非業務用資産を業務用に転用した場合の減価償却


生活に使用していた減価償却資産を業務用に使用した場合の
減価償却の取扱いについて確認します。

内容

ポイントは次の2つです。

1つ目

非業務用の減価償却資産を業務用とした場合には、
業務供用「後」の減価償却は、
業務供用日にその資産の譲渡があったものとみなして、
資産の取得費(所得税法38条2項)を計算します。
この資産の取得費が償却後の価額(簿価)となります。

業務用に使用していなくても、
使用することにより価値が下がっていきますので、
非業務用期間に応じて、取得費を減らします。

取得費(簿価)=
取得費(取得価額)-減価の額(非業務用期間)

2つ目

資産の取得価額とその償却後の価額との差額は、
その償却費として必要経費に算入されたものとして取扱います。

具体例

例えば、新品の減価償却資産の取得価額が200万円、
業務転用日に譲渡したものとみなして計算した取得費が150万円の場合、
150万円がその資産の償却後の価額(簿価)となります。

非業務用の取得200万円   業務転用
|--------------×----------------→
 ←-減価の額50万円-----↓
               ↓
          資産の譲渡があったものとみなす。取得費150万円。

取得価額200万円と償却後の価額150万円との差額50万円は、
必要経費に算入されたものとして取扱います。

この50万円は実際に償却費として必要経費に算入していませんが、
必要経費に算入したものとみなすことによって、
過大に償却することがなくなります。

参考規定など

国税庁、タックスアンサー
No.2109 新築家屋等を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2109.htm

(非事業用資産を業務の用に供した場合の償却費の計算の特例)
第百三十五条 居住者がその有する家屋その他使用又は期間の経過により減価する資産で不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供していないものを当該業務の用に供した場合(次条の規定に該当する場合を除く。)には、当該業務の用に供した後における当該資産の償却費の額は、当該業務の用に供した日に当該資産の譲渡があつたものとみなして法第三十八条第二項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定を適用した場合に当該資産の取得費とされる金額に相当する金額を同日における当該資産の償却後の価額として計算するものとし、当該資産の第百二十六条(減価償却資産の取得価額)及び第百二十七条第二項(資本的支出の取得価額の特例)の規定に準じて計算した取得価額と当該償却後の価額との差額に相当する金額は、第百三十四条(減価償却資産の償却累積額による償却費の特例)及び前条の規定の適用については、当該資産の償却費としてその者の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入された金額とみなすものとする。

所得税法施行令

(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)
第三十八条 譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする。
2 譲渡所得の基因となる資産が家屋その他使用又は期間の経過により減価する資産である場合には、前項に規定する資産の取得費は、同項に規定する合計額に相当する金額から、その取得の日から譲渡の日までの期間のうち次の各号に掲げる期間の区分に応じ当該各号に掲げる金額の合計額を控除した金額とする。
一 その資産が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供されていた期間 第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)の規定により当該期間内の日の属する各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入されるその資産の償却費の額の累積額
二 前号に掲げる期間以外の期間 第四十九条第一項の規定に準じて政令で定めるところにより計算したその資産の当該期間に係る減価の額

所得税法
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