一部事務組合と広域連合の消費税の特例


今回は、一部事務組合と広域連合の消費税の特例を確認してみましょう。

一部事務組合の特別会計

複数の市区町村の事務をまとめて行う団体を
「一部事務組合」といいます。

この一部事務組合が次の要件を満たすときは、
特別会計ではなく、一般会計として取り扱う必要があります。
・特別会計を設けて一定の事業を行う。
・法令に基づき特別の規定を設ける。

一般会計の場合
・免税事業者になれない。
・受け取った消費税と支払った消費税は同額。
・確定申告などは不要
となります。

一定の事業は、次の4つの事業「以外の事業」をいいます。
・公営企業の事業、法令で特別会計が義務付けられている事業
・地方公営企業法の規定を適用している企業の事業
・有料で資産の販売や貸付けを主に行っている事業
・地方競馬等の事業

要件を満たす特別会計の事業については、
対価性のある取引(消費税が発生する取引)が少ないということなのでしょう。

地方公共団体の組合の一般会計

地方公共団体の組合の一般会計であっても、
・有料で資産の販売や貸付けを主に行っている事業
・地方競馬等の事業
の2つについては、特別会計として取り扱う必要があります。

特別会計の場合、
一般会計と切り離して消費税の計算等が必要となります。

地方公共団体の組合とは、次の2つです。
・一部事務組合
・広域連合

広域連合は、一部事務組合と似ていますが、
一部事務組合より範囲が広く、国等から権限を移してもらうことができます。
〇〇後期高齢者医療広域連合などが該当します。

参考規定など

一部事務組合の特別会計の特例

2 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十五条(相互に関連する事務の共同処理)の一部事務組合が特別会計を設けて次に掲げる事業以外の事業を行う場合において、当該一部事務組合が、同法第二百八十七条の三第一項(第二百八十五条の一部事務組合に関する特則)の規定に基づき、その規約において当該事業に係る事件の議決の方法について特別の規定を設けたときは、当該事業に係る法第六十条の規定の適用については、当該事業は、同条第一項本文の一般会計に係る業務として行う事業とみなす。
一 地方財政法施行令(昭和二十三年政令第二百六十七号)第四十六条各号(公営企業)に掲げる事業その他法令においてその事業に係る収入及び支出を経理する特別会計を設けることが義務付けられている事業
二 地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第二条第三項(この法律の適用を受ける企業の範囲)の規定により同法の規定の全部又は一部を適用している同項の企業に係る事業
三 対価を得て資産の譲渡又は貸付けを主として行う事業(前二号に掲げる事業を除く。)
四 競馬法(昭和二十三年法律第百五十八号)に基づく地方競馬、自転車競技法(昭和二十三年法律第二百九号)に基づく自転車競走、小型自動車競走法(昭和二十五年法律第二百八号)に基づく小型自動車競走及びモーターボート競走法(昭和二十六年法律第二百四十二号)に基づくモーターボート競走の事業

消費税法施行令第72条第2項、施行日令和6年4月1日

地方公共団体の組合の特例

3 地方自治法第一条の三第三項(地方公共団体の種類)の地方公共団体の組合が一般会計を設けて行う前項第三号及び第四号の事業に係る法第六十条の規定の適用については、当該事業は、同条第一項本文の特別会計を設けて行う事業とみなす。

消費税法施行令第72条第3項、施行日令和6年4月1日

広域連合

3 普通地方公共団体及び特別区は、その事務で広域にわたり処理することが適当であると認めるものに関し、広域にわたる総合的な計画(以下「広域計画」という。)を作成し、その事務の管理及び執行について広域計画の実施のために必要な連絡調整を図り、並びにその事務の一部を広域にわたり総合的かつ計画的に処理するため、その協議により規約を定め、前項の例により、総務大臣又は都道府県知事の許可を得て、広域連合を設けることができる。この場合においては、同項後段の規定を準用する。

地方自治法第284条第3項、令和6年6月26日

地方公共団体は、条例や規約ににより、
その経営する企業に対して、地方公営企業法を適用できる。

3 前二項に定める場合のほか、地方公共団体は、政令で定める基準に従い、条例(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項の一部事務組合(以下「一部事務組合」という。)又は広域連合(以下「広域連合」という。)にあつては、規約)で定めるところにより、その経営する企業に、この法律の規定の全部又は一部を適用することができる。

地方公営企業法第2条第3項、施行日令和6年5月31日

地方自治法

第一条の三 地方公共団体は、普通地方公共団体及び特別地方公共団体とする。
② 普通地方公共団体は、都道府県及び市町村とする。
③ 特別地方公共団体は、特別区、地方公共団体の組合及び財産区とする。

地方自治法第1条の3、施行日令和6年6月26日

地方公共団体
・普通地方公共団体=都道府県+市町村
・特別地方公共団体=特別区+地方公共団体の組合+財産区

地方公共団体の組合=一部事務組合+広域連合
一部事務組合の取扱い

(組合の種類及び設置)
第二百八十四条 地方公共団体の組合は、一部事務組合及び広域連合とする。
2 普通地方公共団体及び特別区は、その事務の一部を共同処理するため、その協議により規約を定め、都道府県の加入するものにあつては総務大臣、その他のものにあつては都道府県知事の許可を得て、一部事務組合を設けることができる。この場合において、一部事務組合内の地方公共団体につきその執行機関の権限に属する事項がなくなつたときは、その執行機関は、一部事務組合の成立と同時に消滅する。

地方自治法第284条、施行日令和6年6月26日
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