今回は、2割特例の法案を確認します。
内容
法案のタイトルは、「適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置」です。単なる小規模事業者ではなく、「インボイス発行事業者となる」小規模事業者です。
法案は下記に載せています。
適格請求書発行事業者
カッコ書きの内容は、インボイス発行事業者の事業を承継した相続人の取扱いです。
対象となる課税期間
「5年施行日」から「5年施行日以後3年を経過する日」までの日
の属する「課税期間」が対象です。
「令和5年10月1日」から「令和8年9月30日」までの日
の属する「課税期間」が対象となります。
要件に該当する場合
消費税法30条から37条までの規定により「売上消費税」からマイナスできる「課税仕入れの消費税の合計額」は、消費税法30条から37条までの規定に関係なく、「特別控除税額」とすることができます。
消費税法30条から37条までを確認します。
第30条、仕入れに係る消費税額の控除
第31条、非課税資産の輸出等
第32条、仕入返還
第33条、課税売上割合の変動調整
第34条、課税業務用調整対象固定資産の転用調整
第35条、非課税業務用調整対象固定資産の転用調整
第35条の2、居住用賃貸建物の調整
第36条、棚卸資産の調整
第37条、簡易課税制度
上記の規定に関係なく、特別控除税額を計算して、
売上消費税からマイナスすることができます。
第37条以後の下記規定は含まれていません。
第38条、売上返還
第38条の2、リバースチャージ返還
第39条、貸倒控除
第60条、国等の特例
(国等の特例も含まれていません。)
第38条の売上返還は、特別控除税額の計算で考慮されています。
2割特例が使用できる課税期間
下記3つの特例がなかった場合に
消費税の納税義務が免除される「課税期間」について、2割特例が使えます。
- インボイス発行事業者の登録(相続特例を含む)
- 課税事業者選択届出書の提出
- 相続があった場合の納税義務の免除の特例
上記3つに該当する場合は、2割特例が使えません。
2割特例が使用できない課税期間
2割特例が使用できない課税期間は次の4つです。
- 令和5年10月1日の属する課税期間で、令和5年9月30日以前から引き続き課税事業者選択届出書により課税事業者を選択している課税期間については、2割特例が使えません。
- 調整対象固定資産の3年縛りの対象となる期間
- 登録開始日の前日までに相続があった場合の納税義務の免除の特例に該当する課税期間
- 課税期間の短縮・変更制度を使用している期間
参考法案
2割特例の内容
適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置
所得税法等の一部を改正する法律の一部改正、51条の2
第五十一条の二
適格請求書発行事業者(新消費税法第五十七条の三第三項の規定により新消費税法第五十七条の二第一項の登録を受けた事業者とみなされる者を含む。以下この条において同じ。)の五年施行日から五年施行日以後三年を経過する日までの日の属する課税期間(同項の登録(新消費税法第五十七条の三第三項の規定により新消費税法第五十七条の二第一項の登録を受けた事業者とみなされる場合における当該登録を含む。)、消費税法第九条第四項の規定による届出書の提出又は同法第十条第一項の規定の適用がなかったとしたならば消費税を納める義務が免除されることとなる課税期間に限るものとし、次に掲げる課税期間を除く。)については、新消費税法第三十条から第三十七条までの規定により新消費税法第三十条第一項に規定する課税標準額に対する消費税額から控除することができる消費税法第三十条第二項に規定する課税仕入れ等の税額の合計額は、新消費税法第三十条から第三十七条までの規定にかかわらず、特別控除税額とすることができる。この場合において、当該特別控除税額は、当該課税期間における新消費税法第三十二条第一項第一号に規定する仕入れに係る消費税額とみなす。
2割特例が使えない課税期間
一 五年施行日の属する課税期間であって五年施行日前から引き続き消費税法第九条第四項の規定の適用を受ける課税期間
二 消費税法第九条第七項に規定する調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合に該当する場合における同項に規定する調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から当該調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後三年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間
三 登録開始日の前日までに消費税法第十条第一項の相続があったことにより同項の規定の適用を受ける課税期間
四 消費税法第十九条第一項第三号から第四号の二までの規定の適用を受ける課税期間及び同条第二項又は第四項の規定により一の課税期間とみなされる期間
所得税法等の一部を改正する法律の一部改正、51条の2