るものに限る。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)による移転があつたこととする。
所得税法施行令第266条の3第12項、施行日令和7年1月1日
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