非居住者に株式等を贈与等した場合の納税猶予の更新手続き


今回は、非居住者に株式等を贈与等した場合の納税猶予の更新手続きを確認してみましょう。

納税猶予の更新手続きが必要

株式等を非居住者に贈与した場合に、株式の含み益に対して所得税がかかることがあります。国外転出時課税といいます。

実際に株式を売却する前の含み益に対して所得税がかかるため、所得税の支払いを先延ばしできます。納税猶予といいます。

納税猶予を受けるためには、最初の確定申告で手続きが必要ですので注意しましょう。

納税猶予の期間は原則として5年4カ月。猶予期間が長いため更新制度が設けられています。

更新できる人は、次の2人です。
1、非居住者に株式等を贈与した人
2、株式等を相続や遺贈による受け取った相続人
「適用贈与者等」といいます。

更新の基準日は、12月31日です。

12月31日時点で納税猶予の対象となる
・有価証券等
・未決済の信用取引等
・未決済のデリバティブ取引
について、引き続き納税猶予を受ける場合は、「継続適用届出書」を提出する必要があります。

継続適用届出書の提出期限は、翌年3月15日(確定申告期限と同じ日)です。

継続適用届出書が提出期限までに提出しない場合は、原則として納税猶予が途中で終わりますが、提出しないことにやむを得ない事情がある場合は、納税猶予が継続されます。

参考規定

納税猶予には更新手続きが必要

7 第一項の規定の適用を受ける者又は第二項の規定の適用を受ける相続人(以下この条において「適用贈与者等」という。)は、これらの規定の適用に係る贈与の日又は相続の開始の日の属する年分の所得税に係る確定申告期限から納税猶予分の所得税額に相当する所得税の全部につき第一項、第二項、前項、第九項(第十項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)又は第十一項の規定による納税の猶予に係る期限が確定する日までの間の各年の十二月三十一日において有し、又は契約を締結している適用贈与資産又は適用相続等資産につき、引き続き第一項又は第二項の規定の適用を受けたい旨その他財務省令で定める事項を記載した届出書(次項から第十二項までにおいて「継続適用届出書」という。)を、同日の属する年の翌年三月十五日(次項、第九項及び第十二項において「提出期限」という。)までに、政令で定めるところにより、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

所得税法第137条の3第7項、施行日令和7年1月1日

おまけコーナー

納税猶予の期限が確定する場合は、次の6つです。
・第1項、非居住者に株式等を贈与した場合
・第2項、非居住者が相続や遺贈により株式等を受け取った場合
・第6項、株式等を期限までに売却等した場合
・第9項、納税猶予の更新しなかった場合
・第10項、納税管理人の届出をしなかった場合
・第11項、税務署長が納税猶予の期限を繰り上げる場合

やむを得ない事情がある場合、納税猶予が継続する。

8 継続適用届出書が提出期限までに提出されなかつた場合においても、前項に規定する税務署長が提出期限までにその提出がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該継続適用届出書の提出があつた場合に限り、当該継続適用届出書が提出期限までに提出されたものとみなす。

所得税法第137条の3第8項、施行日令和7年1月1日
PAGE TOP