今回は、通算法人が仮決算による法人税の中間申告をする場合を確認してみましょう。
通算子法人の場合
通算制度を選択した場合であっても、仮決算による中間申告が可能です。ただし、通算制度を選択した場合は、通算法人単位で計算する必要がありますので、計算期間を合わせる必要があります。
通算親法人と通算子法人の計算期間(前半6カ月)がずれている場合、通算子法人の計算期間は、「通算子法人の開始日」から「通算親法人の開始日から6月を経過した日の前日」までとなります。
計算期間を通算親法人に合わせるため、通算子法人の計算期間が途中で終わります。
仮決算による中間申告ができない場合
仮決算による中間申告は、特例のため選択できない場合があります。通算制度の場合も同様です。ただし、判定する単位が1社から全社に変わります。規定(第2号)を確認してみましょう。
(参考規定に掲載しています。)
「当該普通法人並びに六月経過日及びその前日において当該普通法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人(以下この号及び第四号において「他の通算法人」という。)の全てが」とあり、
・普通法人
・6月経過日と前日に通算100%支配関係がある他の通算法人
の「全て」で判定します。
対象となる全ての法人が
・第71条第1項ただし書(前期の法人税×6/12≦10万円など)
・前条の規定(災害により中間申告書と確定申告書の提出期限が同じ)
により中間申告書を提出することを要しない場合には、法人税の中間申告が不要となります。
通算制度を選択している場合は、全社で判定しますので、1社で判定できなくなります。
もう1つ別の要件があります。
・当該普通法人
・他の通算法人
の第1項第2号に掲げる金額の合計額が
・当該普通法人
・他の通算法人
の第71条の規定により計算した同条第1項第1号に掲げる金額の合計額を超える場合です。
通算法人の実績で計算した法人税の合計額が
通算法人の概算で計算した法人税の合計額を
超える場合という意味です。
通常は1社で判定しますが、
通算法人の場合は全社の合計額で判定します。
要しない場合のカッコ書きについて
仮決算の計算期間(中間期間)中に災害損失金額がある場合は、中間申告の提出が不要となる場合から除外されています。災害損失金額とは、災害により保険金などで補填されなかった棚卸資産や固定資産の損失の金額をいいます。
災害損失金額がある場合は、外国税額や所得税額の還付が受けられるため、仮決算による法人税の中間申告が可能となるからです。
中間申告書を提出しなかった場合
仮決算による法人税の中間申告は、全体計算する必要があります。ある1社が提出期限までに中間申告書を提出しなかった場合は、全体計算されていないため、仮決算による法人税の中間申告ができなくなります。
仮決算による法人税の中間申告ができなくなった場合の取扱いは、中間申告が必要かどうかで2つに分かれます。
1、中間申告が必要な法人については、前期の実績に応じた中間申告をしたものとして取り扱われます。
2、中間申告が不要な法人については、中間申告書を提出しなかったものとして取り扱われます。
参考規定
通算法人の取扱い
5 第一項の普通法人が通算法人である場合における同項の規定の適用については、次に定めるところによる。
法人税法第72条第5項、令和7年4月1日施行
一 当該普通法人が通算子法人である場合には、第一項に規定する期間は、同項の事業年度開始の日から第七十一条第一項に規定する六月経過日(次号において「六月経過日」という。)の前日までの期間とする。
二 当該普通法人並びに六月経過日及びその前日において当該普通法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人(以下この号及び第四号において「他の通算法人」という。)の全てが第七十一条第一項ただし書若しくは前条の規定により中間申告書を提出することを要しない場合(当該普通法人又は他の通算法人のいずれかについて当該六月経過日の属する事業年度開始の日から当該六月経過日の前日までの期間(第四号において「中間期間」という。)において生じた前項に規定する災害損失金額がある場合を除く。)又は当該普通法人及び他の通算法人の第一項第二号に掲げる金額の合計額が当該普通法人及び他の通算法人の第七十一条の規定により計算した同条第一項第一号に掲げる金額の合計額を超える場合には、第一項本文の規定は、適用しない。
三 第一項ただし書の規定は、適用しない。
四 当該普通法人が第一項各号に掲げる事項を記載した中間申告書をその提出期限までに提出した場合において、他の通算法人のいずれかが中間期間につき同項各号に掲げる事項を記載した中間申告書をその提出期限までに提出しなかつたときは、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定めるところによる。
イ 当該普通法人が中間申告書を提出すべき内国法人である場合 当該普通法人が提出した中間申告書には、第七十一条第一項各号に掲げる事項の記載があつたものとみなす。
ロ 当該普通法人が中間申告書を提出すべき内国法人でない場合 当該普通法人は、当該中間期間に係る中間申告書を提出しなかつたものとみなす。
その他の取扱い
6 第三項に定めるもののほか、第一項に規定する期間に係る課税標準である所得の金額又は欠損金額及び同項第二号に掲げる法人税の額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
法人税法第72条第5項、令和7年4月1日施行
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