1株当たりの利益金額とグループ通算制度


今回は、1株当たりの利益金額とグループ通算制度を確認してみましょう

利益金額

株価がわからない株式については、自社と似たような法人と比較して株価が計算できます。類似業種比準方式といいます。

比較する金額は、次の3つです。
1、配当金額
2、利益金額
3、純資産価額

2の利益金額は、法人の当期純利益ではなく、法人税を課税するための所得(課税所得)をベースに計算します。
(法人税申告書の別表4の最終値)

例えば、過去の赤字(欠損金)を経費計上(損金算入)した場合は、課税所得に過去の赤字をプラスします。

グループ通算制度

グループ通算制度には、通常の法人にはない
・損益通算
・欠損金の通算
等があります。

自社の金額だけではなく、他社の黒字や赤字を考慮して、
自社の課税所得を計算する制度です。

このグループ通算制度を利用した場合、他社の黒字や赤字が考慮された課税所得が計算されるため、利益金額についても一定の調整が必要となります。

例えば、損益通算により課税所得が増える場合は、
課税所得が増えた分だけマイナスします。

反対に、損益通算により課税所得が減った場合は、
課税所得が減った分だけプラスします。

欠損金の通算により他社の赤字を利用した場合は、
課税所得が減るため、課税所得が減った分だけプラスします。

参考リンク、国税庁、質疑応答事例、1株当たりの利益金額C-グループ通算制度における損益通算等の適用がある場合
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/07/15.htm

上記の回答要旨の2で、簡単な記載方法が公表されています。

気になった点

グループ通算制度がある場合の利益金額については、
・損益通算による損金算入額はプラス
・損益通算による益金算入額はマイナス
・欠損金の通算による損金算入額はプラス
することになります。

あと1つ、欠損金の通算により他社に自社の欠損金を渡した場合が質疑応答事例に記載されていません。

他社から受け取った欠損金をプラスするのであれば、他社に渡した欠損金をマイナスするのかな?と考えましたが、調整不要なのでしょう。

他社に欠損金を渡すと自社では欠損金が使えなくなり、他社で損金算入となります。他社で損金算入したものは他社で調整(プラス)するだけです。


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