非業務用資産の減価償却費の計算


今回は、非業務用資産の減価償却費の計算を確認します。法人税にはない所得税特有の論点です。

内容

業務用に使用していない減価償却資産を譲渡した場合の
減価償却費について確認します。ポイントは次の3つです。

  1. 業務用の耐用年数を1.5倍した年数を使用する。
  2. 旧定額法に準じて計算する。
  3. 端数の切捨て、切上げを行う。

耐用年数表は業務用資産について定められているため、
業務用と同じように減価しない非業務用資産については、
耐用年数を延ばして減価償却の計算をします。
50年を1.5倍すると75年となります。長いですね。

1年未満の端数処理についてのポイントは2つ。

1、非業務供用資産の耐用年数
1年未満の端数は切り捨てます。
例えば、15年の場合は、15年×1.5=22.5年→22年で計算します。

2、非業務供用年数
6月以上の端数は切り上げ、6月未満の端数は切り捨てます。
例えば、使用期間が3年4カ月の場合は3年、3年6カ月の場合は4年となります。

計算例

取得価額1,000,000円、耐用年数15年、使用期間3年7カ月の
減価償却資産の減価の額については、

耐用年数15年×1.5=22.5年→22年の旧定額法の償却率0.046

1,000,000円(取得価額)×0.9(旧定額法)×0.046(22年)=41,400円
41,400円×4年(6月以上切り上げ)=165,600円となります。

取得費は、1,000,000円(取得価額)-165,600円(減価の額)
=834,400円となります。

参考規定

(非事業用資産の減価の額の計算)
第八十五条 法第三十八条第二項(譲渡所得の基因となる資産の減価の額)に規定する資産の同項第二号に掲げる期間に係る減価の額は、当該資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額につき、当該資産と同種の減価償却資産に係る第百二十九条(減価償却資産の耐用年数等)に規定する耐用年数に一・五を乗じて計算した年数により第百二十条第一項第一号イ(1)(減価償却資産の償却の方法)に規定する旧定額法に準じて計算した金額に、当該資産の当該期間に係る年数を乗じて計算した金額とする。この場合において、当該資産と同種の減価償却資産が第百三十四条第一項第一号イ又はハ(減価償却資産の償却累積額による償却費の特例)に掲げる減価償却資産に該当する場合には、当該計算した金額は、当該同種の減価償却資産の同号イ又はハに掲げる区分に応じ当該イ又はハに定める金額を限度とする。
2 前項の場合において、次の各号に掲げる年数に一年未満の端数があるときの処理については、当該各号に定めるところによる。
一 前項に規定する一・五を乗じて計算した年数 一年未満の端数は、切り捨てる。
二 前項に規定する期間に係る年数 六月以上の端数は一年とし、六月に満たない端数は切り捨てる。

所得税法施行令
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